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大人の恋心 (『あなたに恋しました』スピンオフ)  作者: 設樂理沙


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53/83

大人の恋心 53

53. ここから


" Down Grade 見くびる "


  

 新垣桂子のことを心のどこかで俺は見くびっていたのだろうか?

 妙齢を少し過ぎてまだ独身な女性だということで? 


 綺麗な顔立ちなのに地味なオーラを身に纏っているということで?

 堅実で快活、それでいてたおやかな生き方をしている彼女を?

 

 そう、俺は自分の知らなかった彼女のテリトリーに触れて

動揺しているのだ。


 彼女と夜の街。


 夜の街にいる彼女を想像したことがなく、自分の知っている美しさ

とは別の美しさを纏い、夜の街、レストラン、バー、ホテル・・慣れた

所作でひとりの男と向かい合っていた彼女に俺は度肝を抜かれたのだ。



 夜の街に繰り出し、ダンディーな男とスマートに大人の時間を

過ごすことのできる女性に対して、今までのようにデモデモダッテちゃんを

していては、本当に彼女との縁を失くしてしまうかもしれないと

この夜俺は本気で焦ったのだった。


 そう、もしかしたら他の男に彼女を盗られるかもしれないという

恐怖に襲われた。


 俺は桂子さんへメールをした。

 先日のお礼と次の休日会えませんか、と。


 たったこれだけの連絡を自分からできなかった俺に足りなかった

ものの正体に気付いた。



 それは・・恋愛につきものの必須な

 Passion!


 そんなつもりはなかったけれど、どこかで桂子さんに悪い虫が

付くなんて欠片も想像してなかったということにも気付いた。


 ははっ、俺も大概だわ。

 ほんと失礼なヤツだな。


 そして思ってた以上に、彼女と生涯を共に歩いて行けたらと

望んでいる自分の気持ちにも改めて気付かされることとなった。


 夜のホテルのレストランで桂子さんとデートしていた男に

彼女を盗られたくないと強く思った。


 

 



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