大人の恋心 38
38.
" Her Innocent Feelings 純粋な気持ち "
小野寺さんに思い切ってディナーのご招待をしてみた。
次の週末は都合がつかないので、その次の週末に伺います、
とのことだった。
次の約束を何もしないで帰って行った彼はやはり予定が
詰ってたんだ、と桂子は予測が当たっていたことを知る。
ドリンクはどうしよう・・ふと桂子は思った。
亀卦川が桂子の家に来る時は、いつも公共の交通機関を使って
いた。 会社帰りに来たり休日に来たり。
だけど彼は一度も車で来ることはしなかったと、桂子は
当時のことを振り返った。
彼の目的は、食事と酒と桂子、3セットになっていた。
亀卦川は初めて来訪した日から酒の力を借りていとも簡単に
桂子と深い関係に持ち込んだ。
近い距離感にドキドキさせられ、迷う暇もなくふたりは
身体の関係へと流されていった。
亀卦川という男は色ごとにかけては、経験値が高いからか
ことを進めるのが上手かった。
女の家に招かれて食事と酒を振舞われる時点で、彼視点で
見れば、据え膳の何物でもないのだろう。
桂子は亀卦川が石川と付き合っているのを聞いて熱が冷めた
後、彼から見ればまさに自分は据え膳に名乗りを上げた痛い女に
なっていたのではなかったかと、きつい気持ちに囚われたりもした。
あの時の桂子に全く下心がなかったかと問われれば,否とは
言い切れなかったが、トキメキ感に酔ってはいたものの、まさか
身体の関係になるとまでは考えていなかった。
美味しいものを食べてもらいたい、奥さんが病気のせいで
不自由している彼を労ってあげたいという純粋な気持ちからの
好意以外の何ものでもなかったのだ。




