~126~
この里の長の家に着いた。
エルフの里どこの家もそうだが、家は大きな木を中をくり抜いて作られているかのように見える。
特に長の家は大きいようだ。
「ここが長の家になります。どうぞ。」
中に案内されて入ってみると、予想とは違った。
中はくり抜かれたのではなく、空洞になるよう、住まいになるように生えていた。
確かに、家だと学院長は言っていたが、木が立っているだけであると、そこをくり抜いて住まいにしているのだと思っていた。
「不思議でしょ?エルフの家は、木にお願いして住めるように育ってもらうんです。その際に魔力と活力・成長促進としてあげるのですがね。だから、森で自分の家になってくれる小さい木を探し、植えてするので家族の一員なんです。」
「そうなんですか・・・。長の家が大きいのは?」
「この里を作った人が魔力が凄くて大きな木になったんです。ここは代々の長が住む家となっています。」
説明を受けていると、奥から壮年のエルフが出てきた。
「長。お久しぶりです。」
「おぉ~これは懐かしい。シュレネではないか。そしてそちらに居る人間の少年少女は?」
「はい。こちらは私の学院の生徒の者です。」
「そうか。うむ・・・。魔力も澄んでいるな。この里の出入りを許可しよう。
「「ありがとうございます。」」
この里の滞在及び、通行の許可が下りた。
「これを持っていなさい。」
渡されたのは、木で作られたブレスレットだった。
「これはこの木から作った物で、結界の主格となっている木になる。だから、この木の物を身に着けていると、エルフの里に入れるのだ。それと、そこについているのが、私の魔力を込めた魔力の石だ。」
見てみると、透明な石が付いており、中に少しだけ淡い色の球が見えた。
「それが私の魔力である。シュレネお前も込めてやれ。」
「はい。」
学院長が手をかざすと、また別の色の球が現れた。
今度は濃い緑である。
「これで、代表的な2人からの許可が下りているので、大丈夫であろう。ここに来たときはそれを見せるとよい。」
「わかりました。」
「それでは長これはお土産です。」
王都で買ったお土産を渡すと、嬉しそうにしていた。
「久しぶりの人間産か・・・楽しみに食べるとしよう。」
「ではこれで・・・。」
長の家を後にし、今度は学院長の家に向かった。
「ここが私の実家です。ただいま・・・。」
学院長は緊張した面持ちでドアを開けた。
するととんでもないスピードの物体が学院長に突っ込んできた。
「シュ~レ~ネ~!おかえり!!!ママ寂しかったのよ!!!」
学院長に飛び込んで行ったのは、学院長のお母さんである。
だが、お母さんというより、同い年にしか見れないのだが・・・。
「お母さん・・・。生徒が驚いています・・・。」
「あら!お客さんがいたのね!こんにちは。シュレネの母です。」
お辞儀をして挨拶をされたので、こちらも慌ててお辞儀をした。
「学院長の学校の生徒の者です。訳あってこうやって素顔を隠しています。呼ぶときはブラックとお呼びください。」
「同じくです。ゴールドとお呼びください。」
騎士のような優雅さをもって挨拶した。
「まぁ!!礼儀正しいのね!素顔が見れないけど、魔力で見たらわかるわ!ん~お父さんと出会っていなかったらアタックしていたわね。」
「やはりですか。ブラック君ゴールド君。里でアタックされるのを覚悟してくださいね?」
「もしかしてですけど・・・。」
「そのもしかしてです。エルフは魔力を見ることが出来ます。なので、澄んでいてより強大な魔力を持っている物に好かれます。なのであなたたち2人は言わば優良物件なのですよ。」
もう爆弾発言である。
エルフの恋愛観は人間と違っているようだが、大変なのは変わりない。
「どうしましょうか・・・。」
「今回は私が一緒に居ますが、次は分からないので覚悟してくださいね?」
「わかりました・・・。」
「話は終わったかしら?では食事にいたしましょう!!シュレネと客人のために腕を振るうわ。」
意気込んで、調理場に行った。
「せっかくですから食べていってください。母の料理は意外とおいしいですから。」
「はい。エルフの料理に興味があるので食べていきます。」
「そうしてください。」
席に着き、待っている間に食事について質問をしてみることにした。
「噂に聞いた話ですけど、エルフって肉を食べないのですか?」
前世で知っている知識で、エルフは肉を食べないとあったので本当にそうか聞いてみることにした。
「そうですね・・・。一般的な動物は殺生しませんが、魔物は殺し、食べます。なので肉は魔物の物限定で食べます。」
つまり、人間のように家畜を飼って育て、食べるという行為をしないだけで肉は食べるということである。
「できたわよ~!さあ召し上がれ?」
出てきたのはプレート料理。
米の上にサラダが乗っており、その上には肉が乗っている。
「え・・・米?!」
「どうしたんですかリュシオル様?」
「学院長のお母さん!この下の白いのは?!」
「ん?ライのことかしら?」
指をさして確認をしてきた。
「そうです!ここで作られているのですか?!」
ついに夢に見た米である。
興奮し、学院長のお母さんに詰め寄り話を聞き出すことにした。




