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大人の恋心 (LOVE YOU/スピンオフ)  作者: 設樂理沙


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36/83

大人の恋心 36

36.☑


" A Small Tomato プチトマト "



 久しぶりに持参した知世が持たせてくれた弁当を開けて

さて食べようとプチトマトを口に入れようとしていた時だった。


 外へいつものように食べに出ようとした小野寺が通りすがりに

俺に言った。


 「今のプチトマト、旬で取り立てて゛おいしいっすよね」

と、ルンルンの軽やかな足取りで出て行ったのだった。


 はて? 今まで奴とは春夏秋冬を一緒に何度か過ごしてきているが

プチトマト? こんな風に食のことなんて話しかけてきたことなど

皆無のヤツが・・。


 プチトマトとかけて、その心は?


 さっぱり分からん俺だが、ヤツの様子から新垣桂子との付き合いは

まだぶっつりと切れてはいないのかも(続いているのかも)しれないと感じた。



 俺の本音としては自分のことは棚に上げ、小野寺が新垣桂子と

上手くいけばいいのか、すっぱり止めて新たにヤツより若い

年下の女性と縁があればいいと考えているのか・・紹介しておきながら

100%応援できない自分の胸の内に気が付いていた。


 ふたりを合わせ紹介した日から妻の知世はふたりの前で話した

通り、完全に彼らに任せたようで、俺にも一切彼らの話を

振ってくることはなかったので、俺のほうも口を噤んでいるような

状況だった。


     ・・・・・

 

 (一方)桂子は、次の約束もなく、連絡します、の一言も残して

いかなかった小野寺に翌週の週末、自宅でのディナーに彼を

招待することにした。



 美味しいと言ってくれた彼に、プチトマトの入ったピザを

振舞いたかったから。


 そして、また彼の放つ旨い、美味しい、という言葉が聞けたら

次の1週間パワーをもらい、それをよすがに自分はまた、元気に

過ごすことができそうだと思った、、から。


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