~138~
精霊が消えた後、一行は王都に戻っていた。
「ただいま戻りました。」
どこに寄り道することなく、ギルドに報告に来ていた。
「おかえりなさい。調査は終わったのですね?」
頷いてシフラに報告をして、そのまま応接室に詳細を話に行った。
「ここでならいいでしょう。ではどうだったのか教えてもらえますか?」
紙とペンを用意して、報告を書き留めた。
「まず、瘴気が濃いところには、アンデットドラゴンが待ち受けていました。」
「!!それは巨大な相手ですね。もちろん?」
「討伐済みです。」
「さすがです。そして、そこら中瘴気で汚染されていたと思うのですが・・・。」
「それについても綺麗にしておきました。」
「浄化済みっと・・・。他に何かありましたか?」
精霊に会ったことも報告しようかと思って口を開きかけたが、あまり、人に言うことではないと思い止まり、以上です。と報告した。
「さすがブラック様ですね。こちらで報告完了です。」
「いつもありがとうございます。」
「いえ。仕事なので。報酬に関してですが・・・。」
「何かあるのですか?」
「直接話と、手渡したいということなので、クレールス家に行ってもらえますか?」
「そうなのですか。分かりました。」
「こちらが依頼達成済みの報告の紙です。こちらを持って行ってください。」
シフラから依頼完了の紙を貰い、すぐにクレールス家に向かった。
「あれ?シャドーブラック様ではないですか!」
クレールス家に着くと、行くときに会った門番がいた。
「はい。当主の方に話があるのですが・・。」
「少々お待ちください!今いるか確認してきます!」
門番は走って、館に入って行ったが、すぐに走って戻ってきた。
「侍女に聞いてきましたが、もうすぐ帰ってくるそうです。どういたしますか?」
「すぐに帰ってくるなら待たせてもらってもいいですか?」
「構わないですよ!ささ!こちらへ!」
門番の案内で応接室に向かった。
「こちらでお待ちください。良ければ話を聞かせてもらってもいいですか?」
「大したことは話せませんがそれでも良ければ。それより仕事は大丈夫なのですか?」
「実はもう上がる時間なので、話は通してきています。なので、何もなかったらこのまま帰る感じですね。」
「それならよかったです。」
「はい。では、質問していいですか?!」
門番はウキウキしながらリュシオルたちに質問を投げかけてきた。
「仮面をしていますが、その理由は何か巨大な組織に追われているとかですか?!」
「そんなことないですが、あまり素顔を晒したくないので・・・。」
「そうですか。娘がシャドーブラック様とシャインゴールド様のファンで色々と推測してたんですよ。なるほど・・・。素顔を晒したくないと・・・。」
門番はいつの間にか取り出したメモに書き留めていった。
「じゃあ、年齢とかは若いように見えますが・・・。」
「年齢は明かせませんが、若いほうですね。」
「そうですか・・・。若いっと・・・。それで、シャインゴールド様は奴隷であると風の噂で聞いたのですか・・・。」
「はい。私はシャドーブラック様の奴隷になります。その証拠がこの首を見てもらえれば分かるかと。」
首が見えるように、顎を上に向けた。
「ホントですね。でも、その形なら奴隷って分からないですね。普通の装飾具のように見えます。その形になるには特別な条件がいるのでは?」
「あまり知られていないみたいですね。契約時に信頼関係と主人になる方の想い、魔力量に関わってくるそうですよ?」
「そうなのですか・・・。初耳でした!その情報はどこから?」
「この奴隷の首輪を作った人からですね。ちょっとした趣向だそうです。」
「へぇ~すごいですね。おっと・・・馬車の音が聞こえてきましたので、私はこれで失礼します。もう少しお待ちくださいね?」
門番は外に聞こえてきた馬車の音を聞き分けて、退出していった。
「なんか芸能人になった気分だったよ。」
「私は尋問されているようでした。」
「確かに尋問の方があっているかもね。」
リュシオルはルーチェとクスクス笑いながら喋っていた。
すると、ドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ。」
「これはお待たせして申し訳ない。」
「いえ。突然来たのはこちらです。」
社交辞令で挨拶をしてから、早速本題に入ることとなった。
「それで、調査の方は・・・。」
「こちらがギルドからのです。」
「拝見する・・・。確かに依頼完了しているな。で、様子はどうだったのか伺いたい。」
真剣な顔つきで当主は話を聞いて来た。
「はい。奥に行くにつれて瘴気が強くなり、元凶になるところにアンデットドラゴンがいました。」
「真か・・・。それはたぶん先先代の当主が討伐しようと戦いに行って倒した後、共倒れになりその後アンデットとなったのだろう・・・。」
「そうだと思います。」
「してその後の土地はどうなったか教えていただきたい。」
「その後の土地ですが、綺麗に浄化しておきましたので安心してください。」
「そうか。それはありがたい。では、これは気持ちの分も入っているから受け取っていただきたい。」
当主から差し出されたのは、ずっしりと重みのある袋であった。
「こんなに・・。いいのですか?」
「普通ならもっとかかっている。それを踏まえても十分な額だと思うのだが・・・。」
これ以上は野暮だと思い素直に受け取ることにした。




