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北空最前線  作者: ワンステップバス
第二章 日本海軍
8/8

第七話 戦闘機操縦士食事事情

前回のあらすじ:遂に凪と七海の直接対決。

凪は初の艦上機である事から、後席に羽賀大尉を据えて七海に挑む。

戦闘は拮抗し、長時間の戦いとなった。

この戦いを制したのは七海の方であり、この結果に七海は大喜びであった。

それから約1か月、千歳基地に戻った凪はいつも通りの日常へと戻る……。

 3月17日… 11:52… 千歳基地…


「ねぇ、葵」


「ん?」


「結局どうなったのかな、あれって」


「あれ?」


「ほら、うちの滑走路の民間使用」


「あー、どうなったのかな、あれ」


 2018年以降に検討とか言ってたけど、2023年になった今でも民間使用はされていない。

 使っているのは相変わらず軍用機と海保の機体だけ。


「消えたのかな、その話」


「消えたんじゃないの?多分」


「ふーん」


 正直、民間機も離着陸するとなると、スクランブルに支障が出そうで怖い。

 でも、それを言ったら百里基地は民間機と共用だから大丈夫なのかな。

 …良く考えたら、茨城空港と新千歳空港じゃ発着本数がまるで違う。

 国内線も多いし、その上国際線も就航している。

 同じ様に考えるのはやめた方がいいかな。


「あ、スクランブル」


 スクランブルの機が18Lから飛び立って行く。

 昨日も今日もスクランブル、きっと明日もスクランブル。

 毎日スクランブル発進。


「よく毎日懲りずに飛んで来るよね」


「困ったよねー」


「ねー」



 そう言えば、今日の昼食は何だろう。

 そろそろお昼ご飯の時間だ。

 営外に住んでるから、朝と夜は基本的に家で食べる。

 お昼も給料から天引きされる。


「今日のお昼ご飯何かな」


「ステーキだって」


「おぉ〜、楽しみ」


 最近は食事が豪華になり、量も増えた。

 前まで、おかずは切り身が1個だけの時もざらにあった。

 献立が豪華になって私は嬉しいよ。


 食堂… 12:00… 

 食堂はいつも1番乗り。

 ご飯を止めれられるまで装う(よそ)為だ。

 ビュッフェスタイルで、1人1つづつおかずを取る。

 ご飯は一番最後。


「ステーキ♪ステーキ♪」


 ご飯はおかわり自由。

 おかずは1人1つまで、1つ位おかわりさせて欲しいんだけどなぁ。


「今日はステーキとスープとサラダだね」


 結構大きいサーロインステーキとコンソメスープ、それとサラダの3つ。

 後、パイロット用の加給食の野菜ジュース。


「ステーキ後3枚は欲しい…」


「凪ちゃんだけ食費3倍で良いと思う」


 食卓…

 適当に座席を選んで、葵と一緒に食べる。

 あー、お腹空いた。


「「いただきまーす」」


 今日もご飯が美味しい。

 私は幸せだよ。


「美味しいね」


「凪ちゃんは何食べても美味しいって言うよね~」


「だって美味しいんだもん」


「何でも美味しいって思えるの良いね~」


「あ、ステーキ無くなっちゃった」


「相変わらず食べるの早いねぇ…」


 葵はちょっと引き気味。

 これも日常。

 サラダも食べちゃったし、スープも飲み干しちゃった。

 後はご飯だけだ。


「ふりかけふりかけっ」


 食堂にはふりかけが沢山常備されている。

 これでご飯を沢山食べる事が出来る。

 今回はのりたまをかける。


「今日もおかわり行くの?」


ふぇ?(え?)ふぁふぁひぃ(あたり)ふぁふぇふぁん(まえじゃん)


「飲み込んでから話してよ」


「んんっ、ごめんごめん」


「もう…って、もう全部食べ終わってるじゃん」


「おかわり行ってくるね」


「はーい」


 配膳台へ向かい、また止められるまでご飯を装う。

 もっとおかずの量を増やして欲しいと毎日思っている。


「はーい、ストップー。こんなに食べてるのになーんでそんなにスリムなのかしらねぇ…」


「戦闘機乗ってるからじゃないの」


「あっ……そうね……」


 ご飯を装えたから、また食卓に戻る。

 今回はごま塩で食べようかな。


「うわぁ…また山盛り持って来たね…」


「え?そう?」


「うん、毎度の事だけど盛りすぎ」


「うーん、そうかなぁ」


「食費ヤバそう」


「そんな事無いよ」


「エンゲル係数は?」


「そんなの知らない」


「家計簿付けてないのね…」


 家計簿何て面倒な物は付けていない。

 付けて無くても普通に生活できてるからヨシ!


