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ギルドの受付に来ると、周りがザワザワした。
「あれって・・・シャドーブラックだよな?」
「隣はシャインゴールドね。」
「でも、周りのやつも仮面をつけてるぞ?」
「もしかして仲間じゃないのか?」
「なら、2つ名がいるよな・・・。」
「戦っているところを見た者はいないのか?」
ザワザワとしていた内容はこんな感じであった。
「ざわついているわね~。たぶんそのうち2つ名が付くわね。」
「かっこいいのが欲しいぜ。」
「レッドドックじゃないかしら?」
「それは嫌だな・・・。」
クロワからザワザワしている内容を言われ、リンブルがかっこいいのを望むがベリエに一刀両断されてしまった。
「何かしらつくだろう。その時にはそれをギルドカードに記載してもらうことは可能なのだろうか?」
「現にできているから可能よ。その人を表す固有名になるからね。」
「情報感謝します。」
プワソンはクロワにギルドカードの確認を取り、次に2つ名が付いたらそうしてもらおうと考えていた。
「さて、報酬なんだけど、全部込みで50万エカトね。」
「そこまで有名じゃなくてもそこまでしますのね。」
「いや、生け捕りだからよ。これから情報を絞り出す工程が出来るから、情報代とも考えてくれてもいいわ。」
「なるほど。有名なのであれば生け捕りになるともっと高くなるのですね。」
「だけど、生け捕りは難しいから結局、賞金首ハンターはどこかでやられてしまうから危ないのよ。」
今回捕まえた奴らはそこまで有名ではなかったらしい。
だが、奴隷販売目的だったので、大きな組織がバックにいると考えられ、情報料が追加となったのだ。
「これはそれぞれに振り込ませていただきますね。」
「ありがとう。それでは戻るか。」
「そうですわね。早くお風呂に入りたいですわ。」
「私もよ。何だかんだで2日でダンジョン制覇は疲れたわ。」
その言葉で周りがどよめきだった。
この集団はあの初級を2日で制覇したとは!と周りにすぐ広まった。
この話はすぐに広まっていき、王都に届くまでそう時間はかからなかった。
「転移するよ~。集まって。」
「ギルド内でいいの?」
「もう気にしないことにした。」
もう色々とあきらめているリュシオルは強かった。
転移をし、男子寮のリュシオルたちの部屋に転移した。
「あ!おかえりなさい。」
調理場にいたのはヴァイスだった。
「今からお茶入れようとしていたのですが・・・。」
「みんなどうする?」
「帰ってお風呂に入って寝るわ~。」
「わたくしもお風呂に入りたいから一度帰らせていただきますわ。」
「私もですぅ~。」
女性陣は意外と疲れていたようだった。
「私はお風呂上りにいただきたいかな?」
「俺は冷たいのが飲みたいな。」
「だそうだ。お願いしてもいいか?」
「分かりました。準備しますね。」
ヴァイスは準備をしだし、女性陣はルーチェを残し、女子寮に帰って行った。
「先に風呂に入ってもいいか?」
「いいよ~。リンブルは?」
「先に入っていいぜ。次、俺でも構わないか?」
「どうぞ。俺は最後でいいよ。その間に・・・。」
「どうぞ。」
ルーチェは懐から蝶の石を取り出し、リュシオルに渡した。
「それはなんだ?」
「これ?ちょっとしたことで貰ってね?なんか魔力を吸っているからおもしろそうだと思って注いでるんだけど一向に変化がないんだ。」
「それって大丈夫なのか?」
「うん。邪悪な気配もないし、この子も脈打ってるから生きているみたいだから何とかしてあげようかと思ってね?」
「そうなのか・・・。おっと!ありがとうな。」
「どういたしまして。」
石に魔力を注いでいる理由を聞かれて、答えているとヴァイスがリンブルに冷たい飲み物を、リュシオルとルーチェに暖かい飲み物を持ってきてくれた。
「確かにそれからは神聖な魔力を感じますね。それで、リュシオル様とルーチェ様の魔力も混じっている・・・。いや融合していますね。」
「じゃあ、馴染むまで時間がかかっているってことかな?」
「おそらくは。自分の魔力と他人の魔力は違うと感じられるように、この子もリュシオル様とルーチェ様の魔力に戸惑っていたのかもしれません。」
「じゃあ、注がない方が良かったのかな?」
なぜか悪いことをしてしまったように思えてしまったので、注ぐのを止めたのだが、急に石が光って意思表示をしてきた。
「そんなことないみたいですね。魔力がもっと欲しいようですね。」
「お前は魔力が欲しいのかい?」
石に問いかけると、肯定の点滅をした。
「意志表示が出来るようになったんだね。」
ピカッ
「俺の魔力と、ルーチェの魔力のどっちがいい?俺なら1回、ルーチェなら2回ね?」
ピカッ
「ルーチェの魔力はいらない?」
ピカッピカッ
「だそうだ。ルーチェもしてあげてくれ。」
「わかりました。でも、リュシオル様の魔力の方が好きなのですか?」
ピカッ
「たぶんリュシオル様の魔力が澄んでいるからかと思われます。」
「そういう理由かい?」
ピカッ
「量も多いから構わないよ。まだいっぱいいりそう?」
ピカ・・・・・
「そうか出来るだけ頑張って注いであげるから君も頑張って。」
ピカッ
喋りながら注いであげて、キリのいいところでルーチェに渡した。




