~154~
教えられて通りに、ギルドの地下に入って行く。
地下に向かう階段は、人工的に作られたものだったが、扉の前に来るとそれは別の手が加わったみたいだった。
「ここから別次元のように思われる。もしかしてだけど、縦穴が突然開いて誤って落ちた人が発見とかかな?」
リュシオルの推測通りであるのだが、それはまた後程に。
扉にギルドカードを照らすと、自動的に扉が開いた。
「中級から違う雰囲気ですね。」
「初級と比べたらだめだな。気を付けて進むよ?」
「はい。分かりました。」
進んで行くと魔物が現れた。
「第1モンスター発見。お話を伺いに・・・。」
「リュシオル様?」
「ごめん。少しふざけました。」
魔物が初級に出てきた魔物と一緒だったものだからふざけてしまった。
ふざける理由ではないのだが、なぜかテンションが少し高いリュシオルはふざけてしまった。
「1階はラットとコボルトの混合か・・・。」
「初級の最初の階と次の6階のコボルトですね。」
「これが続きそうだな。強さはどうかなっと!」
相手が気が付いていないので、ダッシュをかけて一閃すると、一瞬で片が付いた。
「魔石が初級の下層ぐらいありますね。」
ルーチェは魔石を魔法で集めて魔石を眺めた。
「やっぱり中級から値段が上がるって言うのが分かりました。1階でこれなら、下層に行けば行くほど期待が持てますね。」
「そういうことだろうな。それで焦って下層に行き、命を落とすパターンだね・・・。」
「何があるか分からないですものね。」
「あぁ。気をつけよう。もう少し進んだ所の行き止まりで転移を試したいと思う。」
「わかりました。」
さらに進んで行き、行き止まりに着いた。
「ここに土壁を作って遮断し、転移のポイントを作って帰るっていうのが怪しまれないと思うんだけど・・・。」
「それはいい考えだと思います。人に見られないようになってるので安心ですね。」
「とりあえず試しにしてみるね。『転移』。」
リュシオルは自分の自室に転移をした。
「お?戻ってこれた。出れるってことだな。さて、『転移』。」
さらに転移をしてダンジョンに戻る。
「無事に転移で来た。これで、続きから潜ることが出来そうだ。」
「普通はそんなことを考えないから出来ることですよね。魔力量も十分じゃないとそんなことは考えませんし、考えたとしても持ちませんし。」
「そうだよな。俺しかできないことだな。」
異常なことなのだが、麻痺してきているリュシオルとルーチェはこんなものだと流してしまっていた。
「そうと分かれば、ダンジョンを進みますか。」
マップを駆使し、次の階段に向かっていく。
「初級より広いから中々辿り着けないな。」
「そうですね。迷路な感じがします。」
「やっと階段だな。ここまでで・・・。試しとかしていて遅くなったと考えても、1刻か・・・。」
「結構かかりましたね・・・。そろそろ切り上げた方が良いかもしれませんね。」
「階段を下りて行き止まりにポイントを打って帰ろうか。」
階段を下りて、行き止まりにポイントを打ち、一階の扉の前に転移した。
「ギルドに報告して帰ろうか。」
「はい。」
1階のフロアに戻り、シフラに帰ってきたことを伝えて帰った。
「これで、ダンジョンはいつでも行けることが分かったから、次々とダンジョン制覇したいな。」
「どこまでもお付き合いします。」
「ありがとう。」
にっこりと笑いながらルーチェはリュシオルに微笑みかけた。
「さてと・・・。今度の休みはみんなと初級だから・・・作った家の部屋数を・・・階数を増やそうか。」
「そうですね。私たちの部屋の上に作るのですか?」
「いや。俺たちの部屋を上にあげて、下に作るよ。」
歩きながら空を手で弄っているように見えた。
「それは何しているのでしょうか?」
「あぁ~。これ?あの家を管理するために作った機械?コンピュータ的な機能だけど、画面で操作して出来るようにしたんだ。」
SFに憧れていたリュシオルは自分の創造魔法で作ってしまったのだ。
あの何もないところに画面が出てきて、触れることで操作のできるあれを。
「すごいですね。これがあの家ですか。」
「そうそう。今違う空間に、1階分を作ったから、融合する所だよ。」
ルーチェが画面をのぞき込むと、ほんとに違う空間に1階層が出来ていた。
「これをこうやって・・・。こうやると・・・!完成。召喚獣たちに知らせないとパニックになるな。」
画面のボタンを押して声をかける。
「みんな聞こえる?今、家を改造したから1階から2階にそこが変わったからね?階段もつけてあるからそれを利用してね?」
「これから声も流せるのですね。」
「そ!でも、今は俺しか使えない権限だから、また考えておくよ。」
通信を切って、魔法も消し、寮の自分の部屋に転移した。




