~181~
もうそろそろ主人公が出てくる予定です・・・
さらに進んで行く一行。
順調に進み、道に出てくる魔物をどんどん倒して行く。
「中々強くなってきましたわね。」
「階層が深くなると、そりゃ~だんだんと強くなっていくさ。」
「昔だったらここまで潜れていないですね。」
うんうんと頷く。
「意外と進むことが出来たが、そろそろ夜のことを考えないとな。」
「そうですね。ここからなら・・・。もう少し行ったところに休憩所があって、そこより先なら・・・。階段を下りて少ししたところにありますね。」
「時間的にはまだ大丈夫だな。下の階の休憩所にしよう。」
「了解!リーダー!」
まだ時間はあるため進むことにした。
やらなければと気が焦っているからもあるのか、先をどんどん進んでいた。
「とりゃ!」
「なかなかッ手ごわいけど私の敵じゃないわ!」
戦闘も慣れてきたのか、率先してリンブルとベリエが戦っていた。
その一方で、軽い怪我などを治すために魔力を温存しながらレオーネはみんなを見ていた。
「よし!そろそろ階段じゃないか?」
「俺が見てくるよ!」
リンブルが少し先の方を見に行くと走って行ってしまった。
「全く・・・。ほんとに犬ですわね。」
「そうだな。忠実に主人の命令に従う犬だな。」
「うふふふ。リンブル君怒りますよ?」
「あははははは!その前に私が笑ってしまっているわ!」
リンブルの帰りを待っていると、すぐに赤い髪が見えた。
「階段があったぞ!下に降りれそうだぜ!」
「よしよし!いい子だ。」
ベリエがふわふわな毛のリンブルの頭を撫でていた。
「やっぱり犬扱いじゃないか・・・。」
「耳と尻尾が生えているようですわ。」
「いっそうのことリュシオルに耳と尻尾を作ってもらうといい。」
「それはかわいいですわ!ですが、着けるのがリンブルだと残念ですわ・・・。」
「どういう意味だこら!」
やれやれといった仕草をしながらエクラが残念なものを見る目で見ていた。
そもそも、かわいいと言われて喜ぶのはおかしいのだが、貶められると人間怒ってしまうようだ。
「さぁ。不毛な言い争いはそこらへんにして、先に進むとしよう。」
「ぶった切りやがった・・・。」
「そうですわね。そろそろ体も悲鳴を上げてきましたわ。」
「早く休憩所に行ってテントを立てましょう。」
リンブルに案内してもらい、階段で下に降りた。
「この先どれぐらいだ?」
「ここをまっすぐ行き、左に曲がって、少し行ったところに扉があるはずなんです。」
「わかった。そこを目指そう。」
慎重に進みながら休憩所に向かっていったが、向かう途中魔物と一切出会わなかった。
「出会わなくてよかったですが・・・。なんだか変な感じですね。」
「あぁ・・・。本当に何か起こっているように思われてきた。」
「もうここらへんで引き返してギルドに報告しませんか?」
レオーネが引き返すように勧めてきた。
「う~ん。これまでなら引き返そうと思っていたが、ここは私たちのスキルアップと思って進むべきだと考えるが、皆はどうだろうか?」
「わたくしは進むに一票ですわ。」
「わたしも進むわ。」
「俺も進むだな。」
「分かりました。できるだけ無理しないように進みましょう。」
今いくら言っても無理だと判断したレオーネは満足いくまでみんなを進ませてあげるほうがいいと判断したが、この判断が後々に響いてくるとはこのとき誰もが思わなかった。
「休憩所は・・・今は誰もいないな。」
「そうみたいだね。これなら美味しい料理を作ってしまいましょうか。」
「賛成ですわ。暖かいスープが飲みたいですわ。」
「じゃあ、私がスープを作りますね。」
「それじゃあ私がメインを担当かな?」
「その間にテントを男で立てとくよ。」
「え・・・わたくしは?」
皆に役割が決まっていく中、エクラだけ残ってしまった。
「じゃあ、野菜の皮むきしてくれる?」
「それぐらいならできますわ。」
「任せたよ。」
役割分担をして、無事準備を終えた。
途中、エクラが野菜の皮と一緒に手の皮まで剥く事件があったが、すぐに治療されて跡形もなくなった。
「ほんとエクラって何もできないわね。」
「料理以外なら問題ないですのよ?」
「女のこととして致命的な気がするけど・・・。」
「う・・・。」
膝と手を地面につき、うなだれていた。
「みんなしてひどいですわ・・・。」
「料理以外なら女の子として何が出来るんだ?」
「刺繍と・・・。」
「あれは適当に針を通して丸まった物だったな~。」
「掃除が・・・。」
「物が割れそうで怖かったです。割れないものはほとんど落としたりしていました。」
「せん・・・「やったことないでしょ?」はい・・・。」
やはり壊滅的だった。
「淑女としては完璧ですわ!」
「ダンスとか?」
「そうですわ!後、礼儀も大丈夫ですわ!」
「貴族としては生きていけるけど・・・ってことね。」
「どうせ貴族ですわ・・・。」
エクラは体育座りをしていじけていた。
「まぁまぁ。姉も意外とできるのだから落ち込まない。それでもクレールス家の長女ですか?」
「そうですわ!わたくしはクレールス家長女のエクラですわ!」
「これで良しと・・・。さて、見張りの順番を決めて休むとするか。」
立ち上がり、拳を突き上げたところでプワソンは見なかったかのように話を進めた。
「なんですの!?言った後放置ですの?!」
「機嫌が直ったから終わり。では、姉さんが一番でよろしいですね?」
にっこりと冷たい笑顔を浮かべながらエクラに言う。
「そ・・それでよろしいですわ・・・。」
「あとは・・・私、リンブル・ベリエ・レオーネの順でいいか?」
「「「「「「・・・はい・・・・。」」」」」
「よろしい。では休みましょう。」
プワソンの意外な素顔を見た気がした・・・。




