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「そうよ?欲しい?」
「是非とも!それに可能ならいっぱい欲しいです!」
「困りましたね・・・。そこまで余分には作っていないの・・・。来年であったら出来るわ・・・。」
「では、今渡せる分を買わせてください。そして来年の分のライも作れる・・・いや大量に作っていただきたい。」
「どれぐらい欲しいの?」
「そうですね・・・。何に入れていますか?」
「ちょっと待っててね?」
もう、大量に買う気満々である。
「この袋に入れているわ。」
空の袋を持って見せてくれた。
袋の大きさは10キロぐらいの量が入りそうだった。
「ではそれを来年は100個用意してもらうことはできますか?」
「100個!?大丈夫なの?!」
「はい。アイテムボックス持ちなので。それにちゃんと支払いします。」
「わかったわ・・・代表に話しておくわ。お金は・・・いえお金はいいわ。何か珍しい物とかきれいな布・装飾とかと交換でいいかしら?物はその都度変わったりするかもしれないけど。」
「構いません。それでよろしくお願いします。」
米の交渉もうまくいき、交渉してくれると約束してくれた。
「じゃあ、とりあえずこの一袋だけあげるわ。」
「いいえ。お支払いしますよ。何で払いましょうか?」
「いいの?あるなら、何か変わった物とかが欲しいかしら?」
「ならこれはどうでしょう?」
リュシオルの作ったスイーツを提供してみた。
「これは何かしら?」
「甘味です。普通は砂糖を固めたものばかりですが、このようなものも作れるので。どうぞ。」
「これは変わっているわ。これで交換成立ね?」
手渡したのは、クッキーとマドレーヌである。
「これはお茶の時に出したらいいのね?」
「そうですね。お茶請けとして出せばいいでしょう。」
「なら、今からお茶にしましょう。」
学院長のお母さんが、お茶の用意をしに行った。
「それは私も初めて見ますが、リュシオル君が作ったのですか?」
「私が母から教えてもらい、作った物になります。簡単ですが、王都とかではないみたいだったので、知人とかに作ったりしていますね。」
「なるほど。それを売ったりは考えていないのですか?」
「今は考えていないですね。いつかはやってみるのも面白そうです。」
「そうですか。なら手に入れるならリュシオル君に頼むしかないということですね?」
「ホントですか?!」
「今渡しても困ると思うので、学院に帰ってから渡しますね?」
「是非ともお願いします。」
座ったまま深々とお辞儀をしていた。
プライドとか地位は甘味の前ではどっかに行ってしまうようだ。
「頭を上げてください。そんなに甘味が好きなんですか?」
「はい。意外とエルフって甘いものが好きなんですよ?だから、女・男関係なく甘い物には目がないです。」
「では交渉材料になりますかね?」
「十分なるでしょう。相当な価値があると思いますよ?」
「それはいいことを聞きました。交渉の席で出してみます。」
学院長と会話が終わった辺りで、お茶を持って学院長のお母さんが戻ってきた。
「これでよしっと!さあ頂いていいですか?」
お茶と一緒に皿を持ってきていたので、袋から取り出し、並べてティータイムを始めた。
「では、このくっきー?を・・・。これは美味しいですね!程よい甘さと、サクサクした触感。これは蜂蜜を入れていますか?」
「よくわかりましたね。ある種族から蜂蜜を分けていただき、使用しています。」
「そうなのですね。エルフでは、木からとれる蜜を使用して作ったりしているのですよ。砂糖も高級ですが、手に入れることが出来ますが、ここでは木からとれた蜜を主に使用します。」
「それって・・・。メイプルシロップだ!」
「めいぷるしろっぷ・・・とは木の蜜のことでしょうか?」
「はい。その木から取れる蜜はメイプルシロップと言います。」
「それは知りませんでした。明日にでも長にお話ししておきます。」
初耳だったようで、とても喜んでいた。
ゆっくりとティータイムを過ごし、いよいよいい時間になって来たので、そろそろ学院に戻ることにした。
「それではお母さん学院に戻ってきます。」
「そう。ここからは遠いから気を付けてね?」
「いえ。転移で一瞬ですので大丈夫ですよ?」
リュシオルの言葉を聞き、学院長のお母さんは驚愕していた。
「て・・・転移ですか?!もしかして個人で使えると?!」
「はい。指定するなら陣を書いた方が楽ですけど、私に触れてもらえれば、その対象物・人も範囲にするように魔法に組み込んでいるので。」
「それは・・・今の時代ではできないと思っていた・・・。ぜひ今度エルフの里に来た時に長にお話ししていただきたい!」
熱弁され、今度絶対に来ることを約束させられて、エルフの里を後にした。




