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大人の恋心 (『あなたに恋しました』スピンオフ)  作者: 設樂理沙


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38/83

大人の恋心 38

38.


" Her Innocent Feelings 純粋な気持ち "




 小野寺さんに思い切ってディナーのご招待をしてみた。


 次の週末は都合がつかないので、その次の週末に伺います、

とのことだった。


 次の約束を何もしないで帰って行った彼はやはり予定が

詰ってたんだ、と桂子は予測が当たっていたことを知る。


 ドリンクはどうしよう・・ふと桂子は思った。



 亀卦川が桂子の家に来る時は、いつも公共の交通機関を使って

いた。 会社帰りに来たり休日に来たり。


 だけど彼は一度も車で来ることはしなかったと、桂子は

当時のことを振り返った。


 彼の目的は、食事と酒と桂子、3セットになっていた。


 亀卦川は初めて来訪した日から酒の力を借りていとも簡単に

桂子と深い関係に持ち込んだ。


 近い距離感にドキドキさせられ、迷う暇もなくふたりは

身体の関係へと流されていった。


 亀卦川という男は色ごとにかけては、経験値が高いからか

ことを進めるのが上手かった。


 女の家に招かれて食事と酒を振舞われる時点で、彼視点で

見れば、据え膳の何物でもないのだろう。


 

 桂子は亀卦川が石川と付き合っているのを聞いて熱が冷めた

後、彼から見ればまさに自分は据え膳に名乗りを上げた痛い女に

なっていたのではなかったかと、きつい気持ちに囚われたりもした。




 あの時の桂子に全く下心がなかったかと問われれば,否とは

言い切れなかったが、トキメキ感に酔ってはいたものの、まさか

身体の関係になるとまでは考えていなかった。


 美味しいものを食べてもらいたい、奥さんが病気のせいで

不自由している彼を労ってあげたいという純粋な気持ちからの

好意以外の何ものでもなかったのだ。


 

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