~156~
リュシオルとルーチェは放課後の後の時間だけを使って、ダンジョンを潜り、やっとフロアボス前まで進んだところで、約束の休日となった。
「準備はできたか?」
「出来たぜぇ~。」
「わたくしも大丈夫ですわ。」
「こっちも大丈夫よ。」
「はい。」
「用意が出来たみたいだからお願いする。」
プワソンが確認してくれて、準備が整った。
「じゃあ行きますか。俺に触れておいてね?」
そう言い、皆がリュシオルに触ったとたんに転移した。
「おぉ~。学院の転移陣よりスムーズだな。」
「これは魔力酔いしなくて済むな。」
「一瞬でしたね~。」
「それでどうする?みんなも顔を隠す?隠さないでおく?」
「ん~どうしよう?隠していたら気兼ねなくダンジョンに潜れることは間違いないが・・・。」
プワソンが悩んでいると、他のみんなはスッと仮面を被った。
「え?被らない気でいましたの?被った方が楽ですわよ?」
「顔を隠せるし、有名になってからでもいいですしね。それよりかっこいいじゃないですか。」
「そうね。シャドーブラックとシャインゴールドの傍にいるんだから恰好がつくでしょう?」
「みんなノリノリだね。じゃあプレゼントで仮面着用時に髪色が変わるように変えてあげる。」
リュシオルは魔法のことも考慮しながら変えてあげた。
エクラは薄い青。
プワソンは黄色い髪に青のメッシュを入れる。
リンブルは赤に茶色のメッシュ。
ベリエは緑に青と茶色のメッシュ。
レオーネは白に黄色のメッシュとなった。
「鏡でどうぞ。」
「わぁ~。自分じゃないみたいですわ。これはちょっと髪形をいじれば・・・。これでよしですわ!」
「似合うじゃない。私のもやってくれる?」
「構いませんわ。」
女の子たちは髪形を変えて、普段の自分と違うようにした。
「ね~リュシオル。この髪形も記憶できるかしら?」
「出来るよ。ちょっとこっちに来て?」
髪形も決まり、仮面を被ると髪形もセットできるようにした。
「ありがとう。試しに取ってみて・・・。着ける!完璧ね。」
「ほんとです。完璧ですね。」
新たな自分の姿にウキウキしていたが、これからダンジョンということで、気を引き締めてもらう。
「そろそろ入口に向かうから気を引き締めて?」
「わかった。皆も・・・。」
「分かっていますわ。」
「もちろんよ。」
ダンジョン入り口前まで来ると、またあのおっさんがいた。
「またですかい?クリアしたのにきたんですか?」
「今回は友人のお供でね。護衛・指導員みたいなものです。」
「これは凄い護衛ですね。シャドーブラック様とシャインゴールド様を護衛で雇うことが出来るなんて。」
「友人ですからね。」
「そうですかい。では、ご友人の方々大丈夫だと思うが気を付けてくださいね。」
「ありがとうございます。」
門のおっさん?と別れ、気持ちを引き締めて、ダンジョンに臨んだ。
「言っていた陣形で。今回はリュシオルたちが後ろから見ていてくれるか?」
「わかった。アドバイスはするけど、基本ノータッチで行くからね。」
「あぁ。では、出発する。」
皆は列になり、レオーネが地図を開いて案内するようだった。
「ナビは任せてください。」
「任せた。道は指示に従うからお願いする。」
レオーネの指示の元、ダンジョンを進んで行く。
「前から魔物の気配だ。」
「まずは私から行くわね。」
ベリエが特攻し、ラットを沈めていく。
「これぐらいなら一人でも倒せそうね。出て来たら順番に倒して慣らしていきましょ?」
「それでも、サポートに一人は入ることだね。」
「わかったわ。」
その後も順調に進んで行き、3階分の階段を下りてお昼休憩を取った。
「これは便利だな。」
「この考えはなかったわ。」
この間やった、行き止まりに壁を作って休憩するやり方を教えた。
「これなら襲われる心配が減るな。この壁に向かって結界をすればもっと安心だな。」
「うん。考えが変わっていくよね・・・。これまでの概念を覆すような感じね。」
皆はリュシオルの考えにしみじみと呟いた。
「俺を変人みたいに言わないでくれよ・・・。」
「「「それがリュシオルだからね。」」」
「なんかまとめられてしまった・・・。」
理不尽な言葉にリュシオルはがっくりした。




