~192~
住空間に戻ってくると、フリースペースで思い思いに過ごしていた。
「あ!リュー様だぁ~。さっきは知らなくてごめんなさい。」
「構わないよ。明日なんだけど、ジェイドにおつかいを頼みたいんだ。」
「ギルドに用事~?」
「察しがいいな。それと、クレールス家のプワソンにも伝えてほしいんだ。」
「了解~。明日朝1番がいい?」
「その方が助かるかな?」
「わかった!頑張って起きていくね~。なんて伝えたらいい?」
「解体が終わったと伝えたらわかるから、いつ見るか返事を聞いといて?」
「お安い御用さ~。」
ゴロゴロとしながら聞いていたジェイドに頼み、ソファに座った。
「お父様。紅茶をどうぞ。」
いつの間にか隣にいないなと思ったら、桜が紅茶を用意してくれていた。
「解体したのですか?」
お風呂上がりのアルシュが近寄ってきた。
「あぁ。何とも言えないほど気持ち悪かった。人型なのに人として作られていない。それなのに人間の憎悪が凄いといったものだよ。」
「あ~昔もそんな感じだったと思います。昔は丸い球体が入っていた気がします。」
「球体だけだったのか?」
「はい。それ以外は入っていませんでした。」
「なら魔石が足されているってことだな。」
「魔石が入っていたのですか?!」
頷き、入っていた魔石を取り出し、机の上に置いた。
「純度もそこそこの物ですね・・・。これがあの耐久を見せていたのですね。」
「おそらく。魔力がなくなったアレはナイフで簡単に切れたからね。魔力を使うことによって強化するようになったんだな。」
魔石を手に取り、転がしながら考えた。
「でもこれを考えれるってことは相当な頭脳がいるってことだよな?なんか絞れそうな気もするんだが・・・。」
「それは、ギルドにお任せする方が早いかと思われます。情報量で行ったらギルドはすごいはずですからね。ただ、使いこなせるかどうかは人次第ですがね。」
「それはどこもだよ。さて・・・。桜。紅茶ご馳走様。」
「いえ。お気になさらず。」
紅茶のカップを置き、ソファーから立ち上がる。
「また連絡するから、ゆっくりしていてくれ。」
「分かりましたわ。明日は私がお傍に。」
「アンブルが来てくれるのか・・・。今から来ない?ちょっと一緒に寝てほしいかな・・・。」
直接ではないが、憎悪の詰まった物を見て精神が不安定になっているようだった。
少し、ぬくもりが欲しいと思い、アンブルに声をかけてしまった。
「!!!喜んで添い寝しますわ!」
「お願いするね・・・。」
食い気味にアンブルが返事をしてきた。
フリースペースをアンブルと後にし、小さな声で返事をした。
最初はちょっと引いたが、それでも寂しかったのか素直に頷いたのだった。
「(かわいいですわ~!)人型がいいかしら?それとも小型?大型?」
「抱き心地のいい獣型で・・・。」
「精一杯モコモコしますわ~!」
アンブルは鼻をフンス!と鳴らしながら気合を入れた。
寮の自室に戻ってきて、すぐにベットにもぐりこんだ。
そして少し布団をまくってアンブルを呼ぶ。
「おいで?」
「(なにこれ・・・。獣型だけどドキドキしますわ・・・。)ではしつれいして・・・。」
「アンブル気持ちいい・・・。モコモコだ・・・。」
「もちろんですわ!温泉に毎日浸かって、リュシオル様が作ったシャンプーとリンスをしておりますもの。(ふぁ~。いい匂いですわ・・・。)」
ちょうどいい大きさのアンブルを抱きしめて、頬でスリスリしたりして癒されていると、次第に眠たくなったのかリュシオルは寝てしまった。
まだ起きていたアンブルは、手の力が緩んだ隙に人型になってリュシオルを抱きしめた。
「あんな憎悪を見たら、こうなってしまいますわ。あんなものがあるからリュシオル様がこんな心が疲弊してしまうのですわ。」
頭を優しくなでながら、アンブルも夢の世界に入って行った。
短いですが、キリのいいここで投稿します^^




