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短編小説集

甘い

作者: 真顔くん
掲載日:2025/10/12

私の目は使い物にならない。

空も、海も、雲も。

大切な人の顔さえ見えない。

それが悲しくも思うし、嬉しくも思う。

何故なら、匂いで覚えられるから。

晴天の日はカラカラと暖かい匂いが充満している。

海の近くに寄れば潮風と共に少し塩気のある匂いが鼻を擽る。

雨になればしっとりと重たく水気の多い匂いが届く。

そして大切な人は...

そこまで説明したところで急に口を塞がれる。

どうしたのかと聞く前に分かった。

照れている。

いつもより少し熱い手に汗が混じったような匂い。

私は笑いながら、感情も分かるんだよと付け足す。

すると驚いたように私の口から手を離され意地悪と小さく聞こえた。

聞こえてるよと指摘するとわざとだよと笑われる。

君からは今日も淡い花の香りがする。

柔軟剤なのか、元々持っている香りなのか。

分からないけどでも、その匂いが本当に好きだ。

君といるんだと実感できる。

あぁ、私の目が使えたら。

君の顔も表情も服装も何から何まで分かるのに。

どうしてこの目は使えないのかと目蓋の上から触る。

ふと頬に暖かな感触が広がった。

険しい顔してる...そう呟く君は少し寂しげで。

君は私の頬を優しく撫でながら言った。


君の目はとても甘いね。

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