02月03日、火曜日
昼休み、先生に頼まれてノートを運んでたら、正面から1年生の男の子たちが歩いて来た。
隅に避けたのに、1人だけ真正面に立ちはだかってきた。
「あの? あ、藤也」
「ったく、半分寄越せ」
「え、でも」
「こういうときにかわいく頼れるのが恋愛強者なんじゃねえの」
「そうかなあ」
並んで職員室に向かう。
「男って単純だからさ」
言いながら藤也が私を見てニヤッと笑った。
「女の子に頼られたら、嬉しいもんなんだよ」
「……なるほど」
「ほら、残りこっち乗せて。職員室の扉開けてくれ」
「うん」
担任のところまで行くと、なぜか笑われた。
「なんだ、三枝。1年生こき使って。もう男を尻に敷いてるのか」
だから一人で運んでたのに。
適当に謝ろうとしたら、藤也が割って入った。
「セクハラですよ、先生。それに三枝先輩が一人でふらついて扉も開けられなかったから手伝ったんです。親切をそんなふうに言われるのは心外ですね」
「悪かったって。怒るなよ、須藤」
「俺じゃなくて三枝先輩に謝ってください」
「はいはい、悪かった」
「はあ」
職員室を出たとたん、藤也が低い声でぼそっと言った。
「あんのノンデリセクハラクソじじい」
「藤也? いいって放っておけば」
「良くない。とにかく、もう56日目なんだし、こういうときくらい頼れよ。わかった?」
「うん。わかった」
まだ怒った顔のまま、藤也は1年の教室に行ってしまった。
部活の後、飲み物奢ってやろう。
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