~144~
魔石を回収した魔法を見て、ルーチェも習いたいということでやり方を教えてさらに奥に進むことにした。
進みながら倒していき、もう5階分降りてしまった。
「すいすい進めるね・・・。」
「敵が弱いですし、魔石を集めるのも魔法ですから。」
「そうだよね。ここのフロアボスはコボルトのボス?」
「そうですね。ボスなどが出ると思います。」
「基本その階の強くしたものが出てくるんだよね?」
「はい。最終フロアは違うこともあると本に書いてありましたね。」
マージから新たに貰った本にはダンジョンの本も混ざっており、来るまでの期間に2人で読み進めていたのだ。
「では、ここも?」
「私が一撃で。」
「じゃあ、開いてドーンだね。行くよ?」
リュシオルが扉を開けると、ルーチェはすでに構えていた。
ドアを開け放って・・・。
「ドーン。」
はい、オーバーキルで一撃です。
無表情の顔でのドーンはなんだか怖かった。
宝箱を開けて、ペンダントを取り、アイテムボックスにしまって次を目指した。
そして最下層までそう時間はかからなかった。
「ウルフ・ゴブリンと来たから最後は鉄板のゴーレムかな?」
「わかるのですか?」
「大体こういうのってそうかなって思っただけ。じゃあ開けるよ?」
扉を開けると、予想通りの展開が待っていた。
「はい正解っと。どうする?俺が倒しちゃっていい?」
「ゴーレムはコアが高値で取引されるので、傷つけずにするならリュシオル様の方が精度が良いかと。」
「わかった。じゃあ、ここは俺がするね。」
ドアから一歩中に入ると、ゴーレムが起きだした。
「中に入ると動き出すシステムね。じゃあこれも引力で行ってみよう。コアだけ『アトラクション』。」
すると、メリメリといいながらコアが剥がれそうになっていた。
ゴーレムは心臓を抜き取られそうになっているので、すごく苦しんでいる。
「ぐ・・・がぁあぁぁぁぁぁ!!!」
「ゴーレムって鳴くんだ・・・。」
「新発見ですね・・・。」
魔法を発動し続け、1分でコアを綺麗なまま抜き取ることが出来た。
抜き取られたゴーレムの体は、ボロボロと崩れ去った。
「このゴーレムのコアでロボットを作りたいな・・・。」
「それはまた今度にいたしませんか?これでクリアなので、まずはそちらを先にした方がよいかと。」
「我もそう思うぞ?ぬし様は考え出すと止まらない傾向があるからな。」
グルナにも言われてしぶしぶ考えることを辞めた。
「さて、クリアの報酬は?」
宝箱がまた出現しており、中を開けると、剣が入っていた。
「おぉ~。宝らしい宝が出て来たけど、普通の剣より性能がいいだけだな。」
「それも外に出てから売ってしまえばいいかと。」
「そうするよ。じゃあ外に出ようか。」
フロアの奥に扉が出現していたので、開くと入口まで転移していた。
「お!早い帰りだね。今日はこれで一時中断かい?」
「いえ。下まで行ってきたので帰ろうかと。」
「へっ!?もうダンジョンクリアしたってか?!ちょっとギルドカードを拝見・・・。ほんとだ・・・。クリアしている・・・。」
男が手持ちの板にギルドカードを照らすと、さっきのダンジョンの詳細が出ていた。
「ギルドカードに記憶されるのですね。」
「おう。だから嘘はつけないんだ。さすがシャドウブラック様とシャインゴールド様だ。一応・・・。こほん・・・。ダンジョンクリアおめでとうございます。」
「ありがとう。それと少し聞きたいんですが、ダンジョンでとれたものはどこで買い取ってもらえますか?」
「それはギルドでも買い取れるし、ここの商人にも売ることができる。ただし、ここで売るなら適正価格を知っているか、知り合いの信頼できる商人に限った方がいい。」
「やはり・・・。」
「そういうことだ。とりあえず、知っている商人が来ているか見てから売るべきだと思うぜ?おっと・・・。言葉遣いが荒くなっちまった・・・。」
「俺たちは気にしないので大丈夫ですよ?」
「そう言ってもらえると助かる。」
ダンジョンの門の人と別れて、商人を見て歩いた。
売るならマルシャン商団に売りたいからだ。
「トントさんの所の商団は来ているでしょうか?」
「色々なところに展開しているっていうからいそうな気がするよ?って言っている傍から見つけた。」
歩きながら眺めていると、ちょうど左端にマルシャン商団の旗を見つけた。
「こんにちは。」
「これはこれは・・・!シャドーブラック様とシャインゴールド様!我が商団をいつもご愛顧頂きありがとうございます。」
「知っているのですか?」
「はい。トントからお話は各地に回っておりますので安心してください。高ランクからご贔屓にしてもらえることは商団の評価にも繋がりますので。」
「そうですか。では、先ほどダンジョンで手に入れたものを買い取ってくれますか?」
「わかりました。査定しますので、お出しください。」
先ほど取った物を(ゴーレムのコア以外)すべて出した。
「これは・・・すごい量ですね。少し査定に時間がかかりますがよろしいでしょうか?」
「どれぐらいかかりそう?」
「そうですね・・・。私1人しか今いないので、明日の朝までかかってしまいます。」
「構いませんよ?俺たちここで1泊して待ってます。」
「ありがとうございます!さっそく査定して、出来るだけ早くしたいと思います!」
「お願いしますね。」
ダンジョンでとれたものを預けて、リュシオルたちはキャンプの場所を探し始めた。




