~17.5~
私は名もない汚い醜い奴隷。
小さい頃から奴隷だったのか分からないが、物心ついたときにはすでに汚く醜くなっていた。
それでも、何とかまとめて買われたのだが、醜かったために前の主人に罰をいっぱい受けてさらに酷くなった傷・・・
いよいよ商談に行く途中の森に置き去りにされた・・・いや捨てられた。
どうしようもなくなって、ふらふらと森の中を進んでいると、どこからかガサゴソと音が聞こえて、何かあったわけじゃなかったけど、ついびっくりして悲鳴をあげてしまったの。
段々怖くなって後ろを振り返ると大きな銀色のウルフがいて、私なんか一口で食べてしまえるぐらい大きかった。
もう、生きることを諦めていたと思ったら、体が震えていて両手で体をきつく抱きしめていた。
そしたら、どんどん怖くなってきて・・・
気づいたらもう木の幹に体が当ってこれ以上下がれなくなっていた。
生きたい!って思ってたら自然と声が出てしまっていた。
「助けて・・・」
そんなに大きい声ではないが声を絞り出していた。
そう、声なんて悲鳴と助けての2言しか言っていないのにあの人はきてくれた。
「おい!こっちだ!!」
私から注意をそらすために、わざわざ大きい声を出して注意を逸らしてくれた。
私はもう腰が抜けて立てないし、走って逃げるだけの体力もなかったから。
でも、あの人が来て助かったと思ったけど、大きいウルフに勝てるの心配になってしまった。
だけど、あの人はなんのこともなく立ち向かっていた。
ウルフも唸り声をあげて、あの人を狙っていた。
あの人が剣に手をかけると、大きなウルフはあの人に向かって走り出したの。
危ない!って思って声を出そうとしたけど、あの人はひらりと宙を舞って、狼の頭に手を着くかのように剣を刺して、逆立ちのようになってすぐに狼の後ろに飛んだの。
まるで、舞を舞っているみたいに綺麗だった。
「いっちょあがり~!よし・・・大丈夫かい?」
あの人は簡単にウルフをやっつけて、私に近づいて手を差し伸べてくれた。
だけど、すぐにあの綺麗な手を取ってはダメだと思って、最大限のお礼を言わなきゃと思って、腰が抜けてたけどそんなことは忘れて土下座してお礼を言った。
「このような卑しいものを救って頂きありがとうございます。ただ、私は奴隷としても役に立たないとのことで捨てられたのです・・・このまま生きてはいけないので救わなくても良かったのですよ?」
けど、私は汚い醜い奴隷。お礼も素直にいえない。
そう思っていたらあの人は膝をついて私を抱きしめてきた。
あまりの突然のことで頭の中が真っ白になってしまったけど、すぐに突き放そうとした。
だけど、非力すぎて無理だったからお願いしてみたの。
でも、あの人は泣いていいって、辛くて悲しいなら泣いていいんだって言ってくれてうれしくて大きな声で泣いてしまった。
落ち着いて少し考えて、この人の傍で役に立ちたい!って思ったから恩を返します!連れて行って欲しいって頼んだら、断わられそうだったから、勢い良く頼み込んでみたら、考えてくれそうな反応してくれた。
とりあえずは、町に戻ることになってあの人と一緒に戻ったの。
町に戻ったら、あの人は色んな人に声をかけられてた。
やっぱりすごい人なんだなって思ってたら、名前が分かったの。
あの人の名前は『リュシオル』って名前だった。
すごく素敵な名前。
それから建物に入ったり色々していて、女の人と奴隷商館に行くことになった。
また私、売られてしまうのかなって思っていたら、
「今待っている間に女の子に質問します。調べてもらっていることが私が考えてるのと同じ結果であれば、あなたは、選択肢が2つほどあります。また奴隷として売られるのを待つか、それともリュシオル君の奴隷になるか。今、もし選べるのであれば、どうしたい?」
って女の人に言われてすぐに答えたの。
「私などが選ばせてもらえるなら、その・・・リュシオル様にお仕えしたいです。」
そしたら、私の意志を尊重してくれるって言ってくれたの。
すごくうれしかった!
そして、リュシオル様は決めていたみたいで、私を貰ってくれるって!
もう天にも上る気持ちだった!
さらにすごいことが起こったの!!
契約したら、奴隷の首輪がすごく光った後、首に巻きついてた感じが変わっていてアクセサリーみたいに変化したみたいだった。
気になってたら、奴隷商館の主人が鏡をもってきてくれて・・・
見た瞬間すごく綺麗になっていて、奴隷じゃないみたいだった!
うれしくてうれしくてまた泣いちゃった・・・
今日はさらに続いて、名前までも・・・
私の名前は『ルーチェ』。
そして、体中の怪我まで綺麗さっぱり・・・
今日は泣きすぎて疲れていつの間にか意識を手放していました。
ぎりぎりでした!!




