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そして、長く潜ることのできる休日がやってきた。
「よし、本日から本格的に潜ることにする。リュシオルもその予定であると聞いたから2日は帰ってこないのが確実だ。」
「そしてもう出発したから大丈夫だぞ!」
「じゃあ、行くとしますか。」
みんなはアイテム袋と、装備とお揃いのマントを袋に入れて寮を出発した。
ギルドの近くに着替える場所を見つけているのでそこで着替えることにしている。
「さて、これで準備は完了だ。」
「お揃いのマントにしてよかったね。」
「うんうん。装備も新しいのも混じったから誰か分からないようになったな。」
「可愛く仕上がりましたわ。さすが貴族御用達の装飾屋ですわ。」
着替えているのは、クレールス家がよく使っている装飾屋である。
注文と着替えに使う部屋の使用料を払うとの契約で使わせてもらっている。
ちなみに出る時は裏口から出るようにする予定だ。
「無駄に派手になってないから大丈夫だな。」
「よし!さっそくギルドに行ってダンジョンに潜ろうぜ!」
「あぁ。もちろんだ。」
裏口から見られないように外に出てギルドに向かった。
「おはようございます。本日は?」
「ダンジョンに2日潜りたいと思います。」
「わかりました。休憩所は所々にあるので地図で確認してください。」
「はい。では処理をお願いします。」
シフラに処理をしてもらい、ダンジョンに潜ることとなった。
「さて、前回の続きから潜るぞ?」
ダンジョンの転移で帰ってきた場所がギルドカードに記録されているため、その機能を使う。
ちなみにこの地点転移は限られたところしかないため、そこに行かないと使用できないものである。
なので、どこででも転移できてしまうリュシオルは規格外ということになる。
「ここからでしたわね。レオーネ。案内頼みますわよ?」
「もちろん。みんなも怪我の無いようにね?」
レオーネの言葉を聞き、頷いてから出発した。
相変わらず、弱い魔物が出てきて狂ったように襲い掛かってきていた。
「こんなに焦って攻撃してくるなんて少しおかしくないか?」
「確かに。何かあったのかもしれないな。」
「原因を確かめに行った方が良くない?」
「出来る限り情報を手に入れに行ってこよう。」
目的の1つに異常の調査も加わり、一層やる気を出していった。
「そろそろボスの部屋になるな。」
「ボスは何になるのかしら?」
「ゴブリンの1部隊だそうです。ナイト・ファイター・マジシャン・ヒーラー・リーダーの5体だそうです。」
中級は50階から100階ぐらいあり、王都ダンジョンは50階になっている。
中級からは10階ごとにボスの部屋がある。
「なるほど。初級の続きになるのか。」
「そうみたいですわ。ただ、向こうも魔法など使えますが、こっちも使えるから問題なくってよ?」
「そうだよな?じゃあ、いつも通り行ってしまおうぜ?」
ニヤッと笑いながらリンブルが扉に手をかけた。
中に入ると情報通りにいた。
「まずは、回復役を叩いてから、遠距離も叩くぞ。」
「それならわたくしですわ!」
遠距離で操作のできる圏でヒーラーに攻撃していく。
他のメンバーもそれぞれ攻撃を仕掛けていった。
「中々手ごわかったですわ。」
「ヒーラーを倒した後のナイトの守りがキツイかったな!」
「問題なく倒せたんだからいいじゃない。」
少し手間取ったものの少ない時間で倒すことが出来た。
「さて、さらに進んで、休憩所を見つけたら少し休憩して食事にしよう。」
「そういえばお腹が減って来たわ。」
「お昼を過ぎていそうだな。」
「時計を持ってきていたから見てみたのだが、意外と時間が経っていたことにびっくりした。」
プワソンが皆に見せると、ちょうど2時を指していた。
「おぉぅ。意外と時間たっていたんだな。」
「時間を見るとますますお腹が減ってきましたわ。」
リンブルからはお腹の音が聞こえてきた。
「ということだ。早く見つけないとリンブルが餓死してしまうことになる。」
「そこまで飢えてねーよ!」
やんやと言いながら一行は進んで行った。




