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「そうですね~。宝物庫にあるものを一つとかどうですか?宝物庫のなら十分に価値があるかと。」
「そうだな。それでいいか?」
リュシオルに同意を求めるように目で合図してきた。
「何でも構いません。でも武器ならもうあるので・・・。」
「そうか?でも武器だけでなく防具は?」
「防具もあります。」
「それでも何かあるかもしれないからゆっくり見て決めるといい。何もなければ金でも用意するとするから。」
「それではお言葉に甘えます。」
「では、食事を楽しもうではないか!」
この後は、当たり障りのない会話をして食事会を終えることとなった。
「それでは、後日にまた訪れてください。」
「はい。ありがとうございました。」
グローリアより挨拶を貰い、城を後にした。
一瞬でも帰れるのだが、今日はなぜか気分的にゆっくり歩きながら帰ることにした。
「今日の食事は美味しかったですね・・・。あの赤いソースも絶品でした。」
「確かにあれをよくつけて食べてたね。作り方は教えてもらったの?」
「今度、登城した時に教えてもらえるように取り次ぎましたから大丈夫です。」
体の前に握りこぶしを作り、活き込んでいた。
「俺は宝物庫からななんか貰うらしいけど・・・バルトとガルディがいれば何もいらないんだけどな・・・。」
『『主(様)・・・。』』
「バルトとガルディはよかったですね。」
『ここまで必要されていると実感できたのはすごくうれしいです。』
『僕ももっと頑張っちゃうんだからね!』
「そこまで頑張らなくても十分助けになっているよ?」
『『ありがとう(ございます)!』』
「さて・・・リンブルとプワソンに詫びの何かを買って行かないとな~。」
「なんでです?用事が出来たと伝わっているのでは?」
「いや~食事を作るって約束してたのに、出来なくなったからさ・・・。」
「リュシオル様はすごいですね。気づかいがすごいです。」
地球ではこれぐらいが当たり前だと思っていることが、ここではすごいと言われたりする。
「そうなのかな?まぁ~お茶菓子ぐらいが妥当かもしれないから、でもなんか普通の食べ物も何か買っていこう?俺たちもゆっくりしたいし。」
「そうですね・・・。ゆっくりできなかったですもんね。」
あの空気の中では、味は分かるけど食べた気がしない感じであった。
「うん。なんか買って帰ろう。」
「そうですね。私もあれば食べたいですね。」
そういいながら、露店で食べ物を買いに行って買い漁り、今回はアイテムボックスに入れずに手で持って帰ることにした。
寮に着き、ルーチェも一緒に男子寮に付いてくることになった。
「ただいま~。」
「おかえりーなんか大変だったみたいだな?」
「衛兵から聞いたから心配しなくていい。食事は食べに行って済ませたから。」
「ごめんね?なんかバタバタしてしまって。お詫びと言ってなんだけど、食べ物と甘味を買って来たから一緒に食べよ?」
「いいね~リューは気が利くな。」
「そんなことないよ。」
露店で買ってきたものをテーブルに広げて食べ始めた。
「これって並ばないと食べれない例のやつじゃないか?」
「あ~そういえば並んでたけど、並んでたお姉さんが分けてくれたんだよ。これ美味しいからって。」
『『こいつ・・・無自覚か・・・。』』
リンブルとプワソンの心が通じ合った瞬間である。
「それにしても、中々食べれない、物ばかり買って来たんだな?」
「そういうやつはほとんど貰い物かな?」
「うんわかった・・・。リューだもんな。」
「そうです。リュシオル様です。」
ルーチェを含め、男二人も頷いていたが、リュシオルだけ納得いかない顔をしていた。
露店でのことを振り返ってみるとこうだ。
「お兄さん!これ多く買いすぎたから持っていって?」
「私もここの美味しいって聞いたから買ったんだけど、買いすぎちゃって・・・。貰ってくれない?」
「これ美味しいらしいのよ。お裾分けするわ。」
リュシオルは夜のお姉さんに近い人からたくさんもらっていたのだった。
「こんなにいただけないですよ・・・。」
「「「いいのよ。また今度でいいからお店に来てなんか食べていって?」」」
「はぁ・・・ありがとうございます。」
ルーチェはため息をつきながら露店に並んでいたのだが、ルーチェも貰っていたのだった。
「お嬢さん。これどうぞ?」
「あ・・ありがとうございます。」
「これも女性に人気らしいですよ?どうぞ。私は一つ食べてみたけど苦手な味だったから貰ってくれるかい?」
様々な男の人から貰い物をしていた。
つまり、テーブルに乗っている物はほとんど貰い物だったのだ!
「でも、ルーチェも貰っていたじゃないか・・・。」
「リュシオル様には負けますね。」
『まぁ~どっちもどっちな容姿だもんな。モテるに決まっているしな。』
テーブルにある食べ物に噛り付きながら思考に耽るのであった。
今週雨ばかりで嫌ですね・・・。




