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朝になり、出かける準備をする。
もうすぐ待ち合わせの時間なので、他のみんなも準備をしてごそごそとしていた。
「用意できたか?」
「あぁ。そろそろ行こうか。」
「おぅ!それにしても誰も追試に引っかからなくてよかったな!」
「一番心配だったリンブルが通ったのだから、他は間違いなく大丈夫だろう。」
「何気に酷くない?」
リンブルをいじりつつ、準備を終えた。
ちなみに召喚獣たちも作ってあげたアイテム袋に思い思いの物を詰め込んでいた。
「女の子たちと合流して行こうか。」
寮の入口で待ち合わせしているので、向かうとすでに女の子たちは来ていた。
「遅いですわよ?何に時間がかかってたのかしら?」
「私たちは昨日に準備を終えてたので早かったんですよ。エクラちゃんもそこまで怒らなくても・・・。」
「時間にゆとりをもって望まないとですわ。では出発しましょうか。門を抜けてからですわよね?」
「そうだよ。じゃあ行こうか。」
寮を出て、街を横切り、門をくぐり抜けた。
「さて、ここからは、ヴァイス・ノワール・グルナの出番だな?」
「ケルウス頼む。」
「シャインお願いします。」
5匹の召喚獣たちが出そろった。
しかし、これでは乗れる人数が2人足りない。
「これでどうするんですか?5人しか行けませんよ?」
「誰かが2人乗り?でもそうすると、速さがないわよ。」
「俺とルーチェはこれがあるから大丈夫だよ?」
久々にリュシオルは羽を出すことにした。
「うそ・・・。それって魔法?本物?」
「これは魔法だよ。ただし、本物になるかな?つけ耳とか尻尾みたいなものだと考えて、さらにそこに自分の意思を通せるようにしたものかな?」
「なんだか難しいけど、リュシオルだからでいいかしら?」
「それでいいよ~。因みにルーチェにも生えるよ~。腕輪に施したからね。」
そういうと、ルーチェも羽を出した。
「いいな~。俺も飛んでみたい!」
「難しいですよ?人間は飛んだことがないので飛ぶという感覚が分からないとのことです。なので、失敗すると落ちますよ?」
「う・・・。すぐにできないならいつか必ず練習したら出来るってことだよな?」
「練習次第になると思いますが、魔力が大量にいるのであまりお勧めはしません・・・。」
ルーチェにリンブルは聞いていたが、難しいと言われて、今回は諦めることにしたようだ。
「確かにこれなら早く行けますわ。道案内はヴァイスに乗せてもらって先導しますわ。じゃあお願いね?」
ヴァイスは頷き、他の召喚獣たちも背に乗せだした。
「では出発ですわ!」
エクラの案内で避暑地に駆けていった。
リュシオルとルーチェとエクラは上空から、残りは地上を滑るように走っていく。
「もうすぐ着きますわ!」
走り始めて3時間程で到着した。
時速は約80キロぐらい出ていたと思うが、感じさせない滑らかな走りと、防御魔法を召喚獣たちが張ってくれたおかげで快適に行くことが出来た。
そこに広がるのは大きな湖と草原と綺麗な屋敷が立っていた。
「とってもきれいね。」
「はい。綺麗です。」
「気に入っていただけたのならよかったですわ。では、早速中に入って部屋割りを決めましょう?」
屋敷に進んで行くと、執事が出てきた。
その執事は年がいっており、おじいちゃんみたいに見えたが、隙がなくいつでも主人を守ることができる体制になっている。
「ようこそお越しくださいました。私がクレールス家に仕えている執事でございます。セバス・・・とでもお呼びください。」
「今日から3日間よろしくお願いします。」
「はい。かしこまりました。お部屋ですが、掃除が終わっていますので好きなお部屋をお使いください。」
「ありがとうセバス。では、見てから決めましょうか?」
「賛成!」
中に入り、一つ一つ部屋を見て回り、部屋を決めた。
「俺はここがいいな。」
「わたしはこの部屋を使いたいわ。」
それぞれ希望の部屋を決めて一人一部屋の贅沢な泊まりかたをした。
「それでは何しましょうか?」
「ん~ここで有名なこととかは?」
「ここに来たら、まずはそこの湖で釣りを楽しんだり、ボートに乗って遊びますわ。」
「じゃあ、今日はそれで!釣り竿とかあるのか?」
「セバスが用意していますわ。セバス?」
エクラが声をかけると、どこからともなくセバスが現れ、手には釣り竿と、かごを持っていた。
「お嬢様お持ちしました。人数分はないですが、ボートも置いてありますので・・・。」
「釣り竿が足りないんだったら作るよ?」
セバスの手には3本の釣り竿しかなく、皆で楽しむことが出来なさそうなので、制作を申し出た。
「なんと!釣り竿を作ることができるのですか?」
「そうですね。これよりいいものを作りましょう。部屋に荷物を置いてからにしていいですか?」
「見せていただくのにこちらがお願いしていることなのでどうぞ。」
「では先に外に出ておいてください。皆も荷物を置いて玄関に集合ね?」
皆、荷物を置きに行き、玄関に集合するのだった。




