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北空最前線  作者: ワンステップバス
第二章 日本海軍
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第四話 呉基地

前回のあらすじ:凪に呉へ向かえとの辞令が下る。

それを受け、凪はさっさと準備を済ませ飛行機に飛び乗る。

さて、呉で待ち受ける物とは一体何だろうか。

 2月6日… 08:42… 呉基地正門前…


「ここが呉基地…!」


 門の柱に 日本海軍呉基地 と書いてある。


「あっ、手帳用意しなきゃ」


 私はポケットから軍務手帳を取り出す。


「ヨシ、これでOK」


 私は守衛に近づいて手帳を見せる。


「はい、どうz…空軍?」


 守衛は困惑した様子で私を見てくる。


「はい」


「空軍…あっ、パイロット!成程!」


「はい。千歳基地から派遣されてきました」


「遠路はるばるようこそ、呉へ!さぁ!入って入って」


「あっ、ど、どうも…」


 私は促されるまま敷地内に入る。

 レンガ造りの立派な建物が目に入る。


「凄…」


 建物の入口まで来ると、一人の女性が近づいて来た。

 ちっこい。可愛い。


「三沢 凪中佐ですね!司令から基地の案内を任されました。赤穂と申します!」


「赤穂…大尉か。宜しく」


「はい!宜しくお願いします!」


「えーっと、制服に着替えたいのだけど。更衣室は何処にあるの?」


「案内します。どうぞこちらへ」



 数分後… 呉基地係船堀…


「これが蒼龍…!」


「排水量6万トンですよ」


「6万トンって確か…」


「はい、あの戦艦大和と同じですよ」


「凄」


「後1か月もすれば、ここに飛龍も加わりますよ」


「凄い…ってかさ」


「はい?」


「庁舎から遠くない…?」


「間に造船所がありますからね。でも慣れますよ」


「そ、そっか」


「で、蒼龍の反対側に停泊中の艦が高雄ですね」


「巡洋艦…だったよね?」


「はい。巡洋艦です」


 巡洋艦。現代ではあまり見ない艦種。

 見た目は駆逐艦とあまり変わらない。


「駆逐艦と巡洋艦って何が違うの?」


「…………し、指揮能力…?」


「……あんまり変わんないんだね」


「…はい」



 数分後… 基地庁舎内1階… 隊員食堂…


「ここが基地の隊員食堂です」


「おー…狭いね」


 千歳基地の食堂と比べるとだいぶ狭い。

 もうちょっと広くても良いと思うんだけど。


「通常時はこれ位で事足りるんですよ。私も含めて、ほとんどが艦隊勤務ですから」


「あっ、そっか」


「…今は有事何ですけどね~」


「え?」


 "今は有事"…?どう言う事…?

 今は何も起こってないはずだけど……。


「うちが屋久島でボコボコにされたせいで、3500人の人員がここに集中しますから」


「成程」


 納得した。

 この食堂にとって有事だ。


「あれ?幹部食堂は?」


 そう言えばここは隊員食堂。

 幹部食堂は無いのだろうか?


「ありませんよ?」


「え?無いの?」


「はい。わざわざ作る程人が居ませんから」


「そっか」


 それにしても…綺麗。千歳の食堂とは全く違う。

 ちょっと羨ましい。


「綺麗だね、ココ」


「はい。最近改装されましたからね」


「いいなぁ…うちは全く改装なんてされる気配無いよ…」


「空軍ってそんなに予算厳しいんですか?」


「最近はカツカツって聞いた」


「空軍も大変ですね」



 基地庁舎内1階… 仮眠室区画入口…

 庁舎の端っこにカードキー式で開ける自動ドアがあった。


「ここが仮眠室区画です。1階は佐官用と将官用が各2部屋づつあります」


「それ以外は?」


「地下にありますよ。30部屋あります」


 自動ドア越しに階段が見える。


「あの階段から降りるのか」


「はい。ビジネスホテルみたいになってますよ」


「凄…維持費大丈夫?」


「…大丈夫だと思いますよ…?多分…」


 海軍の基地設備には驚かされるばかり。

 仮眠室が階級で別れている事も、そもそもこんな部屋が存在するのに驚く。


「それで、ココを使うのにはどうしたら良いの?」


「あそこの受付で受付して貰うんですよ」


「へぇ…本当にホテルみたいだ」


「皆、そう言ってますよ」


 あれ?受付の人寝てる様な。

 あの人こそ仮眠が必要じゃ…?



 基地庁舎2階… 廊下…


「…ここが経理部で、あっちが…あっ!」


 赤穂大尉がいきなり敬礼をする。

 どうしたのかと見回してみると、前から人が歩いて来る。

 …きっとお偉いさんだ。

 私も敬礼する。


「…あの人は誰?」


 小さい声で大尉に聞く。


「副基地司令ですよ、鹿沢少将です!」


 予想通りお偉いさんだった。

 敬礼して正解だった。


「…ん?空軍の制服…あ、君が例のパイロットか!」


「は、はい」


「慣れない艦上機だろうが、頑張ってくれ」


 鹿沢少将はそう言うと、足早に去ってしまった。


「…鹿沢少将ってどんな人なの?」


「まぁ~…とにかくお堅い人ですよ」


「あ~…よく居る頑固親父って感じ?」


「はい」


 摩耶が基地司令であの人は大丈夫なのだろうか。

 方向性が真逆で合わなさそう。



 基地庁舎3階… 廊下…


「窓から見える、あの団地みたいなのが官舎ですね」


「うわっ…古っ…」


 見るからに昭和臭漂う建物が数十棟建っていた。


「おっしゃる通りです。あの官舎よりここの仮眠室の方がよっぽど綺麗ですよ」


「…仮眠室に住み着く隊員居そう」


「それを防止する為に、原則4泊以上は出来ない様になってるんですよ」


 3泊したら、他の所で1泊してまた3泊…ってする奴居そう。


「その上、3泊したら1週間のクールダウン期間が必要なんですよ」


「へぇ~」


 何だかややこしいね。あの仮眠室。

 機会があったら私も使ってみよ。


「そして、ココが最後です」


 大尉は両開きの重々しい扉を指指す。

 扉の上には[基地司令室]と書いてある。

 ここに摩耶が居るんだ。


「ココは基地司令室です。基地司令の摩耶中将が居る部屋です」


「双子揃って中将…凄いよ。ホント」


「あ、うちの司令もココに良く居ますよ」


「へぇ」


「多分今も居るんじゃないですかね。多分ソファーで寝転がって居るかと」


「え、えぇ…」


「まぁ、仕事はしっかりこなすので許されているって感じですね」


「そ、そっか」


「基地の案内は以上です。蒼龍艦内の案内は乗艦時にしますね!」


「うん。案内ありがとう」


「いえいえ、では失礼します」


 そう言うと、大尉は敬礼してから去って行った。


「………」


 私は基地司令室の扉の前に立つ。

 中に居るのは友達。それも昔から良く知っている。

 それなのに、緊張凄く緊張する。


「…ふぅ~…」


 深呼吸して息を整える。

 そして、扉をノックする…!

お読みいただき、ありがとうございます!

ほんの少しでも「良いね」と思ったらブックマーク、評価の★の方を是非!

(付けると作者が死ぬ程喜ぶ)

よろしくお願いいたします!


【ご案内】

凪が基地司令室に入った後。

【パイロット目指してたら艦隊司令にされた 第四十七話】

https://ncode.syosetu.com/n4473hq/51/

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