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プロローグ
俺には、今年高校生になった一つ下の妹がいる。
名前を空垣小凪。凪いだ海のように静かな性格で、切れ長な目と、お腹ほど(目測)まで伸びている灰色がかった黒髪がよりクールさを演出している。クールビューティーという言葉が似合う少女だ。
家族贔屓であるのは否めないが、恐らくそれを抜きにしても、小凪の可愛さは天元突破している。
それだけ賛美しておきながらなんだが、俺と小凪はさして仲が良いわけではない。
お互い小学校中学年くらいの頃までは仲良し兄妹だったと思う。しかし高学年、さらには中学生へとなっていくと疎遠になっていき、高校生とっなった今では二、三週間に一言交わすかどうかのレベルである。
別段小凪を溺愛していたわけでもないので、そのことに不満を抱くことはない。
年の近い兄妹なら、年を重ねるごとに会話が減ることなど当然のことだ。犬猿の仲になっていないと考えると、むしろ良いほうだとすら言える。
まぁ、少しトゲのある言葉を投げられることもあるが……それを含めたとしても、小凪は俺にとって少し自慢の、そして普通の妹だ。
そんな妹が──泣いていた。




