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「さて、これらを踏まえて、今後の対策など考えていこうと思うのだが・・・。これの情報しかわからない状態ではどうしようもない気がするな・・・。」
「そうですね。魔動生物が現れたというだけで組織が絡んでいそうですがどの組織か分からないですしね。」
「もしかすると、盗賊団がたまたま見つけたとかあるかもしれぬしな。」
「でも、改造されていることを踏まえると、研究者も絡んできている気がしますね。」
憶測での話し合いしかできず、対策を練ろうにもどうしようもなかった。
「とりあえず、これから情報を集めていくことにしましょう。今は魔動生物が出て、それが改造されていた・・・。という事実しかわかっていません。ですので、これらに関することの情報を集めてまた会議を開きましょう。」
「そうだな。今なにもわからない状態で対策など出来ぬものな。」
話が進みそうになかったので、調べる時間を取ることにした。
「ギルドで過去の討伐情報などを片っ端から集めてくるぜ。」
「では、受付では不審な目撃情報を集めます。」
「王宮の方で保管されている資料を見てくることにしよう。」
「私のすることがありませんが・・・独自で動いてみることにします。討伐に関しては私が出向きますのでお知らせください。」
「どうやって伝えたらよいのだ?」
「そうですね・・・。少しお待ちください。」
おもむろにアイテムボックスから魔石を取り出し、魔法を込める。
「皆さんは装飾具を付けるならどんな形がいいですか?」
「私はペンダントがいいです。」
「俺は腕輪だな。」
「私は指輪にしてもらいたい。」
「私も貰えるなら欲しいのだが・・・。」
「プワソンはまた別口で皆の分と一緒に作るよ。これは緊急で作るから簡単な機能しかつけれないしね。ではでは・・・。」
鉄を取り出し、魔石を中心に加工していく。
「これがシフラさん。腕輪がマスターで、指輪がドゥクスさんので。」
3人に渡すと、まじまじと眺めていた。
「下手なところで買う魔道具より性能もいいし、宝石よりきれいだな。」
「私もこんな綺麗な宝石を買ってくれる彼氏が欲しいわ~。」
「これなら貴族としての品位も落とさずに済むな。綺麗に加工してくれて助かった。」
「いえ。これぐらいで良かったらお安い御用ですよ。」
リュシオルはにっこりと微笑んだ。
「それでは、各自の情報の報告会はいつに行いましょうか?」
「調べるに時間がかかるから10日ほどは欲しいな。」
「申請等含めて時間がかかるから20日は欲しいものだ。」
「では、20日後ぐらいで集まりましょうか?」
「それでは、学院祭もありますし、それが終わってからはどうかと。」
プワソンの提案で学院祭の終わった後の日に集まることが決まった。
「そうだな。色々忙しいものな?」
「そうですよ・・・。まさか武闘大会に出されるとは思ってもいませんでしたし。優勝した子との特別戦だけに勘弁してもらいましたが。」
「いやいや。君と戦ったら死んでしまうじゃないか。」
「手加減はもちろんしますって!どんな怪物だと思われているんですか・・・。」
げんなりとしたリュシオルは、少し冷めてしまったコヒを飲むのだった。
「さて、それでは解散としようか。」
「そうですね。まだ仕事も残っていますし。」
「うゎ~。思い出したくない事実を思い出させよった。」
シフラとギルドマスターは席を立ち帰るようだった。
「では、私たちはギルドに帰ります。」
「あぁ。ご苦労だった。そなたたちはどうする?食事でも食べていくか?」
「いえ・・・。食事を待っている犬がいるので帰ります。」
「リュシオル・・・。確かに今あいつの尻に尻尾が見えたな。」
「だろ?そんなわけで今回は帰らせてもらいます。」
「わかった。また今度食事に誘うことにする。」
「ありがとうございます。」
当主に帰りの挨拶をし、寮の自室に転移した。
「お?おかえり~。飯を作りに帰ってきてくれたのか?」
「食事は私が作りますのでゆっくりしてください。」
「ありがとう。おねがいするね。」
ルーチェが食事の準備を担当することになった。
「どこに行ってたんだ?」
「あ~プワソンの所にな。」
「あの件についてだろ?何かわかったことがあったか?」
「あまり情報がなくて、先に進まなかったから調べてからまた対策を考えることにしたよ。」
「じゃあ、一応一件落着なんだな?」
「一応ね。まだやることはあるけど、少し落ち着けるから他のことに手を出せるかな?」
「最近リューの個人の時間がなかったもんな。」
「確かに。目まぐるしく進んでいたよ。少し休むとするかな?」
ソファーに座り、大きく伸びをする。
「そうした方がいいぜ。それに段々寒くなってくるから、買い物とかして冬支度を始めていく方がいいぜ?ここは結構冷えるらしいからな。」
「そっか~。じゃあ次の休みにあれの受け取りと合わせて買い物するかな。」
「おぅ。行ってこい行ってこい。」
「食事が出来ましたよ。」
意外と話し込んでいたのか、いつの間にか食事が出来ていた。
1人寂しいだろうと、ベリエも呼んで4人で食事をするのだった。




