~109~
宝物庫の外に出てきて、早速オートメイルに質問をしてみた。
「これなのですが、何か知っていますが?」
「これは武器の能力を上げる物ですね。意志を持っている武器防具なら、その者たちが望むことが手に入るものだな。これは迷宮のドロップアイテムだな。」
「そうですか。ありがとうございます。」
「これは?」
「それについては全く分からない。珍しいという理由だけで納められたものだと思われる。」
「そうですか。でも綺麗なのでいただきたいですね。」
リュシオルの持っている球は解ったが、ルーチェの物は何かわからなかった。
「では、オートメイルさん譲渡処理を。」
「かしこまりました。今回の物を私の目の前に。」
近づけると、目からスキャンのような光が出てきた。
「わっ!びっくりしました。」
「これで処理は終わりました。お疲れさまです。」
ルーチェは驚いて声を上げてしまった。
「では、上に戻りましょうか?上でお茶の用意が出来ていますの。ゆっくりしましょう。」
「では、少しだけお邪魔します。」
リュシオルとルーチェはグローリアに連れられて客間に戻ってきた。
戻ってきた客間には地球でいうアフターヌーンティーの用意がされていた。
「お座りなって。ゆっくりしましょう。」
「「ありがとうございます。」」
ソファーに座ると、どこから現れたのか分からない侍女に紅茶を入れてもらい、お茶をした。
「いい香りのお茶ですね。」
「そうですか?!私のお気に入りなのですの。良ければ少しお分けしますわ。」
「それは嬉しいですね。ではお言葉に甘えて頂いて、これで甘味を作りお持ちしますね。ただ、いつになるか分からないのですがね。」
「それはとてもうれしいですわ!いつでも楽しみにしています。」
せっかく貰ったので、お返しに自分にできるお返しをしようと考えた。
「そろそろわたくしの時間が無くなってきましたわ・・・。」
「では、私たちも失礼させていただきますね。」
「申し訳ありませんわ・・・。本来ならもっと時間を空けるのですが・・・。」
「突然お邪魔したので仕方ないです。それでも、丁寧な対応をしていただきありがとうございます。」
「命の恩人ですもの。当然のことですわ。」
にっこりと握手を交わした。
「では・・・。誰かおりませんか?!」
「ここに・・。」
「シャドーブラック様とシャインゴールド様をお見送りして。そして、私のいつも飲んでいる紅茶をお分けして。」
「かしこまりました。少しお待ちください・・・。」
侍女がドアから消え、すぐに戻ってきた。
「お待たせしました。お送りします。」
「え・・・もういいのですか?」
「大丈夫でございます。これぐらいは侍女の嗜みです。」
「はぁ・・・。」
何も言えず、グローリアと別れて門まで案内してもらった。
この王城の地図はもうマップを取ったのでもう迷わず来れるのだが、おとなしく案内されることにした。
「ここが出口でございます。本日はありがとうございました。」
そういうと奥から別の侍女が現れた。
「こちらが本日お飲みになった紅茶の茶葉でございます。」
「ありがとう。グローリア様に伝えてくれ。」
「かしこまりました。では、私どもはこれで。」
侍女は音もなく王城に姿を消した。
「まだ早いからどうしようか・・・。」
「そうですね・・・。さっき貰った物を見てみるのはどうでしょうか?」
「そうだな。バルトとガルディに渡してみるのもいいかもしれないね。ただ街中は危険そうだから森に行こうか・・・。」
「そうですね。何が起こるか分からないですものね。」
「ついでに依頼も受けておく?」
「それはいい考えですね。」
話もまとまり、ギルドに向かうことにした。
「シャドーブラック様とシャインゴールド様いらっしゃいませ。」
「あ・・・あぁ。こんにちは。」
受付に来た瞬間である。
あまりに素早い挨拶でリュシオルも戸惑ってしまったが、すぐに平常心に戻った。
「先ほど入ってくるのが見えたからですわ。本日は?」
「そうなんですね。では、森の奥での依頼とかありますか?」
「指定は森の奥ですね?少々お待ちください・・・こちらなどどうでしょうか?」
場所の指定にすぐ検索しにかかって、すぐに見つけた。
実はこのギルド嬢はリュシオルの正体を知っているギルド嬢である。
「『この人凄い有能だな。』何の討伐でしょうか?」
「こちらは異変の調査になるので、これといった指定はありませんが、調査とその時に出てきた魔物を買い取らせていただきます。」
「そうですか。どういった異変が起こったと?」
「はい。新人でも行けるような森の奥なのですが、なぜかゴブリンとオークが協力していたというのです。その新人も力量を見誤らず、逃げる選択をして帰ってきて報告があったため今はその森は封鎖しております。」
どうやら、魔物は異種同士は組まないようである。
「その組んでいた魔物となぜそうなったかを調査すればいいのですね?」
「そうです。受けられますか?」
「日帰りできそうだし、それを受けるよ。」
「わかりました。ではギルドカードをお預かりします。・・・ありがとうございます。カードをお返しします。」
「ではいってきます。」
受付嬢に行ってきますをしてギルドを出た。
その頃受付嬢は・・・。
『また会えた!もしかして・・・運命とか!?キャー!!!そんな。だめですよ・・・。受付嬢はそんな・・・。』
頬を赤らめ、手で顔を隠しトリップしていた。
梨が食べたいです!!w
とても梨が食べたいです!!w




