~184~
白いソレと対峙していたベリエは、弾き飛ばして上層を目指す道に向かって走り始めた。
「行かせませんわ!」
ベリエの後を追って来ようとしたソレをエクラの圏とリンブルの素早い短剣で阻止をする。
「ベリエより早い俺の動きで翻弄してやるぜ!」
「早いけど頭が残念ですわ!」
「それを言うな!わっ!」
「そんなことを言っているからですわ!クッ!こっちもですの?!」
中々な素早い動きで攻撃をかわしたり、当たっても痛みを感じていないのか攻撃を仕掛けてくる。
「これは何なんなのですの?!」
「私から見ると、遊んでいるようにも見えます!」
プワソンを治療しながら、冷静に見てエクラに伝える。
「そのようですわね!言い方を変えたらいたぶっているとも言いますわ。」
攻撃をしながら時間稼ぎをする。
「この時間稼ぎがいつまで持つか・・・。ベリエ・・・任せましたわよ・・・。」
一方戦線を離脱し、ギルドに向かうために転移陣に向かって全力で走るベリエ。
「いったい何なの?!あれは異物過ぎるわ・・・。早く・・・早く行かないとみんなが・・・!」
本当はリンブルの方が足が早いのだが、方向音痴を兼ね備えているところがあるので、その役目が次に早いベリエにまわって来たのだ。
ただ、転移陣に行くまでに魔物はちらほらと出てきてしまう。
1人では少し無理があるのだが、残してきた仲間のため少しでも早く着くよう少し体が傷つこうが無理に突破していく。
「お前たちに構っている暇はないの!!」
行く手を邪魔する魔物にカウンターを叩きこんだりしながら先を急いだ。
残ったメンバーは少しずつ疲労がたまってきて、さっきより傷が増えていた。
「プワソンは・・・馬鹿弟はまだ間が覚めませんの?!」
「エクラちゃん・・・。傷が深かったみたいで応急処置をして、治しているんだけど血が流れすぎて・・・。」
「そう・・・。私たちも少し疲れが出てきているみたいで危ないかもしれないわ・・・。もしそうなったらレオーネ・・・あなただけでもお逃げなさい。」
どこまで持つか分からない、ましてやいつ救援が来るか分からない状態で、このまま戦況がもつとは思われなかった。
せめて逃げる足があるレオーネだけでもと思うのは間違いではない。
「そんな!皆を見捨てて逃げることなんで出来ない!せめて戦えなくなったらバリアで皆を守るわ!」
「ありがとう。でも、心中することはないですわ。これはリーダー・・・いえ弟の招いた参事。姉が責任を持つのが筋ですわ。そうね・・・リンブルと一緒に逃げなさい。」
「それには答えられないぜ?女の子を残して逃げたって事実がバレたら・・・母ちゃんに殺されてしまうぜ。そんな寂しいこと言うなよ。」
肩で息をしながらリンブルは答えていた。
「少し休憩したいから弓に切り替えるぜ?」
「いいですわ。なら地獄まで付き合ってくださいね?」
「おうとも!さぁここからだぜ?」
ニヤリと口の端を吊り上げリンブルは弓に手をかけた。
「最近こんなことが出来るようになったんだ。お前に食らわせてやる!」
そう言って、矢を使わずに小石を持って弓をつがえた。
すると、石の矢が生まれて矢になっていった。
「これでもくらえ!」
放たれた矢は鋭く尖っていたため、奴に刺さった。
「!!!!~~~~~!」
少しだ刺さっただけだったのか、すぐに引き抜いてしまった。
「これでもダメか・・・。でも!少し刺さった!」
「少し効きましたわ!これを続けて・・・きゃあ!」
「エクラ!」
「くっ!大丈夫ですわ・・・まだ戦えますわ!」
奴は少し怒ったのか、次に攻撃してきたエクラを吹き飛ばしたが、飛んだだけなのですぐに戦線復帰した。
「まだまだ粘りますわよ・・・。」
「あぁ・・・。もちろんだ・・・。」
ギルドから救援が来るまで頑張ると誓ったのだった。




