~165~
プワソンが考えている間にも、どんどん進んでいき、ついに最終ボスの扉の前に立っていた。
「もうボスの扉の前だが、思いついたか?」
「魔法を駆使すれば、出来ないことはないというとこまで考えはまとまっている。」
「誰が戦闘に?」
「エクラとリンブルの氷と土の魔法だな。」
「具体的にどうする?」
プワソンは考え出したことを2人に伝える。
「それならできそうですわ。」
「俺も場所がわかれば可能だぜ?」
「コアの位置は視覚で確認できるそうですよ?」
コアの位置という単語を聞き取り、レオーネが情報を出す。
「じゃあ簡単に倒せそうだな。」
「もし、コアが綺麗なまま取れたら俺に売ってくれないか?」
「ゴーレムのコアですか?」
「あぁ。市場ぐらい出すから譲ってほしい。」
「なら、報酬ってことで貰ってくれ。」
「え?いいのか?」
「だけど、無傷で取れるか分からないから、成功報酬ってことで!みんなもいいだろ?」
「構わないわ。」
皆が頷き、賛成してくれる心優しい友達である。
「そのかわり、何をするか見せてくれな?」
「それは構わないが・・・見ていても面白くないぞ?」
「それでも見てみたいんだから構わないぜ。他に見たい奴は?」
リンブルが声をかけると全員が手を上げた。
「わぉ!皆だってさ。構わないか?」
「見てもいいけど・・・。新しい技術すぎてわからないかもよ?」
「それでも勉強になるから見てみたいです。」
「あまり直視できないかもよ?」
「う・・・それは見てから判断するわ。」
「・・・・わかった。」
みんなの熱意に負けて、許可したが何人かギブアップしそうな気がした。
「じゃあ、リューの期待に答えれるよう頑張りますか。行くぜエクラ。」
「分かっていますわ。私は大丈夫ですが、リンブルが失敗しないようにしてくださいませ?」
「わかってるよ!」
ドアを開け放ち、見ると中央にゴーレムがうずくまって待機していた。
中に入ると、ゴーレムはゆっくりと動き出し、直立の体制になった。
「まずは私ですわね。凍ってしまいなさい『フリーズ』。」
エクラの魔法の精度がうかがえる氷方であった。
しっかりと固定されたゴーレムは動き一つ出来なさそうである。
エクラに凍らされたゴーレムだが、コアの部分だけは凍っていなかった。
「ここで俺の出番だな。くり抜いてしまえ『アースニードル』。」
コアに目がけてではなく背中側から貫き、コアを傷つけずに取り出すという作戦だった。
「これはよく考えたね。」
「リュシオルからヒントを貰えなかったら、ただ単に破壊して終わりだった。」
「視点が違ったら新たな発見があるからね。」
「そうだな。またリュシオルとは語りたいものだ。」
「またの機会にね?」
「まだ時間はあるから焦ってはいない。」
プワソンは作戦に成功し、嬉しいのか口の端を少し上げて喜んでいた。
作戦の要のエクラとリンブルは成功し、ハイタッチをしていた。
「やるじゃないですの。」
「エクラもな!」
リンブルがコアを拾い、エクラが宝箱を開けた。
「約束のコアだぜ。たぶん傷ついていないと思うが見て確認してくれ。」
「・・・うん。大丈夫だ。」
「それはよかったですわ。こちらも見ていただけます?」
エクラが持ってきたのは守護の腕輪だった。
「まぁまぁの性能の守護の腕輪だけど、売った方がいいかな?」
「そうですか。買った方がいいものが多いですわね。」
「それでも需要があるから売っても値段はするぜ?これしている市民のおっちゃん見かけたし。」
「そうですの?なら売ってしまいましょう。」
「腕輪のことも決まったから、外に出ようか。」
「そうだな。ギルドで査定してもらってからだな。」
一行はダンジョン入り口に戻る転移陣に乗って外に出た。
「あ~2日ぶりの外だな。」
「あんたらは昨日入ったやつらじゃないか!大丈夫だったのか?」
「ん?問題ないが。ほら。」
代表してプワソンがギルドカードを見せた。
もちろん名前の所は隠してである。
「あんた達・・・初級ダンジョン制覇しちまったのか?」
「そういうことになるな。」
「はぁ~将来有望な若者が入ったってことだな。ギルドも安泰だ。」
「それはありがとうございますわ。」
機嫌のよくなった門のおっちゃんと別れて、リュシオル御用達の商団に来ていた。
「これはこれはシャドーブラック様と・・・」
「友人たちだ。名前はまだ名乗れないが、そのうち二つ名が付くと思うから、期待していてくれ。」
「そうでございますか。シャドーブラック様のご友人であれば、頑張らないとですね。さて、ご用件は何でございましょうか?」
「買取をお願いしたい。」
「かしこまりました。査定するものをお出しください。」
言われたとおりに、皆がアイテム袋から取り出す。
「ふむふむ。これなら1刻から2刻ほどで査定が済みますので時間をつぶして、またここまでお戻りください。」
「分かりました。お願いします。」
マルシャン商団に査定を任せて、しばしの休息をとることにした。




