02月06日、金曜日
放課後、部活に行く途中で藤也が追いついてきた。
「メイサさ、明日の午後、行きたいところない?」
「なにいきなり」
「花屋の手伝いしろって言われてんだけど、親父と店番したくないから、用事作るんだよ」
藤也は唇を尖らせて私を見ている。
かわいいけど、ここは甘やかすとこじゃない気がするんだよね。
「今日で59日じゃん」
「うん」
「私、少しは変わったかな」
「ちょっとは」
「藤也は?」
「俺? ……どうかな」
園芸部の倉庫と、運動部の部室棟の別れ道で私と藤也は立ち止まった。
藤也の手をキュッと握って見上げた。
今の私の笑顔は、藤也にとって何点かな。
「藤也は厳しいしキツイし、たまに意地悪だけど……私、藤也といるの好きだよ」
「なんだよ、いきなり。告白でもしてくれるわけ?」
「しない。藤也が私を逃げる理由にするなら、私は藤也に告白なんて、絶対にしない」
藤也は口を開きかけて閉じる。
私は藤也の言葉を待たないで続けた。
「明日の午後は私、バレンタインのチョコの材料を買いに行くんだ。だから藤也はホワイトデーのお返しのために、お小遣い稼いできて」
もうちょいマシな背中の押し方ができたらよかったのに。
もっとかわいいことが言える女ならよかったのに。
「……わかった。明日は実家の手伝いしてくるわ」
「うん、行ってらっしゃい。頑張ってね」
ゆっくりと手を離す。
藤也が園芸部の倉庫に着くまで、私は立ったまま見送った。
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