~174~ プワソン
私はプワソン。
王家に仕える貴族のクレールス家の跡継ぎである。
私にはエクラという姉がいて、双子の姉弟で生まれたからそんなに年は変わらないが、先にあっちが生まれたため姉になっている。
私は将来、父上の仕事を受け継ぐ、もしくは、それ以下か以上の仕事に就くことになるが、それは私の実力次第で決まってくるのだが、今の私はそれほど実力があるわけではないため、今のところは下の仕事しかできないだろうと思う。
この学院生活で成果を見せていかないといけないだろう。
少し前・・・。4日前に初級ダンジョンを制覇してきて、今は休養期間を取っているが、そのうち中級のダンジョンに潜りに行こうと考えている。
もちろんリュシオル抜きである。
あのリュシオルはとんでもない実力を持っている。
私としては羨ましい・妬ましいと嫉妬心を少し持ってしまったが、友人にそんな感情を持つことは間違っていると考えを改めた。
「プワソン!今日は夜会ですわよ?」
「今から用意を始める。姉さんは大丈夫?」
「私はあともう少しで終わりですわよ?あちらに髪飾りを置いたのを忘れていて取りに行った先にあなたがいたから声をかけたのですわ。」
「ありがとう。すぐに用意を始める。」
貴族の子は夜会などに参加することがあるのだが、王家主催の夜会は義務で参加しなくてはならない。
他の貴族同士の場合は参加が義務化されていないため、断ることも可能なのだが・・・。
私も用意をしなければな・・・。
「プワソン様!早くお召し替えをしますよ。」
「申し訳ない。すぐにお願いしたい。」
侍女に着替えを手伝ってもらい、髪も整える。
私は終えたが、姉はもう少しかかっているようだった。
女性は化粧もあるから時間がかかるのは仕方ないが、他の貴族の女性は顔に塗りたくって仮面を被っているような女性もいたりするが・・・。
指摘するのは失礼にあたるためしないが、言ってやりたいときもある。
「もう!時間がかかってしまいましたわ!」
「何に時間が?」
「化粧ですわ!わたくしはそこまで塗らなくてもいいのに塗ろうとして、最近の流行りですって侍女に言われてしてみたけど、余りにも気持ち悪くて落としてやり直したのですわ。」
「そっちの方が姉さんの魅力が出ていていいと思う。」
「魅力は云々、わたくしはそれほど塗るのは好きじゃなくってよ。あの侍女ったら分かっていませんわ!」
「そんなに怒ったら綺麗な顔が台無しになる。」
「失礼ね。」
たわいもない会話をしてクレールス家の馬車に乗り込む。
前の馬車に両親が乗り、後続に私たちが乗ることになっていた。
「久しぶりの夜会ですわね。」
「確かに。ここ半年は行っていなかったな。」
「夜会はあまり行きたくありませんが、王家の分は絶対だから仕方ないですわ。」
「貴族の義務だから、しっかりと全うしなければ。」
「そうですわね。」
馬車に揺られて王城に到着した。
案内された巨大なホールでは、人がひしめき合っていた。
「圧巻ですわね。」
「これは他国の方も来ているな。」
「それならば仕事ですわね。」
私たちは戦場・・・ホールに向かって歩き出した。
これからの将来を決めたりするかもしれない場だ。
「これは、クレールス家の・・・。」
「はい。プワソンと申します。」
「君のことは父上から話を聞いているよ。」
「そうですか。父は何と?」
「いや~優秀な息子がいるって言っていたよ。」
「そうでしたか。ならばその言葉通り頑張らなくてはなりませんね。」
「ほんとにしっかりしておるな。私の息子もここまでしっかりしておればな・・・。」
他の貴族と会話をし、出来るだけ色々な情報を引き出し、将来の糧にする。
「そろそろ失礼するよ。」
「お話しいただきありがとうございます。」
「いやなに、君とはこれからも仲良くしていきたいからな。」
「こちらこそお願いします。」
挨拶をし、別れていく。
他の国の使者とも会話し、その日の夜会を終えた。
「今回は中々の情報でしたわね。」
「両方の話をまとめておくから、明日話をしてほしい。」
「分かっていますわ。ただ、今日は疲れましたわ・・・。ダンスなんて何曲踊ったか・・・。」
馬車の中で靴を脱いで、足を自分で揉んでいる
こういうところが嫁に行って出ないようにしてほしいものだ。
しかし、この世の中は、強さも必要としているようだ・・・。
これは本格的にダンジョンも潜って実力をつけなければならないかもしれないな・・・。
少しの無茶もあのメンバーなら大丈夫だろうから・・・。




