12月27日、土曜日
サッカー部の練習と片付けを終わらせて、部室の鍵を返した。
「お、来た来た」
昇降口を出たところで、自転車にもたれかかった須藤がヒラヒラと手を振った。
「待ってたわけ?」
「今日で18日。そんなんだから負け犬なんだろうが。かわいく、嬉しそうな顔しろよ」
「んー。おまたせ、須藤くん」
「35点」
「なっ、なんでよ!?」
「あはは、ほら、帰るぞ」
須藤は笑いながら歩き出した。
私も慌てて追いかける。
「園芸部って冬休みも部活あるんだね」
「水やりしないと枯れるだろ。サッカー部は負けたのに熱心だなー」
「負けたから、余計にね。練習試合もあるしさ」
「ふうん、練習試合って……」
須藤が言いかけたところで、隣に車が止まった。
なに?
「藤也、帰りなら送ろうか?」
車から顔を出したのは、イケオジだった。
うっわ……すごい。
うちのお父さんと同じくらいの年のはずなのに、めっちゃスッキリした顔のイケオジ。
顔は須藤そっくりで、丸い眼鏡の奥の目が柔らかく細められてた。
なのに須藤はめっちゃ嫌そうな顔でイケオジを睨んでる。
「いらねえよ」
「彼女さん?」
「違え、つーかそう思うなら声かけんな、クソ親父」
「あはは、お前はほんとに瑞希そっくりだね。ごめんね、彼女さん。お邪魔して」
イケオジはニコッと私に微笑みかけて、車を走らせていった。
「あの、今のはお父さん……?」
「悪いな、クソ親父が」
「ううん、すっごいイケオジでびっくりした」
「あんたも、そう思うんだ」
「須藤?」
「いや、なんでもない」
須藤はずっと無表情で、駅まで送ってくれた。
仲悪いのかなあ。
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