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01月28日、水曜日

 部活が終わって、部室の鍵を閉めたら、後ろから足音が聞こえた。


「帰ろ」

「うん」


 藤也は私の隣を黙って歩いている。

 鍵を返して昇降口を出る。

 校門をくぐったら、手を掴まれた。


「今日で50日じゃん」

「そだね」

「勝てそう?」

「わかんないな……。あのさ、藤也は私の飼い主って言ってたじゃん」

「うん」


 即答すんなって思うけど、手を握ったまま言葉を選ぶ。


「藤也はさ、私のこと、なんだと思う?」

「……負け犬先輩」

「そっか。じゃあ私が勝てるようになったら、飼い主おしまい?」

「なに、そんなに俺に飼われてたいの?」

「違うし! そうじゃなくて、藤也に手を引っ張ってもらうの楽なんだよね」

「お前、勝ちに行く気あんの?」


 呆れた声で言われた。


「そだよね。ね、藤也?」


 目をギュッと閉じてから、笑顔を作る。


「ん?」

「この笑顔、何点?」

「30点」

「低い!」

「もうちょいかわいく甘えてくんない?」

「甘えてほしいの?」

「練習だ、練習。メイサは下手だろ、甘えるの」

「うん。えっと藤也の手、温かいから、もうちょっとつないでて」

「45点」

「微妙」


 駅についた。

 藤也はカサついた手で、私のほっぺをなぞる。


「藤也の手は温かいね」

「今の顔は60点。また明日」

「うん。また明日」


 改札をくぐっても、藤也は見送ってくれている。

 ……50日経ったあとも、手を繋いでてほしいって言ったら、あいつはなんて答えるんだろう。

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