~208~
そしていよいよ学院祭当日である。
「早く起きないと遅刻になるぞ?」
「ん~後1時間・・・。」
「すぅ~~~~!起きろ~~~!!!!」
風魔法を使い、大音量で響かせる。
ゴンッ!と落ちて盛大にびっくりしていた。
「~~~~ッ!痛い・・・。」
「リンブルが起きないからだろ?俺も大きな声を出すしかなかったんだから。先に行っているよ?」
用意を終えていたリュシオルは先に寮を出た。
「おはようございます。」
寮の前ではルーチェが待っていた。
「おはよう。今日は忙しいと思うけど楽しもうね。」
「はい。」
少し遠くに学院祭の門が作られているのだが、まだ開いていないのに人でごった返している。
「すごい人だな。」
「はい。聞いた話だと、ここの王都はこれがメインイベントの様で大人気だそうです。」
「へぇ~。娯楽が少ない分こういうのに人気が出るんだな・・・。」
ふむ・・・と腕を組みながら商売のことを考えていた。
「どうされたのですか?」
「いや・・・。もう年取って体が思うように動かなくなったら商売でもしようかと考えていたのさ。」
「リュシオル様なら動かなくても魔法で出来るので問題ないのでは?」
「そこまでして働きたくない・・・。」
未来の話をしてウフフと2人で笑っていた。
「何か面白いことでもあったの?」
学院の院内を歩いているときにベリエが合流した。
「いや~。年取ってもうおじいちゃんになってから何しようかなって話をしたら、ルーチェがおじいさんになっても魔法でいけるじゃないかって言われて・・・。俺が働きたくないって言ってさ。」
「ふふ。ルーチェも働かせすぎよ?リュシオルだってぎっくり腰になったり・・・ふふふ!確か言面白いわね。おじいちゃんになっても冒険者って。」
「だろ?早く引退しないとね?」
「ならもう引退できるんじゃない?」
「出来そうだけど、がんばるよ・・・。」
「嫌々感が半端ないね・・・。」
楽しい話に花を咲かせながら教室にたどり着いた。
すると、鬼の形相の女生徒が突っ込んできた。
「リュシオル君はこれ!ルーチェちゃんはこれ!ベリエちゃんはこれを!」
鼻息荒くさせだされたのを持って更衣室に押し込まれてしまった。
「これを着るのか・・・。」
「これはいいですね。」
「これって・・・。」
リュシオル・ルーチェ・ベリエがほぼ同時に更衣室でつぶやいた。
「「「「きゃ~~!!」」」
リュシオルが出てくると、黄色い声が凄かった。
「うぉ~~~!」
続いて出てきたルーチェとベリエにも男からの黄色い声である。
リュシオルは燕尾服で手袋をして執事風。
ルーチェはメイドさんの服。
ベリエはドレスみたいなメイド服であった。
「着替えさせられたか。」
先に登校していたプワソンも制服から騎士の服になっていた。
「皆さんも似合っていますよ。」
「そうですわ似合っていますわ。」
出てきたのはエクラとレオーネである。
エクラはチャイナドレス風の衣装で、レオーネはまんま修道女のような格好にアレンジを加えたような衣装である。
「みんなもかわいいよ?」
見事なカウンターである。
「(完璧な不意打ちですわ。)」
「(ここまでストレートだときますね・・・。)」
「(うわ~顔赤くなってないかな?)」
あまりに不意打ちでエクラはやれやれといった表情。
レオーネは少し横に顔をずらし、にやける口元を手で押さえる。
ベリエは下を向き、頬に手をあてた。
「みんなどうしたの?」
「「「何でもないです。」」」
「(こういうことは敏感なのに意外と鈍感なところがあったり・・・。リュシオル様が分からないですね。)」
ルーチェもため息をついてやれやれといった表情をしていた。
今日は短いですがこれで。
実は・・・スコーンを作っていて時間が押しました・・^^;




