~121~
男子寮に着き、部屋に入ると何か空気が違った。
リンブルはブツブツと言いながら問題を解いており、間違ったらすぐに教えられまたブツブツと言いながら紙に向かって書き続ける。
少し離れたところで、他の皆が少し震えながら勉強に打ち込んでいた。
「あ!おかえりなさいませ。そろそろ終わろうかと思っていたところです。リンブルさん?」
「はい!すいません!」
なぜかリンブルは目が死んだまま謝っていた。
「リンブル・・・どうしたんだ・・・?」
「リュシオル・・・ちょっとこっちへ。」
プワソンに呼ばれ、少し離れたところに移動した。
「あれ・・・どうなってるの?」
「あまり思い出したくないが、ルーチェの調き・・・指導のもとああなってしまったようだ。私もあれは怖すぎる。家の侍女長より怖かった・・・。」
「そ・・・それは申し訳ない・・・。」
「いや。それのおかげでリンブルの集中力が上がっているのは確かだからそのままにしていたのだが・・・。」
「うん・・・。程々にって後で行っておくよ・・・。」
小さな声で詳細を聞き、すぐに皆の元に戻って行った。
「お昼だけど何食べる?」
勉強の話題から少し逸らし、お昼の話をする。
「そうね~。頭を使ったからお腹減ったし、甘いものも食べたいわ。」
「わたくしはそこまで量がいらないですわ。」
「勉強だけだったからそこまで量はいらないな。」
「私も甘いものが食べたいです。」
皆がそれぞれの意見を言い、どうしようかと考えていたら、リンブルから声が聞こえてきた。
「リュシオルも作るのしんどいと思うから、外に食べに行こうぜ?」
「あ・・・リンブルが復活した・・・。そうだな。今日は食べに行こうか。」
「そうですわね。それほど食べないのであれば、カフェで食事もいいですわね。」
エクラが手を胸の前で合わせ、目でそこに行きたいと訴えていた。
「行きたいカフェってどこなのでしょうか?」
ルーチェに尋ねられて、嬉しそうに語りだした。
「幼馴染の女の子からの情報で美味しいと聞きましたの。何でも変わった料理が出るのだとか。味はその子の保証があるから間違いないですわ。」
「じゃあそこに行くのでいい?」
みんなに問いかけると、首を縦に振っていた。
「では、早く行きましょう!」
エクラはルンルンで片づけて、出かける用意をしていた。
皆も、一旦片づけて出かける用意をする。
寮から出て、エクラの案内で街に歩いていくこと数十分で、目的の場所に着いた。
外観は女性が好みそうな外観で白を基調としていて、デザインもお洒落であった。
「ここですわ。」
「綺麗なところね。」
「それでいて、女性だけを狙わず、若い客層を狙っているのか・・・。」
「確かに若者が好みそうだね。学院がある都市だからじゃないかな?」
「とにかく入りますわよ?」
うずうずしていたエクラの後に続き、中に入って行く。
中に入ると、シンプルなデザインであるが、清潔感があり、まさにカフェと呼べるような内装であった。
「いらっしゃいませ。こちらのお席にどうぞ。」
店員に案内されて、席に行くと団体用のテーブルがあり、客の人数に見事対応して見せた。
「ここすごいな。客の人数分座れるようにしているし、区切りもいやらしく無い程度にしている。」
「貴族とかの奥様にも対応していると聞いていますわ。だから、わたくしたちのお母様もここに来たことあるらしいですわ。」
へぇ~っと聞きながらメニューを開くと、意外とリーズナブルな値段の物と、貴族用のいい食材のメニューと分けて書いてあった。
「これなら確かにいいな。高いほうもいつか食べてみたいと思ってしまうな。」
「わたくしはどちらも食べてみたいですわ。」
「俺は量が食べたいからこっちだな。」
皆それぞれ食べたいものを決めていった。
『これ・・・。地球の時のメニューに似ているんだけど・・・。名前は少し違うけど。』
『主の故郷の食べ物ですか?』
『イタリアン料理の部類だけどね。』
メニューに載っていたのは、地球の時のパスタやグラタン・ピザなどの名前が書かれていた。
さっそく注文して、届いた料理を見てみると、見た目が思っていた料理とそっくりであった。
「これが、グラタン・・・ですか。いい匂いがしますわ。」
「これ、どうやって食べるんだ?」
「モチモチしているこれ何かわからないけど美味しいわ。」
グラタン・パスタ・ニョッキとやはり見たことある料理だった。
リュシオルは、マルゲリータのピザを頼んでいたのだが、それもそっくりな見た目である。
「リンブル。それはフォークをくるくる回して麺を巻き付けて口に運ぶとうまく食べれるぞ?」
「あ・・・ほんとだ。リューありがとな。」
アドバイスした後、自分も切り分けて口に運ぶと、地球の時の味によく似ていた。
『これは・・・。もしかして、俺と同じような転生者がいるのかな?』
『そんなに似ているのでしたら、そうかもしれませんね。神に聞けたら一番早いと思うのですが、そんなこっちからコンタクトは取れませんですし・・・。』
『まぁ~問題ないと思うからいいんじゃないの?実際転生して、自分のやりたいことが出来ているのならそれはそれでいいと思うし。俺も、楽しくこの人生を楽しめているから。』
ガルディと話していると、横から手が伸びてきた。
「リューのもおいしそうだな・・・お!!おいしいな!」
その後、皆と少しづつ分け合い、甘いものを食べて寮に帰っていた。




