正義の味方
ある昼さがり
東京のどまんなか。
多くの人が交差点を横断していた。
お昼どきであり、ランチに行く人でにぎわっていた。
そんななんてことのないはずの一日
だがその日は、
ザンパイアの脅威が初めて大衆に伝わった日だといえよう。
それは本当に急だった。
上空から大男が降ってきた。
顔から何本もの触手を生やし、右手には刃のようなものがついている。
着地の瞬間、激しい衝突音が響いた。
「え・・・、何?」
「映画の撮影!?」
人々の疑問は、その大男が刃で傍の人間を真っ二つに切り裂いたことで断ち切られた。
そこからの惨劇は悲惨の一言である。
パニックになりにげまどう人々。
その中でただ一人冷静な大男は、確実にそして大量に人々を葬っていく。
まもなく到着した警官、さては機動隊にもものともせず、殺戮は続けられた。
そこへ駆けつけたのが、白銀の男。
電助の変身したスパークマンだった!!
「き、貴様・・・!ザンパイアめ・・・、なんというむごいことを・・・、許せぬ!!!」
「ぐぐぐ・・・、貴様が・・・、同族を殺したとかいうスパークマンとかいうやつか・・・。」
「わたしが・・・、お前をたおす!!」
言うやいなや、スパークマンはザンパイアの怪人に駆け寄る!
対するザンパイアの怪人はその刃をかざしスパークマンにふりかざす。それがスパークマンに当たった瞬間、激しい火花が散った。
なんという硬度だろうか、スパークマンのボディは傷つかなかった。
「な、なに・・・!?」
ザンパイアが驚くときにはもう遅かった。
スパークマンの右手には大量の電荷が集中し、激しく熱を帯びる。
「必殺!サンダーナックル!!!」
高電圧を帯びた拳が目にも止まらぬ速度で、ひねりを加えて怪人に叩き込まれる!
あまりの圧力に、怪人の体は殴られたところが大きくへこむ。
次の瞬間、雷撃の激しい破壊のエネルギーに包まれ爆散した!!!
「ぐぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
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怪人を倒しても、電助の気は張れなかった。
あまりにも多くの犠牲。
自分がもう少し早くかけつけていれば。
くやんでも悔やみきれなかった。
望まざるとはいえ、強大な力を手に入れた。
自分には奴らを倒す責任がある・・・。
あの、モリモという宇宙人のいうことは本当で、自分はザンパイアという怪人の天敵であるらしかった。それは改造された自分のコアに使用されているオリハルコンと呼ばれる鉱物に秘密があった。
変身のとき、このコアに高電圧がかかり、コアが活性化する。
するとコアに集積されたナノマシンが動き、全身を包むことで白銀の鎧となる。
関節部においてはまるでナノマシンがファイバー繊維のように結びつき、高い柔軟性が保たれる。
全身を包むナノマシンひとつひとつがオリハルコンの結晶であり、その一つ一つがエネルギーを受けるとある高い周波数で振動し、その周波数の光と電気を放つ。
この周波数が肝であり、ザンパイアの細胞はこの周波数の光や電気で共鳴し、破壊されるということだった。宇宙人の超先端科学は、この周波数をわずかなずれもなく、高い純度で発生させることに成功した。
「・・・変身、解除・・・。」
瞬間、スパークマンを閃光が包み、その鎧は体から剥がれ体内のコアに吸収されていく。
同時に
「う・・、ぐはぁああああああ!!」
電助を激しい痛みが襲う。
体からは白煙が上がる。
そしてせき込み、口元から血がしたたるのを感じた。
「あの宇宙人、いいかげんな仕事しやがって・・・!」
変身を解除すると、頑丈に強化されているがほとんど生身の人間である。
痛覚等はそのままだった。
そこに高電圧・高熱のダメージが襲う。
「だが・・・、人々の平穏のためだ・・・、耐えなくては・・・!」
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ザンパイアの脅威が認知されるとともに、スパークマンの存在が知れ渡るのも必然だった。
怪人を退治したあと、はじめは警察や機動隊がスパークマンの身柄を確保しようとしてきた。
そのうち、ザンパイアの中には50mもの体躯を持ち、軍隊の戦力をも破壊する存在も現れた。
そういった怪人も、スパークマンは倒してきた。
むろん、対価は大きい。
強敵を倒すため、激しくパワーを使う程、破壊力の大きな必殺技を使うほど、変身後の激痛は増加した。
スパークマンの強さが知れる程、身柄を確保しようとする者も強くなり、やがて軍隊まで出動するようになった。闘いの後の体に鞭打って超スピード移動し、逃げるのも中々苦痛だった。
一方で救いもあった。
もちろん色々な意見があったが、世の大半の人々は、スパークマンを正義のヒーローとして認識するようになった。もちろんそれは、怪人退治意外でも人助けにその力を使ったことで信頼を勝ち取った結果でもあった。