「おかわり行ってくる」


「嘘!?もう食べたの!?」


「え?うん」


 ごま塩はご飯が進む。

 次は何のふりかけで食べようかな。


「おかわり下さいっ」


「もう空っぽなっちゃった」


「えー」


「えー、じゃありません。さ、帰った帰った」


 残念。

 ご飯が無くなってしまった。

 私は渋々食卓に戻り、食器を片付ける。


「葵、先出てるからね」


「うん、分かった」




 3月19日… 12:03… 千歳基地… アラート待機所…

 現在、私は長津田大尉とアラート待機中。

 私達は5分待機。

 1時間待機は北宮中尉と西条少尉。

 今日は1度もスクランブルが掛かっていない。

 そろそろお昼ご飯の時間だ。


「お昼ご飯!」


「今日はカレーだぞ~」


「「おー」」


 ディスパッチが岡持ちを持ってきた。

 アラート待機中のご飯は運搬食。

 食堂のメニューが岡持ちで運ばれてくる。

 ご飯のおかわりが出来ないのが残念だ。


「ん?1つだけ山盛り…あぁ、中佐の分か」


「相変わらず…凄い量ですね、隊長」


「そう?」


「そんなに食べて、吐きませんか?」


「うん、吐かないよ」


「凄いですね~」


「いただきまーす」


 今日もご飯が美味しい。

 5分待機で装備を色々着けてるお陰で少しだけ食べづらい。

 でも、この食べづらさにも慣れた。


「美味しいですね、隊長」


「うん、美味しいね」


「今日はまだ飛んでませんね」


「うん。走りたくないね」


「ですね~」


 ご飯の最中にスクランブルが掛かったら最悪だ。

 食べるのを辞めないといけないし、誰も保温をしてくれない。

 戻った頃には冷めている。


「食べてる最中に鳴ってほしくないよね」


「分かりますよ、その気持ち」


「大尉もそう思うよね」


「はい」


 ん?

 ディスパッチが電話を取っている。


「大尉」


「はい?」


「フラグ立てちゃったね……」


「え?何i――」


「ホットスクランブル!!!」


 ウウウウウウウウウウ……


 ディスパッチが叫ぶと同時にサイレンが鳴り出す。

 しぶしぶカレーを置いて、格納庫に走る。

 あぁ、30分待機が良かったなぁ!




 18:32… アラート待機所…


「晩御飯!」


 待ちに待った晩御飯の時間だ。

 お昼ご飯のカレーは3口しか食べられなかった。

 だからいつもよりお腹が空いている。


「晩飯はいわしだ、昔は安かったんだがなぁ…」


 昼ご飯の時と同様、ディスパッチが岡持ちを持ってきた。

 いわしは今や高級魚。


「隊長、お腹空いてるんじゃないですか?」


「勿論、カレー食べ損ねたんだし。少尉は全部食べれたんでしょ?」


「そうですね」


「…羨ましい」


「そんな目で見ないで下さいよ…あぁ、ほら、いわしですよいわし」


「本当、隊長はご飯の事には目が無いですね」


 中尉の言う通り、私はご飯に目が無い。

【食べきったら無料】みたいな物は特に。


「あれ、中佐の器だけ大きい様な…」


「あ、確かに」


 月島二等兵曹の言う通り、私の分だけ器が大きい。

 そして盛り付けられてるご飯も多い。


「そんなに食べて太らないの羨ましいですよ、ホント」


 今日の晩御飯はいわしのしょうが煮。

 ご飯とお味噌汁、それと白菜のお浸し。

 加給食はペットボトルの胡麻麦茶。


「いただきます」


 うん、今日も美味しい。

 5本のいわしが丁寧に味付けされている。

 ご飯が良く進む。


「美味しいですね、隊長」


「うん、そうだね」


 大尉も同意見。

 テレビでは夕方のニュースがやっている。

 武器の密輸が増加しているらしい。


「あ、見て見て大尉」


「?」


「密輸されてる武器、自動小銃とかSMGばっかだよ」


「そうですね…昔は拳銃とかばかりだったのに…」


「物騒になったね」


「そうですね、1月の岡山もそうですし…陸軍の仕事が増えそうですね」


「増えてほしくないけど…増えそうだね」


「えぇ、そうですね」



 3月20日… 07:03… アラート待機所…

 昨日の夕食後、交代で仮眠を取りながら夜を過ごした。

 幸い、スクランブル発進は無かった。


「朝ごはん!」


「隊長ってその顔じゃ考えられない事言いますよね、ご飯の時とか特に」


「え?そう?」


「隊長も女性だって事が良く分かりますよ」


「朝は鮭だよ~、鮭」


 ディスパッチがいつも通り岡持ちを持ってきた。

 今日は鮭だそうだ。


「ほい、中佐の分ね」


 いつも通りご飯が沢山装われている。

 おかずは他の人と変わらないけれど。


 今日のメニューは焼き鮭とだし巻き卵、それとほうれん草のお浸し。

 お味噌汁はいつも通りで、ご飯は今日は玄米ご飯だ。

 加給食はペットボトルの緑茶だ。


「いただきまーす」


 美味しいご飯を食べられて幸せだ。

 アラート待機の良い点は、朝食と夕食を自分で作らなくて良い事。

 何もしなくても、ご飯が出てくる。


「後1時間ですね、隊長」


「そうだね、少尉」


 後1時間で待機が終わる。

 待機が終わったら家に帰る事が出来る。


 テレビは付けっぱなしで、朝のニュースが流れている。

 昨日の武器密輸のニュースが取り上げられている。

 ご飯を食べ終えたディスパッチは新聞を読んでいる。

 新聞も毎朝届けられる。


「ごちそうさま」


 空腹のお陰か直ぐに食べ終えてしまった。

 おかわりがしたい。

 食べ終えたら岡持ちに食器を戻す。

 暫くしたら回収しに来る。


「食べるのも早いですね…隊長」


「そうかな?」


「早食いは太るって聞きますけど…太らないって良いな…」


 長津田大尉が羨ましそうに私の方を見る。

 大尉が私を見ている隙に、大尉のご飯を強奪しそうになってしまう。

 駄目…抑えないと…食べ物の恨みは怖いから…。


 この後、何事も無く交代時間である8時を迎えた。

 荷物をまとめて、家路につく。

 帰えるついでに、札幌でご飯を食べて行こうかな。

お読みいただき、ありがとうございます!

ほんの少しでも「良いね」と思ったらブックマーク、評価の★の方を是非!

(付けると作者が凄い喜ぶよ)

よろしくお願いいたします!

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