~200~
エクラは無事に勝ち残り、本選への切符を手に入れた。
「おかえり~。」
「わたくしの戦いはいかが?」
余裕の顔をしながらエクラは観覧席に戻ってきた。
「会場からは舞姫って言われていたわよ。」
「なるほど・・・。それを主流に考えていきますわ。」
「2つ名は青の舞姫かしら?」
エクラはふむと顎に手を当てながら考える仕草をした。
「これ以上見せるのか?」
「いいえ?これで方向性が決まっただけなので普通に後は戦うと思いますわ。」
エクラはこれ以上、戦い方を見せないということだ。
戦闘の隠し玉多ければ多いほうがいい。
「ギルド名をここで決めようとするのか・・・。」
「だって、2つ名は他人からの評価で決まるものですわ?自分から名乗っても広まらないものですわ。なので、今回は2つ名調査の場にさせていただきましたわ。それに、圏は学院では使わないことに戦っている間に決めましたの。ここで全て出すのは愚策化と思いましたわ。」
しかし、学院ですべて出さずに隠したままにするようだった。
戦闘の仕方でギルド活動でばれてしまうことが頭によぎったようである。
「それはいい考えだ。今まで身に着けた戦闘の動きの中で、2つ名が付くといいものだな。私もそうしよう。」
「そうね。私もすべてじゃないけど、トンファーを使わずにグローブで似た動きをして反応を見てみるかな?」
プワソンとベリエもエクラの作戦に乗り気の様だった。
「プワソンは剣だけで頑張るのか?」
「サブで何か使える武器があれば戦い方の幅が増えるのだが、しっくりくるものがなくてな。」
皆、2種類の武器を使いこなしているため、自分も・・・と考えているようだが見つからないみたいである。
「今度武器屋で色々と見せて貰ったらどうだ?」
「そうしようか・・・。何か掘り出し物でもあればいいのだが・・・。」
「もしかすると、いい武器が手に入るかもしれないしね。」
「そうだな。今日は早く終わることだし、帰りでも見に行ってみるとするか。」
武器屋で新たなる武器を見に行くことにしたようだ。
「次の試合がすぐ終わってしまいましたね。3年生の方では?」
「よくわからないけど、中々強かったわね。」
「本選は油断せずに行った方がいいですわ。」
エクラの次のブロックの3年生の生徒は要注意のようだ。
「あ!あの子は同じクラスのラーク君じゃない?」
「あ~王族を守る騎士をしている?」
「ほら。リュシオルが手合わせをした子じゃないか。」
「思い出した!そうそう。真っ直ぐな心で向かってきて、清々しい手合わせだったな。」
あの手合わせは、すっぱりと負けを認めて、これからも精進していくための通過地点な儀式のように感じられた。
「でも、少し様子が変じゃないかしら?」
「え?何か変ですか?」
エクラが違和感に気づき、レオーネも言われて見てみるが何も見えなかった。
「リュー君は見えた?」
「確かに黒いモヤが一瞬見えた気がしたけど・・・。」
「私はそんなのは見えなかったけど、違和感を感じただけ。でも、気のせいだったみたい。」
「日光の加減じゃないかしら?ちょうど雲がかかったりかからなかったりしていましたわ。」
「そうね。じゃあ私の気のせいね。」
光の反射の加減だと結論づけたが、リュシオルは少し気になったのでルーチェにこっそりと耳打ちした。
「ルーチェ・・・。少し気になるから調べてくれないか?怪しい行動があったら報告して欲しい。でも、おかしくなさそうだったら、軽く調べるだけでいい。」
「かしこまりました。」
小さな声で会話し、自然な形で皆との会話に戻った。
「では、私もそろそろだから行くとしよう。」
「次はプワソンか。」
「頑張ってください!」
レオーネからの熱烈な応援を受けて、颯爽と控室に向かっていた。
「プワソンの時だけ応援が凄いんじゃない?」
「そ・・・そんなことないですよ・・・。」
「え?レオーネってまさか・・・。」
「そうなのよ。エクラは知らなかった?」
「初耳ですわ。そうでしたの・・・。」
「ま~。暖かい目で見てあげて?」
「そうですわね。本人同士のことですもの。わたくしは見守るだけですわ。」
「ありがと。」
「もう!私をのけ者にして話を進めないでください!」
女の子同士で喋っている会話だが、全て小さな声で行われていた。
しかも、男性陣が試合を見て、こちらに気が回っていない間の話である。
「どうかしたの?」
「「「なんでもない(です)(わ)。」」」
見事に3人の声が重なったのである。
ついに200話到達です!。
あっという間にここまで来た気がします。




