~186~
とりあえず、攻撃をかわしながら考えることにした。
「物理もダメ。魔法もダメ。でも、石の矢は刺さった。ということは、点の攻撃に弱いのか?アルシュ!リンブルはどうだ?」
「今目覚められました。」
「くっ!なんだリュー!」
「無理言ってすまない。石の矢はどれぐらい刺さったか覚えているか?」
「すごく尖らして、少し刺さったぐらいだ。」
「ありがとう!じゃあ、針ぐらいか・・・。」
攻撃をかわしつつ、会話をし、魔法を構築する。
「これでいいはず!『アイアンニードル』!」
無数の鉄の針が出現し、白い魔物に向かって一直線に飛んで行った。
そして、無防備なところにすべて刺さることとなる。
「!!!!!」
「これでも動きを止めるだけか・・・。待てよ?魔動生物だよな?なら!」
魔動と言われている部分に気が付き、考えをまとめる。
「リュー!奴が針を外し終えたぞ?!」
「長い針で魔力の高いところを・・・見えた!」
体の中心に魔力が固まっているところを見つけ、そこに目がけて針を刺した。
「これでどうだ?!」
「!!!!!!~~!!!!!」
それでも動き、引き抜こうとする。
「もしかして・・・!リュシオル様!その針を持って魔動生物の魔力を吸い出してください!」
「そっか!魔力がなくなればこいつも!『マナドレイン』!」
持って暴れているところに滑り込み、刺さっている針を手で持ち、とっさに魔法を構築し、魔力を全て吸い出す。
暴れていた魔動生物は次第に動きを止めて、やがて動かなくなった。
「これで終わりか?」
針を作り出し、倒れている魔動生物をツンツンと突くが、動きを完全に止めていた。
「やったのか?」
「あぁ。倒したみたいだ。」
その言葉を聞いた瞬間に、レオーネが倒れた。
「おっと!受けとめたのでご安心を。」
アルシュのナイスアシストで受け止められる。
「さて・・・帰るか・・・。」
「その魔動生物も持っていくべきかと・・・。」
「もちろん持っていくよ・・・。気持ち悪いけどね・・・。」
あまり触れたくないのか、サッとアイテムボックスにしまい、皆の元に歩み寄った。
「怪我はどう?」
「動けるには動けるけど、しばらく休養しないと・・・という具合かな?」
「そうね・・・。武闘会までには治りそうだけど、ダンジョンはしばらくお預けね。」
「プワソンは目を覚ましそうか?」
まだ倒れたまんまのプワソンの方を見ると、血色は少し良くなったが、目を覚ましそうになかった。
「先に、プワソンを実家に送った方がいいんじゃないか?」
「そうだな。転移で先にクレールス家に行くがいいか?」
「お願いしますわ。この状態では何もできませんもの。」
エクラからも頼まれて、クレールス家に転移で移動した。
「おかえりなさいま・・・どうされましたか!?」
「セバス・・・。至急プワソンを部屋に運んで。」
リュシオルが背負っているプワソンを見て驚いていた。
「これはプワソン様・・・。意識がないのですね・・・。そこのお前プワソン様をお部屋にお運びしろ!エクラ様これはどうしたのですか?」
「説明するわ・・・。その前にお父様を至急お願いしますわ。ダンジョン内で起こった重大案件ですの。」
「さようでございますか・・・。では、ギルド長も呼び出すべきでしょうか?」
「その方が早いわ。」
「なら俺が連れてくるよ。」
「助かりますわ・・・。他に連れてくるべきだと判断した人を連れてきてほしいですわ。」
「了解。ちょっと待っててね。」
リュシオルはサッと転移した。
「他の方々も応接室へ・・・。」
「待っている間に汚れを落としてきてもよろしいかしら?」
「サッと入ってくるだけだから・・・。」
「そうですね・・・。旦那様が帰ってくるまでもう少し時間がありますので、どうぞお入りください。」
「ベリエ行きますわよ。」
エクラとベリエは湯あみに向かった。
「そちらのお嬢さんはどうしましょうか?」
「気を失っているだけだから、仮眠室でも案内して欲しい。」
「そうですね応接室の隣に客室がありますので、そこにでも。」
「わかった案内してくれるか?」
アルシュはぐったりと気絶しているレオーネをお姫様だっこのまま部屋に寝かせに行った。
「起きたら隣にいることを伝えてくれるか?」
「侍女に見させますので、起き次第、案内いたします。」
「助かる。では我々は隣の応接室に居たらいいか?」
「案内します。」
セバスに案内され、応接室に入った。
「お召し物だけでも着替えますか?」
「あ~そうですね・・・着替えるところってあるっすか?」
リンブルの汚れている格好を見て、セバスが声をかけてきたので、自分を見て納得した。
「こちらへどうぞ。お待ちの方はどうされますか?」
「私は汚れていないので構わない。」
「かしこまりました。すぐにお茶を用意いたしますので、座ってお待ちください。」
アルシュは言われた通り、ソファーに座って待つのだった。




