~178~
グロース・ファクトのメンバーは王都ダンジョンを快調に進んでいた。
「でもこれはおかしくないか?」
「うん。なんか感じが違う気がするけど・・・。でも、これが中級なんじゃない?」
「そうなのかな?いや。そうなのかもしれないな。」
まだダンジョンが2つ目なために少しの疑問が流されてしまった。
「それにしても、弱いモンスターがやたらと出てくるわね。」
「そこまで弱いわけじゃないんだけど・・・。よく出てくるぜ!それに魔石もよく集まるからいいな!」
ドンドン進んで行き、2階まで進むことが出来てしまった。
「実力がついてきたんだな!ここまですごい勢いで進むことが出来たぜ!」
「そうだな。そろそろ夜になってくるからここらへんで切り上げよう。」
「お腹も減ってきましたわ。帰りましょう。」
「ねえねえ!リュシオルにはいつ言う?」
「そうだな・・・半分の25階まで降りることが出来たら報告しようか。」
「賛成ですわ!」
ウキウキしながらダンジョンを脱出し、ギルドに報告した後、途中変身を解き、寮に帰って行った。
そのころリュシオルは・・・。
「もう!植物の魔物がうっとうしい!」
「確かに絡まってくるのは少々いただけないです。」
樹海のダンジョンは同じく階層を下っていくのだが、空間魔法か何が作用しているのか分からないが1階1階が広大な樹下になっている。
「全部燃やしてしまおうと思っても、指定した範囲が燃えて、その後すぐに元に戻ってしまうし・・・。なんなんだ?」
「確かに不思議ですよね・・・。なんででしょうね?」
ダンジョンの不思議に疑問を抱きながら進んでいた。
「しかもずっとここは疑似的に暗いから時間がわかりずらい・・・。今何時だ?」
「えっと・・・そろそろ夕食の時間になりますね・・・。」
「それは食べてる時間か?」
「食べ終わってる時間帯ですね。」
「まじか・・・。今日はこれぐらいにして帰ろうか・・・。」
「はい。分かりました。」
リュシオルとアルシュは転移で寮に帰宅することにした。
「お!リュシオルおかえり!ルーチェが飯の支度をしてくれてもう食ったぜ?」
「それならよかった。ルーチェもありがとう。」
「当然のことをしたまでです。お気になさらず。」
「それよりどうだった?樹海のダンジョンに行ってきたんだろ?」
「あぁ。あれはすごい不思議だった。」
樹海で体験したことをかいつまんで話すと、みんな不思議がっていた。
「樹海のダンジョンって・・・。燃やされてもすぐに生えるって・・・。」
「それより、洞窟に草が生い茂っているのがおかしくないか?」
「植物がまとわりつくのも恐ろしいですね・・・。」
少し巻き付かれて、ダンジョンで動けなくなるのを想像したのか少し震えていた。
「ダンジョンって不思議だな・・・。」
「それより、皆はいつから王都のダンジョンに潜るんだ?」
「今はどうだろうな・・・。もう少ししてから行くことになると思う。」
「そっか。頑張ってね?」
「ありがとう。」
みんな言いたいのグッと我慢し、いつも通りのように見せかけた。
リュシオルも気づいていないようで、疑問に思わなかった。
リュシオルがお風呂に行った後、緊急会議が行われた。
「あれはバレていないよな?」
「大丈夫だと思いますわよ?」
「うん。気づいていない感じだった・・・。」
「プワソンの動じない顔でうまくごまかせたな。」
「私も心では心臓が暴れてた・・・。どれだけ緊張したか。」
小さな声でこそこそと話が行われたが、すぐに解散し何事もなかったように元の場所に戻った。
「わたくし達も部屋に戻りますわ。」
「そうね。また明日もだしね。」
女の子たちは自分の部屋へ帰って行った。
ルーチェは後片付けをして、リュシオルに言ってから帰る言っていたので、先に3人が帰った。
「ルーチェ。リュシオルには内緒にしておいてくれよ?」
「分かっています。皆さんの頑張りを応援していますので。」
「ありがとう。挨拶してから帰るのか?」
「はい。」
「上がってくるまでゆっくりしてくれ。」
しばらくすると、リュシオルが上がってきて、ルーチェも帰って行った。
「そうだ。リュシオルは武闘大会どうなったんだ?」
「あ~。学院長に言いに行ったら、ギルドでの活動の方で、特別枠で出てほしいって言われた。」
「それは、特別試合だな。学院長や強い人が最後に見せる戦いをする試合のことだ。」
「おぉう・・・。それはそれでプレッシャーだな・・・。」
「ぷれっしゃー?とはなんだ?」
「えっと・・・圧迫されるような感じがするってことかな?」
つい出てしまった言葉に説明をすると、プワソンはなるほどと頷いた。
「では、私の場合だと次期当主にと期待を過大にされたときに使えるということだな。」
「うん。その使い方であっているよ。」
「中々響きがいいから使おう。」
「う・・・うん。だけど知らない人も多いから分かってもらえないかもよ?」
「それがいいのではないか。分かられると困る。」
プワソンは貴族社会でこの言葉を広めていくことになった。




