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しるし(詩集)

わたしの中の木

作者: さゆみ

わたしの中の木はずいぶん大きくなりすぎて、わたしはじんわりと圧迫され続けています。


花が咲いたとき、わたしの中の木は仄かな薫りに自身で酔いしれて、うたた寝などしているのですが、花が散ってしまうと物足りない枝は容赦なくわたしを刺激するのです。


どうせならわたしを突き破り、飛び出してくれれば良いのにと何度も思うのです。

そうしたら、わたしはゆんわりと呼吸が出来るのです。


二酸化炭素を食べて盛り盛りと葉が生い茂ると、尖った葉先がだらだらわたしを撫でまわすから、わたしは緊張と安泰を忙しくまわしてしまいます。


それから固い実がころころわたしを駆け巡るころ、必死に出口を探すけれど、わたしの迷路は難解なので、不憫な固い実は熟して潰れて果汁になって、わたしの許容範囲までいっぱいになるだけなのです。

溶けない種子はいつもカラカラわたしの中を巡回して突然、摩擦を引き起こしたりします。


葉が色づき、やがてわたしの中に落ちこみ、びっとり張り付いてしまうけれど、ホウキを持たないわたしはそのまま腐葉されるのを待つしかないのです。 そうして、いよいよ真っ裸になった枝にわたしの中はかき回されるのです。


わたしの中の木にわたしはいつもびくびくしています

わたしの中の木はわたしを乗っ取ろうとしているのでしょうか

それとも本当はわたしの中から出ていきたいのでしょうか

もしかしたら、わたしは、わたしの中の木を好き好んで、わたしの中に閉じ込めているのでしょうか

まさか、そんなはずはないでしょう






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