第五話 第二航空戦隊
前回のあらすじ:呉基地に到着した凪。
見た目で守衛を若干困惑させるものの、赤穂大尉の出迎えを受ける。
一通り基地の案内を終え、秋月姉妹と数年ぶりに再会。
昼食を終え、その後伊吹に講堂に連れられる…
2月6日… 13:44… 講堂…
伊吹に連れられて講堂に来た。
ここで私の紹介をするみたい。
「えーっと、前々から言ってた空軍のパイロットが来ました~」
「「「「おぉ…」」」」
「じゃ、出てきてもらおっか」
私は前に出ている伊吹の隣へ向けて歩く。
「三沢 凪中佐でーす」
ザワザワ…
「背…高けぇ…」「顔面偏差値80超えてやがる」
「飛電に乗れるのか?」「なんか女っぽいな…」
「三沢……!?」「中佐の兄か!?」「全然似てねぇ」
「中佐はね、皆察してると思うんだけど七海の姉。お姉ちゃん」
講堂内あちこちからどよめきが起こる。
きっと皆男だと思っていたのだろう。
「女なのか…!?」「こりゃ驚いた」
「信じらんねぇ」「姉妹揃ってパイロットなのか」
「凪は普段第2飛行団の203飛行隊の隊長やってて、腕は空軍トップだとか」
「「「「おぉ~」」」」
少し恥ずかしい。
こうやって持ち上げられるのは。
「まぁ、そんな人だ。仲良くしてやってくれ」
数分後… 基地司令室…
「んじゃ、二航戦の主要幹部紹介するね」
「…なんで私の部屋でやるの?」
「丁度良いから」
「そっか…」
この双子は相変わらず。
昔から何も変わって無くて嬉しい。
「じゃ、副司令から」
「副司令の常盤です」
「参謀長の深草です」
「作戦参謀の町屋です」
「航空参謀の長嶋です」
「「「「宜しく」」」」
「因みに皆30代」
司令官は20代。副司令と参謀は30代…昔じゃ考えられない事が起きている。
海軍って頭固いのか柔らかいのか分からない。
「軍令部とか海軍省って何考えてるか分かんないんだよなぁ~」
伊吹がそう零すと同時に、副司令達が頷く。
「良い事も悪い事も、両方やるからな。上は」
作戦参謀は笑いながらそう言う。
「空軍も大変だろう。スクランブルも年々増えていると聞く」
「えぇ、本当に。でも最近は慣れてしまいましたよ…あの発進頻度に」
最近はほぼ毎日スクランブル発進がかかる。
スクランブルが無い日は月に1度あるか無いか。
「ん?」
机の上にタブレットが置いてある。
コレは何だろう。
「コレ何?」
「あ、ボクの」
伊吹のタブレットだった。
何に使ってるのだろう。
「何に使ってるの?コレ」
「仕事。デジタル化出来る書類は全部コレで処理してる」
「へぇ~…デジタル化が進んでるんだね」
空軍は未だに紙ベース。
それに比べて海軍は進んでいる。
「中佐、ほとんどの基地ではまだまだ紙ベースだ」
「あっ…」
海軍もまだまだ紙ベースの様だ。
完全なデジタル化が達成されるのはいつになるのやら。
「軍令部では徐々に進みつつあるが、まだまだ紙の時代は続くなぁ」
参謀長がため息交じりに言う。
「まぁ、これがうちの主要幹部だ。全員頼りになる」
『頼りになる』果たしてこの伊吹の言葉は本当なのだろうか。
「んじゃ、もう戻って良いよ。ご苦労さん」
「「「「失礼します」」」」
そう言うと、副司令達は基地司令室を去って行った。
「あ、摩耶寝てる」
伊吹が摩耶がいつの間にか寝ている事に気づいた。
摩耶はパソコンのきキーボードの上に突っ伏して寝ている。
「ホントだ」
「昨日は深夜まで仕事してたらしいからねぇ…お疲れさん」(ナデナデ)
伊吹に撫でられて摩耶は心なしか嬉しそうだ。
二人とも凄く可愛い。
「よいせっ」
突然、伊吹は摩耶を抱えた。
そしてソファーに寝かせた。
「掛け布団…は流石に無いか」
「伊吹」
「ん?」
「変わってないね、本当に」
「…さてどうかな」
「……」
「ボクは蒼龍に行くよ。カメラの整備をしてくる」
そう言うと、伊吹は部屋を出て行った。
部屋に残された私は、摩耶が寝ているソファーと反対側のソファーに腰掛ける。
摩耶は起きる気配を見せない。
「…少し位触っても、起きないよね」
私は摩耶に近づき、ほっぺたをつつく。
「………」(プニプニ)
柔らかい。
「…うへへ」
心なしか嬉しそうだ。
…揉んでみようか?寝ている間なら許される…はず。
「…いや、辞めておこう」
ガチャッ
「あ、凪ねぇここに居た」
七海が入って来た。
何の用だろう?
「飛電、見たくないか?」
「!見たい!」
飛電。日本海軍の最新鋭艦載機!
「いいぜ、見せてやるよ。付いて来い」
七海は手招きして、私に付いて来る様に促す。
私は七海に付いて行く。
10分後… 蒼龍格納庫…
「これが私の機体。飛電37番機」
「これが飛電…!」
写真で見た事はあるけど、やっぱり実物は違う。
機体に触れ、手触りを確かめる。
「…このフックが着艦用の奴だね」
「あぁ、そうだ。それを上手く引っ掛けて機体を着艦させるんだ」
「…上手く引っ掛けられるかな」
「引っ掛けてもらわねぇと困るな。1機何億すると思ってんだ」
「…私の命は?」
「どうでもいい。海ポチャしてもどうせ生きてるからな」
「私そこまで生命力高くないけど!?」
「へっ」
今日も七海は元気で嬉しい。
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