～169～
見張りを倒した後、迅速に行動が開始された。
「行くぞ！」
「おぅ！」
中に入って行くと、下品な声が聞こえてきた。
「聞いていて虫唾が走るわ・・・。」
小さな声で、嫌悪感を出した。
「それは後で聞くとして、殲滅または捕縛するぞ。」
「捕縛に関しては、私ね。出来るだけ意識を刈り取るわ。」
「任せた。」
手で合図を出し、突入した。
「てめーら！誰だ！」
「通りすがりの仮面の者よ。」
「な～に？！訳の分からないことを言いやがって！てめーら生きてここから出れると思うなよ？！野郎ども！」
「「「「おら～！！！」」」」
一斉に盗賊がかかってきたが、今まで訓練してきた彼らにとっては何ともないことだった。
「それ！プワソン！」
「よし！」
「そっちに行ったわよ。」
「任しておけ！」
絶妙なタイミングでかわし、さらに攻撃し、得意な敵を受け持ちながらも、もう隣のペアに得意そうな敵を任せるといった高度なことが出来ていた。
「気を抜くな！」
「あぁ！」
慢心せず、うまく立ち回っているおかげで、瞬く間に倒すことが出来たようだ。
「これで最後！！」
ベリエがトンファーでガンッっと殴り、最後の敵を倒した。
「これで完了だな。」
「なんですの・・・。もう終わってしまいましたの・・・。」
急に声がしたので振り返ると、エクラが来ていた。
「え？捕まっていたんじゃ？」
「何もなく捕まるわけないですわ。アイテム袋を太ももの内ももにくくり付けて武器も入れておいてワザと捕まったのですわ。ついて行ったら先に捕まった娘も助けれると思いましたし。」
「リンデで連絡してきたのは？」
「心配かけないようにと言っただけなのですが・・・。」
「にゃ～ん・・・。（ご主人・・・。）」
後ろからリンデがやってきて、エクラにすり寄った。
「仕方がない子ですわね。でもありがとう。」
リンデを抱き上げて、頭を撫でてあげた。
「それで、女の子たちは？」
「あっちで待っていますわ。こちらに来たら危ないですもの。」
エクラは圏を回しながら、そう答えた。
「牢を脱出したのはそれでか？」
「そうですわ。これで高速に回転させて切ったのですわ。」
「牢が切れる武器って・・・。」
「魔法を封じられれば出来ない武器ですわ。その為のレイピアがあるのですわ。」
アイテム袋からレイピアを出して腰に差した。
「それでこいつらはどうする？」
「縛りあげて引きずっていけばいいんじゃね？」
「引きずる体力がもったいないだろ？転移で行こう。そいつらを一か所に寄せて？」
意識にない盗賊たちを足で蹴りながらまとめた。
「これぐらいでいいか？」
「それなら指定できる。一旦マルテの街に行くぞ。」
「え？そこって・・・。」
「そうだよ。」
ウインクをして指定範囲で転移した。
「初級ダンジョンから近い、マルテの街ギルドに到着～。」
「ギルドの中って・・・。」
「ゴールド。クロワさんを。」
「はい。」
ルーチェにクロワを呼ぶようにいい、待っている間にロープを出してみんなで縛っていく。
待つこと数分、クロワが走ってきた。
「まったくもう！急に来たらびっくりするじゃない！」
「すいませんクロワさん。」
「ルーチェちゃんから軽く聞いたわ。ありがとう。」
「それはこっちに言ってあげてくださいな。」
みんなの方を指差して、こっちがやったという。
「まぁ！みんなが倒したの？学生よね？」
「俺の友人です。みんなこの人はギルドの凄腕受付のクロワさん。俺の正体も知ってるよ。」
「なら、わたしくしたちも名乗らなければ。わたくしはエクラ・クレールスと申しますわ。」
「私は弟のプワソン・クレールスです。」
「あなたたちは有名なクレールス家の子たちなのね。お父さん・・・ドゥクスは元気？」
「父を知っているのですか？」
「ちょっと昔にね？」
クロワの昔が気になるが、あまり聞きすぎると背筋がぞわぞわするので軽くにしておいた。
「昔に何かあったんですか？」
「戦争に一度かり出されたことがあって、その時になのよ。向こうもクロワが元気しているか？って聞いてたって言えば分かると思うわ。」
「そんなに有名だったんですね・・・。」
「大したことないわ。それより、他の子たちも名前を教えて？」
話が具体的になりそうな前に話が切り上げられた。
「私はベリエです。」
「俺はリンブルです。」
「私はレオーネといいます。」
「よろしくね？さて、こいつらだけど・・・。ん～最近出てきたやつらね。賞金は少しだけどかかっているわ。支払いはどうする？」
「全員に振り分けてほしい。」
「俺とルーチェ以外ね。」
「な！リュシオルも・・・。」
全員でリュシオルとルーチェも含めようとしていたようだったので、すぐに否定しておいた。
「リュシオル君わかってるわよ。そのようにしておくから。」
「さすがエクラさん。」
「それで、この子達も一部仮面をつけて行動するの？」
「俺と同じようにするんだってさ。変装できるようにしておいたら、この先何があってもいけるからってさ。」
「そうね・・・。貴族なら顔を隠してやる方が動きやすいわよね。２つ名はもうちょっと先になりそうだけど・・・どうするの？」
「そのうちつくと思うよ。王都で活動して、知っているギルド員のシフラさんとしか受付しないようにするから。」
「わかったわ。じゃあ、上まで来てくれる？」
盗賊は放置して、ギルドの受付に行くことにした。
