12月18日、木曜日
「で、馬鹿犬先輩は赤点回避できそう?」
「呼び方が最悪なんだけど!?」
期末試験2日目が終わって、ふらつきながら帰ろうとしたら、自転車を押す須藤に呼び止められた。
「赤点は……たぶん、うん。だいじょぶ」
「答えが大丈夫そうじゃねえ」
須藤は並んで歩き出す。
駅まで一緒に行く気なのか?
周りには同じように駅に向かう生徒が歩いているから、一緒に歩くの嫌なんだけど。
そんなことを思っていたら、段差につまずいた。
「あ、わわ」
「なにしてんの、鈍くさい」
「えっ」
須藤が嫌そうな顔で私の腕を掴んでいる。
慌てて体を起こすと、手を掴まれた。
「また転ばれたらウザいから掴まってろ。恋愛強者になるなら、手くらいつなげるだろ? 9日目だし、それっぽいことしておこう」
「……う、うん」
つなぐって言うより、ほんと掴んでるだけだ。
でも、須藤の手は大きくて、ソワソワする。
最後に颯と手えつないだの、いつだっけ。
中学入ってすぐ、つなぎたかったけど、からかわれたくなくて止めた気がする。
だから、最後は小学生のときなんだろう。
それが、今では意地悪な後輩に手を引かれているのはなんでかなあ。
掴まれた手を振りほどくこともできずに、私は須藤について行く。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
この作品が面白かったら、☆を★に変えていただいたり
ブックマークやお気に入り登録してくださると、
作者がとても喜びますので、よろしくお願いいたします!




