~168~
約束の時間に近づくと、1人また1人と帰ってきた。
「いい買い物が出来たわ。弟や妹にもね。」
「私も気になるものがあったから購入した。」
ベリエとプワソンが帰ってきて、リュシオルたちと一緒にお茶をしていた。
「お~揃ってるな。」
「遅くなってすいません!」
「まだエクラが帰ってきてい居ないから最後じゃないよ?」
息を切らせながら、レオーネが帰ってきた。
「それにしてもエクラは遅くないか?」
「そうだな・・・。普段なら早めに来るのだが・・・。」
「そうね。エクラは時間とかキッチリしているもんね。寝起きは別だけど・・・。」
「ちょっと場所を見てみるね・・・。あれ君は・・・。」
マップで居場所を見ようとしたときに、召喚獣の猫のリンデがやってきた。
「にゃ~!(大変ですわ!)」
「えっと・・・ちょっと待ってね。」
焦っていたリンデに一声かけ、ルーチェにシャインを呼ぶよう言う。
「御用でしょうか?」
「シャイン。リンデの通訳をしてもらえるか?」
リュシオルには通じていたのだが、他がわからないと思ったので通訳を呼ぶことにした。
「にゃ!にゃにゃにゃ、にゃ~ん!(実は!ご主人様が人さらいを目撃しまして、正義感が強いため追いかけて行ってしまわれたのですわ!)」
「なるほど、それで君は連絡役を言われたのですね?」
「にゃ~ん。にゃにゃにゃにゃ~んにゃっ。(はいですわ。私が行ってもリュシオル様がどうにかしてもらえると思ってのことだそうです。)」
「わかりました。」
シャインは事を聞いて、簡潔に説明してくれた。
「リンデのご主人は人さらいを目撃し、尾行していったそうです。その中もしかしたら自分自身を囮にして中に潜入するかもしれないとも言っていました。とのことです。」
「あいつ・・・。先走りやがって!」
シャインの通訳を聞いて、リンブルがつぶやいた。
確かにそういうことは一人で行うと危険が増す。
しかも、潜入となると、怪我をしてしまうかもしれないのに突っ込んで行ってしまったようだ。
「リュシオル。姉を探すことは?」
「魔力を覚えてるから可能だよ。『マップ』離れていっているね。これは同じように捕まったと考えた方がいいかもしれない。」
「やはりか・・・。何でも首を突っ込む癖があるから・・・。」
「追いかけようか。そう遠くに行っていないから追いつくはずだよ。」
身支度をサッとし、エクラの追跡をした。
馬車で連れられているようで移動速度が思った以上に早かったので、召喚獣に騎乗していくことになった。
「そろそろ追いつきそうだ。洞窟にいるみたいだな・・・。」
エクラを攫った一団は洞窟の方に入って行った。
「5人ぐらい捕まっていそうだな。」
「ひどいことをする奴らだ。奴隷として売ろうと考えているのだろうか?」
「奴隷商に売るんだろうな・・・。」
「エクラはどこに居るんだ?」
「えっと・・・。中にいるな。人さらいの人数はざっと20人だがどうする?」
マップにて正確な人数を教えると、プワソンが考え始めた。
「リュシオルは盗賊団とかの殺傷はしたことあるか?」
「仕事でね?人も身を守るため切らないといけないけど、今は無傷で倒すこともできるからあまりむやみに殺さないかな?」
「そうか・・・。俺たちの実力でここは殲滅できそうか?」
「問題ないと思うけど、ためらったらそこでやられるから俺が行くよ。」
「ここは私たちの今後のためにやらせてもらえないだろうか?」
真剣な目をして、頼み込んできた。
他のみんなを見ると意志は固そうだ。
「はぁ~。分かった。ケガはいいけど死なないようにね?」
「わかったわ。命のやり取りぐらいできないとギルドで生きていけないしね。」
「私も怖いけど頑張ります。」
「悪い奴らはやってしまわないとだな。」
やる気十分だったので任せてみることにした。
しかし、しっかりと作戦を立てて、2人で動くことを条件付けた。
「さて、ここで組むペアだが、私とベリエ・レオーネとリンブルで行く。4人で暴れてこよう。」
「わかったぜ。このところのペア練習が生きてくるな。」
「がんばってエクラを助け出さないとね。」
やる気十分なベリエが今にも飛び出しそうだった。
「待ってくれ。まずは、見張りをリンブル。君が弓で倒してくれ。」
「おぅ!任しておけ!」
見張りを倒し、スタートした。




