~155~
部屋から出たリュシオルは手を洗い、食事の準備をすることにした。
準備を進めていると、続々と入ってきた。
「腹減った~。買い物をするだけで疲れたぜ。」
「準備は大切ですわよ?」
「そうだけど・・・ま!何とかなるでしょ!休日のことを考えるとワクワクするから疲れも吹っ飛びそうだけどな。」
「そうよ。エクラの言う通りだわ。ダンジョンに行くことをピクニックと勘違いして、しっかりと準備をしておかないと後で痛い目に合うわよ?」
「へ~い。」
女の子たちに苦言を言われ、へこんでいた。
「女の子たちもご飯食べていく?」
「「「もちろん(です)。」」」
「だそうだから、ルーチェこれ炒めといて。」
材料を新たに出して、調理を続けて食事の準備をした。
「「「「いただきます。」」」」
「いただきま~す。」
作り終えて、食事を始めるとすぐにダンジョンの話に変わっていった。
「初級のダンジョンは比較的に簡単だと言われているわ。だけど、十分に気を付けないと怪我をしてしまうわ。」
「そして、ダンジョンの最奥にいるボスはゴーレムです。これを倒せないと一人前ではないそうです。」
「出てくる魔物はどんなのか分かっているのか?」
「それも資料に乗っていましたが、ラット・コボルト・ウルフ・ゴブリンです。階層によって出てくる数は変わるそうですが、1種類だけとなるみたいです。」
「なるほど・・・。それなら戦略が立てやすいな。」
皆が話しているのを、リュシオルはふんふんと聞きながら食事を進めた。
聞いてくるまで、ノータッチで行くことにしている。
「洞窟のようなところだというから隊列がいるな・・・。ベリエ・私・レオーネ・エクラ・リンブルで列になろうと思うがどうだろうか?」
「そうね。打撃戦の私とプワソンが突っ込んで、レオーネが離れたところから攻撃。遊撃にエクラ。そして後ろは気配の察知が長けているリンブルに後ろの警戒かな?」
「そう考えたんだが、臨機応変に対応して、列を変えたりして行こうと思う。」
「それでいいのじゃないかしら?あまり今考えすぎてもうまくいくかどうかわからないですわ。」
「そうだな。リュシオルはどう思う?」
あまりに第3者で聞いていたために、突然話しかけられてびっくりしていた。
「お・・おぅ。それでいいんじゃないだろうか?やってみてしっくりこないなら変えた方がいいしね。」
「そうだよな。じゃ、それまで鍛錬して自分を高めておこうぜ。」
ダンジョンへの意識を高めて、自主練を行っていくことになった。
皆が自主練をしている間、リュシオルとルーチェはダンジョンに潜っていた。
「初級より広いから中々進まないな。」
「これでも初中級と言われている王都のダンジョンなのでまだ規模は小さいかと思われます。他のダンジョンはもっと広大だそうです。」
「そうなんだ。情報を集めてくれてありがとう。」
「いえ。これぐらいはお任せください。」
「でも、王都のここにダンジョンがあるなんて知りませんでした。」
後ろからアルシュがこのダンジョンを知らなかったとつぶやいた。
「そういえば、受付嬢から聞いた話なのですが、この王都のダンジョンは10年前に突然できたそうです。ちょうど、地下に行く階段の所が崩れて縦穴が開いたそうで、どうして開いたのか気になり潜ってみると、扉があったそうなんです。」
「縦穴説正解だった・・・。」
「リュシオル様の読み通りでびっくりしました。それで話の続きなのですが、調べてみるとダンジョンの魔素が溢れていたそうで、濃度がちょうど初中級だったそうです。」
「それでか・・・。ありがとう。それにしてもこの世界は生きているようだ・・・。必要としている場所に必要なものが出来る・・・。それか、神のいたずらか?」
ブツブツと理由を探すが、確定要素がないので、頭の隅に置いておくことにする。
「何なのでしょうね。このダンジョンっていうのは・・・。魔物がその迷宮でおとなしく敵が来るのを待っているというシステム・・・。作られた感じもしますね。」
「そうだよな。何かのための備えなのかな・・・。」
ちなみに、こういった話をしながら魔物はバッサバサと切り伏せていく。
「やっと階段が出てきた・・・。階層が下になるにつれて広くなっている気がするんだけど・・・。」
「そうですね。マップでもだんだん大きくなっている気がしますね。」
視覚化して見えるようにしているので大きさが変わっているのがよくわかるのだ。
「このマップがなかったらもっと時間がかかっていただろうな。」
「そうですね。私たちのこのスピードはマップのおかげです。」
マップに感謝をしつつ、ダンジョンを進んで行く。




