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あれから数日。
学院の休暇明けの前日にはほとんどの生徒が学院の寮に入っていた。
「それでさ~。」
「そうなの~それでね?」
談話室の至る所で故郷の話で盛り上げっていた。
「明日から授業が始まるのか・・・。」
「また新たな知識が増えるから嬉しいな。」
「勉強中毒め・・・。」
「リンブルは勉強が嫌いだもんね?」
「ベリエ・・・。確かにそうだけど嫌いって思ったら勉強できなくなるだろ?」
「これは失礼~。」
賑やかななのはこちらもだった。
「そういえばリュシオルはどこに行ってたんだ?」
「マルテの街に帰って、ダンジョンに潜ったりしていたな。」
「え?じゃあ、初心者のダンジョンとか行ってきたの?」
「あぁ。行ってきたよ。」
「いいな~私たちも来年になったら行けるんでしょ?」
「実習で行くようだが、その前に勉強があるぞ?」
「実習行くのにも勉強か・・・。」
リンブルは勉強という言葉を聞き、再び意気消沈していた。
ダンジョンにはやはり誰もが憧れるようだった。
ダンジョンに潜る実習は2年で初心者・3年で中級の途中までである。
中級でも優しいほうの中級で、この中級はこの王都の近くにあるダンジョンだ。
近いうちにリュシオルも入ろうかと考えているようだ。
「じゃあ、リュシオルは初級をクリアしたのか?」
「・・・・。」
「言わなくてもわかっているわよ?リュシオルほどの実力なら上級でも最下層を目指せるはずだわ。」
「あぁ。クリアしたよ。」
「やっぱりですわ。詳しい話は寮の部屋で聞いてもいいかしら?それと他にも気になることがあるからそれも聞きますわよ?」
「なんか聞きたくないようなことのような気がするが・・・。」
「洗いざらい吐いてもらいますわよ?」
「ちなみに他のみんなもそのことには感づいていたからな?」
プワソンとエクラに詰め寄られ、問いただされるみたいだ。
『ばれそうな予感はしていたけど・・・。ついにか・・・。』
「わたくしもそうかと思っていましたが・・・ね?」
「わかった。寮の部屋で話すよ。」
「約束ですわよ?もちろんルーチェもですわよ?」
「わかりました。」
『転生の話は伏せてそれ以外で話をするか。たぶんギルドのZランクのことなんかだろうな。』
察していたので、話す文も考えておこうと思った。
それから一回解散となり、他の子と話をしたり、帰ったりと各々過ごすことになった。
リュシオルとルーチェはギルドに顔を出すことにした。
「こんにちは。」
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
いつもと違う受付嬢に挨拶をされた。
ちなみに変装ナシである。
「いえ。シフラさんに王都に帰ってきたことをお伝えしようかと思って。」
「あ~シフラは今休憩中でして・・・。」
「そうですか。なら伝えといてください。」
「わかりました。他に御用はありませんか?」
「では・・・。王都近くにあるダンジョンの詳細を伺いたいのですが。」
「それでしたら私の方が詳しいので、こちらへどうぞ!」
受付嬢は、ここは私の出番と息巻いてリュシオルたちを椅子のあるカウンターに案内し、説明を始めた。
「王都のダンジョンは、ここギルドから行くことが出来ます。そして、入口は何とギルドの地下から入ることが出来ます。」
「そうなんですね・・・。どうやって行くんですか?」
「それは他のダンジョンと同じようにギルドカードでスキャンをして、後、王都の場合は、書面にも書いてもらいます。」
「というのは?」
「制約とか遺言書とかになりますね。自己責任なのに、文句を言う奴が多いんですよ。なので、書かせることにしたんです。特に貴族とかにです。」
「なるほど。ギルドも大変ですね。」
どこにでもやはり馬鹿はいるようだ。
「分かっていただけて嬉しいです。他にご質問はありますか?そうですね・・・。基本一コ前の級のダンジョンに出てきたモンスターは雑魚として出てきます。つまり、初級で手間取った強さは中級なら当たり前に倒せなければ進めないってところですかね?」
「なるほど。分かりました。」
「お役に立てたようでよかったです。」
「ダンジョンは明日にでもします。」
「そうですか。では、私はこれで。」
「ありがとうございました。」
受付嬢にお礼を言い、ギルドを後にした。
「ギルドから行けるとは思っていなかったな・・・。」
「便利といえば便利ですね。」
「厄介と言えば厄介か・・・。」
ギルドから潜ったりすると、否応がなしに目立ってしまうのだ。
「目立たないで行くのは・・・。無理だな・・・。」
「諦めたらいいと思いますよ?それか、他のダンジョンにしたらどうでしょうか?」
「う~ん・・・。また考えるよ。」
寮への帰路に着き、トボトボと帰っていた。




