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クロワから言われ気になったので、先にマージに会いに行くことにした。
「ただいま。マージさんいますか?」
「その声はリュシオル坊や?」
いつの間にか坊やと呼ばれていたみたいである。
「そうですよ。リュシオルですよ。」
「帰って来たんだね。おかえり。」
「ただいま。元気がないと聞きましたが・・・。」
「お前さんを見て元気になったよ。ありがとう。」
「それで最近元気がなかったのは・・・。」
「年だったからかね?熱が出てしもうて、薬もなく寝込んでおっただけだからそう思われたのかね?」
「風邪ひいたんですね。見せてください・・・。」
おでこに手を当てて体の悪いところをサーチで探す。
「風邪っぽいですね。キュアで直しておきますから。『キュア』」
「おぉ~。すごいね~。体が一瞬で軽くなったよ。ありがと。」
「どういたしまして。」
「ところで、初めて見る顔があるけどどなただい?」
ガルディとバルトを見て、リュシオルに説明を求めた。
「この子達は武器と防具なんだ。元に戻ってみてくれる?」
お願いすると、2人ともすぐに戻ってくれた。
「おぉ~!これはすごい。人生で初めて見たわ。もういいぞ。人に戻ってくれい。」
するとすぐに人型に戻った。
マージは満足そうにうんうんと頷いていた。
「マージ?どうしたのですか?」
「リュシオル坊やがどんどん仲間を増やして、楽しそうに過ごせているようでよかったと思ってな?」
幸せそうな顔をしてマージはリュシオルを眺めていた。
「しばらくの間、マルテの街に居るので、時々顔を見せに来ますね?」
「そうかいそうかい。ゆっくり休みなさいね?」
マージと別れて買い物をして、小鳥亭に向かった。
「こちらが以前に泊まられていた宿ですね?」
「そうなんだ。こんにちは~。」
ドアを開けて中に入ると、女将がいた。
「いらっしゃ・・・。あらまあ!懐かしい顔じゃないかい。どうしたんだい?」
「学院が休暇に入ったので帰って来たんですよ。」
「そうかい!部屋は・・・2部屋いるかい?」
「そのことなんですが・・・。」
ギルドで説明したことを、女将さんに説明をして、実際に見てもらった。
「なるほどね。じゃあ一部屋でいいね。少し広めのとこにしておくから心配しなさんな。」
「ありがとうございます。後・・・提案があるのですが・・・。」
ここではお風呂が入れなかったのが気になっていたので、作る提案をしてみた。
「それは嬉しいんだが・・・、いいのか?」
「俺のわがままってことでお願いします。」
「わかったよ。作っておくれ。」
女将の許可が出たので、早速作ることとなった。
元々考えていた裏庭に作ることにした。
「裏庭に作ることを考えていたから許可も取れたし・・・。作るよ!」
「はい!リュシオル様!」
「まずはお風呂の湯舟を作ります。」
魔法で2か所離して穴を掘っていく。
もちろん女湯と男湯を作るためである。
「穴を掘ったら水が漏れないようにしてっと。」
湯舟が完成し、次は壁を作り、足場を作り・・・。
「完成!」
出来たのは立派な温泉であった。
「素晴らしい出来です。」
「うんうん。自動でお湯を張れるようにしたし、汚れたら綺麗にする機能も魔法陣で組んだから完璧だ!」
満足そうに出来上がりを見て回り、点検をして微調節をした。
「後は女将さんに見てもらうか・・・。」
宿に戻って女将を呼んだ
「こ・・これは立派なものが・・・。」
少し顔を引きつりながら、お風呂を見ていた。
「代金はどうしたらいい?」
「え?いらないですよ?!俺のわがままで作るって言ったじゃないですか!」
慌てて、代金の話をしてきた女将にいらないと告げた。
「ほんとにいいのかい?よそでもこんな立派なお風呂は持っていないよ・・・。」
「俺の恩返しと思って受け取ってください。」
「・・・・わかった!じゃあ、お前さんが泊まるときは宿代をタダにするよ。それでいいかい?」
「そんな・・・悪いですよ・・・。」
「いや。私が決めたからそうする。文句は言わせないよ?」
強引に押し切られてしまったが、女将が引きそうでなかったので、ありがたく受けることにした。
その時の女将の心の中はこうだ。
『この子はすごいことをしでかしてくれたよ・・・。いくらお金を積んでも返せないだけの物を作ったって自覚ないのかね?風呂なんて高級宿の設備の整っているところで、魔法が使える者がいないといけないのにそれさえ覆すものを作ってくれたんだから・・・。』
リュシオルはやりすぎていました。




