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02月14日、土曜日

 部活のあと、昇降口に行くと藤也が待っていた。

 私を見つけると、ホッとした顔で駆け寄ってくる。


「メイサ、帰ろ」

「うん」


 自称飼い主のくせに、藤也のほうがよっぽど犬みたいだ。

 校門を過ぎたら指を絡めてくるのが、ほんと、それっぽい。

 この距離感で彼氏じゃないって、意味わかんないな。


「あのさ」

「ん?」


 ぼんやりしてたら、藤也が私を覗き込んでいた。

 やっぱり犬かも。

 そわそわとゆれる尻尾まで見えそうだ。


「チョコ、ほしい」

「どれだけほしいのよ。はい、どうぞ」


 手にしていた紙袋を渡す。

 藤也がパッと笑顔になった。


「ありがと」

「いーえ。そういえば、今日はもらってないんだね。部活とかは今日もらうと思ってたわ」

「メイサがくれるって言ってたから、今日は受け取ってない。……そっちは誰かにあげた?」

「ううん。部活も昨日ばら撒いたから、今日は藤也の分だけだよ」

「マジで。今日で67日目なんだけどさ、これ本命?」


 藤也は紙袋を大事そうに胸に抱えていた。

 今ここで本命って言ったら、あと33日はどうなるんだろう。


「本命……の、練習」

「練習かー」

「100日までに、私のこと勝たせてくれるんでしょ?」

「おうよ、任せとけ」

「あと一ヶ月、頑張るね」

「メイサ、あのさ」

「なあに?」

「んー、いや、やっぱいいや」


 藤也はそわそわしながら目を逸らした。

 ……こいつ、こんなにかわいかったっけ?


「ねえ、藤也。甘える練習していい?」

「ん、いいよ」

「寒いから温めてよ」


 腕を広げると、藤也は目を丸くしてから、眩しそうに笑った。


「今のは、85点」


 そう言って、私を腕の中に仕舞いこむ。


「やった、高得点だ」


 抱き寄せた背中は広くて、くっついた胸元はいい匂いがする。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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