~16~
案内された控え室では、もてなしを受けて時間をつぶしていた。
少女は奴隷身分のため椅子に座らず、ソファの横で控えていた。
「今待っている間に女の子に質問します。調べてもらっていることが私が考えてるのと同じ結果であれば、あなたは、選択肢が2つほどあります。また奴隷として売られるのを待つか、それともリュシオル君の奴隷になるか。今、もし選べるのであれば、どうしたい?」
「私などが選ばせてもらえるなら、その・・・リュシオル様にお仕えしたいです。」
クロワの質問に少女は小さな声であったが、はっきりとした意思を見せた。
「あなたの意志は分かったわ。あなたの意志は尊重します。」
「ありがとうございます。」
話し合いの後は、沈黙して茶器の音しか響かなかった。
それから数分後、奴隷商館の主人が入室してきた。
「大変お待たせしました。クロワ様・・・。やはりクロワ様の推測通りでした。以前から要注意人物だった例の商人の奴隷でございました。」
「やはりそうでしたか。では、処置の方はお任せしても大丈夫でしょうか?」
「大丈夫でございます。もうすでに動き出しておりますゆえ、後は待つだけでございます。」
クロワと主人の間で話が終わる。
そして、次はリュシオルのほうに話が回ってきた。
「ではお待たせしました。麗しの方のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「申し送れました。私はリュシオルと申します。」
「畏まらなくてもよろしいですよリュシオル様。では、お聞きします。この少女はある商人の持ち奴隷でした。ですが、奴隷法というのがありまして、必ず守らないといけないことがあります。何か分かりますか?」
リュシオルは主人から質問をされた。
少し思案した後、
「法は知らないのですが、多分、最低限の衣・食・住の保障をする。後、故意の暴力しないでしょうか?この少女を見て判断したのですが。」
「おぉ!正解でございます。そういうことなのですよ。なので、その商人から違約金、さらに奴隷を返却する義務が生じます。」
知らなかったことであるが、しっかりと奴隷でも保障があるのだと安心した。
「しっかりとした法で勉強になりました。」
「いえいえ。そこで相談なのですが、もしよければ、その助けた奴隷をあなた様の奴隷にすることが出来ます。いらないのであれば、こちらでお預かりし、再び売りに出しますがどうしますか?」
先ほどクロワが質問していたことであった。
「もう一つ選択肢。クロワ様から事前にお言葉あって、この商人の回収した奴隷をギルドで預かり働いてもらうという選択肢もあります。」
もう一つ選択肢があったが、先ほどの少女の意思を聞いていたので心はもう決まっていた。
「では、少女は私が頂いてもよろしいでしょうか?」
「わかりました。では、契約に移りたいと思います。さあ、こちらにおいで。」
主人は少女を手元に呼び寄せ、少女は主人に近づき首の首輪を見せるように跪き、顔を上げた。
すると、小さい水晶の付いた指輪をかざし、文字が宙に浮き消えていった。
「これで、前の情報の消去が完了しました。では、新たにリュシオル様、首輪に魔力を流してもらえますか?」
少女は立ち上がり、次はリュシオルの前に跪き、首輪を見せるように顔を上げて契約待ちをした。
主人に言われた通りに首輪に触れ、魔力を流す。
すると、首輪が強く光り、まぶしくて部屋に居る人間は全員目をつぶってしまった。
光が治まり、目を開けると少女の首輪が変化していた。
「こ・・こんなことが起きるなんて・・・噂では聞いたことがあったのですが、はじめて見ました・・・」
「すごい・・・。これならリュシオル様の奴隷になってもいいかも・・・」
「え?どうなってるんですか?え?え?」
上から主人・クロワ・少女と言葉を発したのだが、クロワがとんでもないことを言っていった。
「えっと~。なにがあったのでしょうか?」
皆が信じられない物を見たように言葉を発したので、不安になり質問した。
「これは失礼しました。これは、とても魔力が大きく濃い方がされると起こる変化でございます。王都で何例か聞いたことはあって、なっている奴隷を見たことがあるのですが・・・こんなに近くで見たのは初めて驚いてしまいました。」
またとんでもないことをしてしまったようである。
しかも、魔力が多いこともばれてしまい、この子の首を見て周りにもばれてしまうという事態に。
「とてもきれいなデザインで羨ましいですね。これなら私も着けてみたいです。」
またクロワが奴隷になりたい宣言をしていた。
ほんとにデザインが良く、匠が作ったように見えた。
元は皮で作られており、登録のため付いていた宝石のような石が付いているだけだったのだが、リュシオルとの契約により、石は濃い赤に変わり、皮の部分は金属に変わり、色は金色で、デザインは石から羽根が生えたようになっており、細い鎖がチョーカーのように首を傷つけないように巻きついていた。
「本人も見たいだろうし・・・おい!鏡を持ってきなさい。」
そばに控えていて口を開けていた使用人に声をかけると走って持ってきた。
少女は持ってきた鏡を恭しく受け取り、鏡で首を見ると固まってしまった。
少しすると、ポロポロと涙を流しながら、お礼を何度もリュシオルに言ってきた。
中途半端な気がしますが、今日はこれまで~




