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進めば葵  作者: 金木犀
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序章 高1 4月

 色は、世界に素敵にしてくれる。色は、暮らしを豊かにしてくれる。また、人に安心、心のやすらぎを与えてくれる。重要なもの。





 春、この春から高校1年生になった「水戸 葵(みと あおい)」は、本来乗りたかったバスが満員で乗れず、通学路を走っていた。

 教室に着くと、入学式のの次の日ということもあり、生徒は全員座っており、葵1人が座っていない状態であった。教室に入ろうとすると、みんながこちらを見てとても恥ずかしい思いをした。

 その日は、オリエンテーションということもあり、授業はなかったので遅刻とはならなかったが、初日からとても目立ってしまった。


 葵が通う高校は、スポーツが盛んな高校で、ほとんどの生徒が運動部に入り、文化部は少数で、高校の入り口の壁には、毎月のようにどこかの部活動が全国へなどと大弾幕がかけられているほどであった。

 

1時間目は、自己紹介で、クラスの全員の自己紹介だった。葵は、後ろのほうなので何を言おうか悩みすぎて、ほかの生徒の自己紹介はあまり入ってこなかった。

舞田 天音(まいた あまね)」という男子生徒は、葵の前の席だったので、彼の自己紹介ははしっかり聞くことができた。

2時間目は、校内見学で、いろんな教室を見て回ることになっていた。出席番号で並んで見学することになっていたので、前の席だった「舞田くん」が並んだ時に葵に話しかけてきた。

「水戸さんが同じクラスで安心するよ。入学早々大変だったね。寝坊でもしたの?」

「えっと寝坊じゃなくて、バスが混んでて乗れなかったの。」

「水戸さんは、俺より前のバス停だったよね、7時20分のだったら普通に乗れたよ」

7時半は遅すぎたのか、明日は、その時間に乗ろうと話しながら葵は思った。

中学が「舞田くん」とは一緒なので、大体の家がどの辺りかもわかる。同じクラスで番号が近いのはとてもうれしかった。

校内見学中、何度か舞田と葵は話をした。

教室に帰ると何かさっきと違うような気がした。

何が違うのかわからなかったが、少し違和感を感じながら教室に入った。

葵以外にも感じていた生徒はいたようだが、何が違うのかわからず席についていた。


帰りのHRが終わった後、帰ろうとすると舞田が葵を呼び止めた。

「校内見学の前と後、何か教室が変だなって思ってたんだけど、水戸さんは何か変だと思った?」

葵はこくりとうなづく。

「教室の床が色が変わってるんだよ。教室の床、最初は緑だったのに黒色に変わってるような気がする」

舞田がそのように言った後、2人で床を見つめた。

確かに色が黒色だ。

葵はカバンからいろんな色がカードになっている色見本を取り出し、最初の床の色を舞田に見せた。

「そうそう、この色だよ。そんでそのあとの色は…」

葵はそのあとの色をパラパラとめくり示した。

「変だね、舞田くん。私たちが校内見学の間に床塗ったりしたのかな。もしかしたら光の加減で緑が黒に見えていたのかもしれないけど…」

「それはありえるね。光の加減ってやつ」

「明日、6時間だし明日の朝と昼で床の色見比べたらわかるよね」

「そうだね。水戸さん、いい発想! あんまり気にしないでいいか」


次の日、授業はほとんど進め方などの説明で進まなかった。

葵と舞田は、休み時間に色見本で床の色を確かめたりしたがやっぱり黒色のままだったので、光の加減だということになった。

授業が6時間終わり、放課後は部活動見学だった。

部活動見学に行こうとすると、舞田が葵に話しかけてきた。

「水戸さんは吹奏楽に行くの?」

「うん! 舞田くんは水泳部だよね?」

「そう。髪がまた茶色くなっちゃうよ」

舞田は茶色い髪を触りながら言った。塩素で髪色が金髪になりつつある。






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