~136~
マルテの街の道中の野宿中に、ジェイドから念話が届いた。
『リュー様聞こえる?』
『聞こえるよ?これだけ離れても長距離でも聞こえるんだね。』
ジェイドとは最初の一日を少し飛んでから別れて、王都に飛んでもらった。
そしてちょうど今日がエクラたちが帰り、依頼に行ってから一日が経つ日である。
『その日のうちに依頼が出たみたいだよ~。シフラさんに依頼を受けるかもしれないから出さないでって言っておいた。』
『ありがとう。じゃあ、転移で向かうね。』
木に魔力の印をつけて(最近覚えたみたいである)、王都に転移した。
『ジェイドは今どこに居るの?』
『ギルドでシフラさんの肩に止まっているよ~。』
『迷惑かけるから降りなさい・・・。』
『はぁ~い。』
ジェイドをシフラの方から降りるように伝えて、路地裏から歩いてギルドに向かった。
「ようこそお越しくださいました。話は聞いていますので、こちらへどうぞ。」
「わかりました。」
シフラはリュシオルとルーチェを見つけるやいなやすぐに応接室に案内した。
「話はジェイド君から聞いています。この依頼を受けるそうですね。」
「そうです。友人のことですから。」
「いいですね~青春ですね。」
シフラは自分の青春時代を思い出していたのだろうか?思いにふけっていた。
「では、こちらの紙を持ってクレールス家に行ってください。」
「わかりました。行ってきます。」
シフラから紙を受け取り、早速クレールス家に向かった。
「ギルドから依頼を受けてきたのですが。」
「あなた様は・・・。どうぞ!お通りください。侍女が案内いたします!」
門番はシャドーブラックのことを知っていたようで、すぐに案内してくれた。
「ようこそいらっしゃいました。応接室へ案内いたします。」
侍女に連れられ、応接室へと足を運ぶ。
「少々お待ちくださいませ。当主を呼んで参ります。」
案内した侍女は、すぐに当主を呼びに行ったが、すぐに別に侍女がお茶を用意して入室してきた。
見事な連係プレーである。
お茶を用意し終えると、すぐに退室していった。
お茶を啜っていると、当主が入ってきた。
「お待たせして済まない。私がクレールス家当主ドゥクスだ。」
気さくな感じで話しかけてきた。
「お初にお目にかかります。私はシャドーブラック。こっちはシャインゴールドです。」
ソファから立ち上がり、見事な礼をした。
「これはわざわざすまないな。では、早速依頼の話なのだが・・・。」
知っていることであったが、知らないように振舞いながら詳細を聞いた。
「わかりました。今回は調査を基本に、倒せるものは倒すということでよろしいでしょうか?」
「それでお願いする。もし可能なら、その場所の浄化もお願いしたいが・・・。」
「出来る限りのことはさせてもらいます。ただ、調査の段階ですので・・・。」
「あぁ。分かっている。ではお願いする。」
当主は周りの目がないからか、リュシオルたちに頭を下げた。
「やめてください。私たちは依頼で受けるのですから・・・。」
「分かっている。これは私なりの誠意だ。」
「・・・・わかりました。」
クレールス家を後にし、早速現場に向かうことにした。
「結界はうまく作動しているみたいだ。」
「もちろんですよ。リュシオル様も結界はすごいんですから。」
まだ保っている結界にうんうんと頷きながらつぶやくと、そのつぶやきにアルシュが反応した。
「独り言に返事が帰ってきてびっくりした・・・。じゃあ、早速行くとするか!」
「「はい!」」
アルシュとルーチェは元気よく返事をした。
前回進んだ所まで問題なく進むことが出来た。
「問題はここからなんだよね・・・。」
「ここからは光魔法の膜で覆って行くしかないですね~。」
「魔法も使いようだしね。その作戦で行こう!」
自身の周りを3人は保護した。
そして、さらに奥深くへと足を踏み入れていく。
「どんどんと濃くなっていきますね・・・。」
「腐敗臭もすごいです。これは何か強大なのがアンデット化していますね。」
開けた場所に着くと地面も汚染され、紫色になっていた。
「ここが元凶っぽいですね。」
「奥から何かが・・・。」
現れたのはアンデットドラゴンであった。




