~112~
「がぁぁぁぁっ!」
ケルベロスはそれでも抵抗しようとブレスで周りをとかそうと必死にしているが、新たに足されていくので無意味であった。
「氷の世界だからね?簡単にやられるわけないよ。」
『主様!僕に氷の魔力を纏わせて!』
「ん?属性の魔力か!それなら奴が切れるな!」
バルトに氷属性の魔力を纏わし、駆け出す。
ブレスをして溶かそうとしている頭が攻撃を加えてこないので、事実上は2つの頭を相手するだけでいいため避けやすくなっている。
ケルベロスは2つの頭が気づき、噛みつきで対応してくる。
「2つぐらいなら対応できる!はっ!」
噛みつきを姿勢低く回避し、ようやく懐に潜りこむことが出来た。
「これで終わりだ!」
スライディングをしながら、心臓辺りをバルトで一閃する。
「ぐぎゃ!」
何とも言えない声を上げてケルベロスは天を仰ぎ、その後力なく崩れるように倒れた。
「はぁ~。やっと終わった・・・。」
「長かったですね・・・。強敵でした。」
「これならドラゴンの方が倒しやすいよ・・・。」
どちらも強いのだが、リュシオルに比べると力押しで倒せるドラゴンの方が倒しやすいということである。
「さて・・・これを持って帰ったらえらいことになりそうだよな・・・。」
「でも、持って帰らないと報告できないですよ?」
「そうだよな・・・。」
報告する調査の依頼を受けたので仕方がないので持って帰ることになった。
「それにしても氷属性だけしか効かないとは思わなかったな・・・。」
「そういうのは多くいるそうですよ?もっと勉強が必要ですね。」
「でも、ケルベロスなんて倒す機会なんてそうそうないからな?」
「そうですね・・・。ほとんどもう知識にありますものね。」
マージから貰った本に書いてあるのだ。
本屋でも売っていない量の知識が詰め込まれている。
「マージにはほんと感謝しないとな・・・。マルテに戻ったらマージに会いに行こうか・・・。」
「そうですね。」
ゆっくりと帰りながら倒したゴブリンなどの死骸を回収していく。
このまま放置していると、この死骸から死霊系魔物が生まれてしまう可能性が高まるからである。
「回収するのもめんどくさい・・・。」
「そう言わないで回収しましょう・・・私もその意見に賛成ですけど・・・。」
「いっそう燃やしてしまう?」
「時間かかりますよ?」
「いや・・・出来るかもしれない!確か何て言ったかな・・・。思い出した!」
試しに1匹だけ取り出し、討伐部位を剥ぎ取り魔法名を口にする。
「『クリメイション』」
唱えると、青白い炎でゴブリンを包みあっという間に燃やし尽くした。
「「できた・・・。」」
「これで早くなる!」
「真っ暗になる前に帰れますね!」
そこからの作業効率が上がったのは言うまでもないであろう。
「やっと終わったー。そして街だ・・・。」
門に近づくと、門番が声をかけてきた。
「遅くまでご苦労様です!」
「あ・・・ありがとうございます。」
「感激です・・・。門番になって日が浅いのですが、シャドーブラック様とシャインゴールド様に会えるとは・・・。握手してもらえますか?」
「あ~今調査しに行って、倒してきた手だから汚いし、また今度でいいですか?」
「汚れていないじゃないですか!なので大丈夫です!」
門番の熱意に負けて握手することになって握手したのだが、目をキラキラさせていた。
「めちゃくちゃうれしいです!同僚に自慢できます!」
「あまり触れ回らないでほしいかな?疲れているときとか対応できないかもしれないし・・・。」
「あっ!これは失礼しました・・・。」
「いいえ。こちらこそ・・・。それで通っていいですか?」
「もちろんです!どうぞ!」
ギルドカードを確認することもなく、顔パスで通ることが出来てしまった。
「これっていいのかな?彼、怒られないかな?」
「大丈夫ですよ。ブラック様は有名ですもの。」
「そうならいいけど・・・。」
ギルドに向かい、報告したらすぐに帰ろうと思っていたが・・・。
「おかえりなさいませ。こちらにどうぞ。」
なぜか、あの受付嬢が扉前にいて、中に案内してくれた。
「えっと~来ること伝えてないよね?」
「はい。伺っていませんよ?気配・・・虫の知らせで分かっただけです。」
その言葉を聞き、少しリュシオルは悪寒が走り、体を抱きしめてしまった。
「どうしました?寒かったですか?」
「い・・いや大丈夫・・・。」
「ならよかったです。こちらに来てください。」
案内されたのは解体場であった。
ただし、誰もいなかった。
「すいませんが、こちらでお待ちください。マスターを呼んできます。」
「え・・・なぜですか?」
「え?なぜって言われましても・・・シャドーブラック様がこれほど時間がかかるということは重要なことがあったからだと推測されるので。」
「す・・・すごい優秀ですね・・・。」
「シャドーブラック様限定ですがね。ではお待ちください。」
また悪寒が走って、体を抱きしめてしまった。
「大丈夫ですか?」
「うん・・・。あの受付嬢に恐怖を抱いてしまったよ・・・。」
「確かにあの洞察力・・・行動すごいですね。私も見習わなければ。」
「しなくていいよ・・・。これ切実に・・・。」
受付嬢からさらに増えるのは阻止したかった。
受付嬢・・・怖すぎる・・・。




