~117~
エーヌの家を後にし、ギルドに向かうことにした。
明日から、これなくなると言うためである。
「来れないけど、もし緊急があったらどっちかがすることにしようか。」
「そうですね。でも連絡手段は・・・。」
「それはジェイドに元の姿でしてもらおうかと考えてる。」
「そうですね。鳥の召喚獣なら怪しまれないですね。」
ジェイドにおつかいを頼むことにした。
『ジェイド・・・聞こえる?』
『なに~?リュシオル様?』
『実は学校が試験前とかで忙しいんだ。』
『ふんふん。それで僕はどうしたらいい?』
『それで、ギルドの仕事とかの伝言を聞いたりするおつかいをして欲しいんだ。』
『何だそんなことか。いいよ~。今から行った方がいい?』
『顔合わせのためにも来た方がいいかな?』
『わかった~。ギルドの前で待ち合わせね?』
『元の姿で来てほしいかな?』
『りょーかい!』
話も終わり、ギルドに向かいながら買い物を少ししておいた。
ギルドに着いたら、屋根にジェイドが止まっていた。
『お待たせ~。』
『来てくれてありがと。中に入ろうか。』
ジェイドはリュシオルの肩にとまり、一緒に入って行く。
中に入ると、皆が珍しそうな目をしていたが、近づけないので離れて見ているだけであった。
「いらっしゃいませ。今日は・・・。」
「少し話があるので、別室でいいですか?」
「わかりました。応接室へどうぞ。」
シフラに案内されて、応接室で話すこととなった。
「それで、こういった密室で話とは?」
「はい。実は学生の試験がありまして・・・。」
「そういえばそろそろですね。でも、シャドーブラック様なら余裕なのでは?」
「まぁ・・・そうなんですが、学友に指導を頼まれまして・・・。」
「あ~捕まったわけですね?」
「おっしゃる通りで。それで、ギルドにしばらく来れないので・・・。そして話はここからなんですけど、このジェイドに話を通してもらえれば、緊急なら何とか時間を作って依頼はできるようにしておきますので。」
「!!それは助かります。緊急時に連絡が取れるのは心強いです。」
そして、シフラがジェイドの方を見ると・・・。
「よろしくね?おね~さん?」
「喋った?!」
「はい。私の召喚獣は喋ることができるので、伝言も普通に喋ってもらって構わないです。」
「それはそれですごいですね。それで?ジェイド君がいるのは何時から何時ですか?」
「ん~。ご飯の時は帰ってくる?」
「うん。りゅ・・・ブラック様のご飯が食べたいから帰る~。」
「では、ご飯の時だけ帰って、そのほかの時間はシフラさんに付いているってことでどうでしょうか?護衛も兼ねてで。」
「それは嬉しいですが・・・。」
少し疑う目を向けたが、心外だというようにジェイドが反論した。
「僕は強いんだよ?おね~さんの一人や二人ぐらいよゆ~で守れるもん。」
「わかったわ。羽の生えた騎士様。」
「認めるならよろしい!」
少し胸を張り、偉そうな恰好をして、皆に笑われてしまった。
「な・・・なに?何かおかしい?」
「うん。可愛いなって思って。」
「可愛いは嬉しくない・・・。」
少し気が沈んでいたが、頑張るのでご褒美でクッキーを取り出した。
「これはジェイドとシフラさんで食べてください。他の人には内緒ですよ?」
シーッと唇に人差し指を当てて、シフラに内緒にねと促すと、顔を真っ赤にしていた。
『ほんとタラシですね。どれだけ魅了するんですか・・・。』
ルーチェは心でつぶやき、溜息を吐いた。
「じゃあ、ジェイド頼んだよ?」
「は~い。がんばりま~す。」
ギルドにジェイドを預けて?ギルドを後にした。」
「さぁ・・・帰って勉強しますか・・・。」
「そうですね。皆が待っていますね。」
「転移で帰るよ?捕まって?着く瞬間に仮面を外してね。」
転移の一瞬の時に外して帰る作戦である。
転移に少し時間がかかるようにすると可能だと気づき、今日それを試してみることにした。
光って、少し見えなくなる演出をしたので目論見は成功したのだった。
「これなら出かけやすいね。」
「そうですね。さぁ。戻りましょう。」
男子寮に帰ると、皆が揃って勉強を始めていた。
「おぅ!先に始めているぞ?」
「今のところは問題なくできて・・・いませんね。」
リンブルの方を見てため息をついていた。
「お?なんだ?俺か?俺はそんなにできていないか?」
「まったくですわ・・・。どこをどう教えていいのかも皆目つきませんわ・・・。」
エクラとプワソンはお手上げ状態だった。
「わかったじゃあ、リンブルは俺が引き継ぐよ・・・。」
「頼んだぜ。リュー。」
そこから、リンブルに分かるよう問題をかみ砕いて・・・かみ砕いて・・・かみ砕いて・・・すり潰してやっと理解してもらった。
「そうだったのか・・・。そうやって説明されてやったと分かったぜ。」
「それはなにより・・・。俺も少し苦労したよ・・・。」
「「「「お疲れさま・・・。」」」」
皆から同情の目を向けられていた。




