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序章
ある小国の姫はたったひとりの騎士を側に置いたという。
その騎士はどこからか流れ着いた男だった。
騎士はこの地方では見られない完璧なまでな黒髪黒眼に白肌、そして、一軍隊をも凌駕するほどの力を持っていた。
騎士は姫が十のころに出会い、仕えた。
姫は頑なまでに結婚することを拒み、十五で巫女となった。
姫が三六で早世された日、騎士はどこかへと消えた。
騎士を探す者はいなかった。
誰も騎士の素性を知らず、姫にのみ懐いていた騎士を探す手掛かりなどはなかったからだ。
姫が火葬された翌日、巷ではある噂がまことしやかに囁かれた。
《姫の遺骨には喉仏がなかった》
とーーー。
初めましてです。
抽象的だけど、これを読めばだいたいのお話の流れがわかります。
たぶん、ほとんどのひとがわかっちゃいます。